rumania montevideoが約2年振りに3rdアルバム『MO' BETTER TRACKS』をリリースした。シングル「HARD RAIN」「tender rain」「start all over again」を含む全12曲が収録されているこのアルバムは、タイトルにも表されている通り、今まで作り溜めていたという“モンテビらしさ”を追求した楽曲ばかりが収められている。アルバムの制作について三好真美、誠の姉弟に話を聞いてみた。
●3枚目のアルバムで、前作から2年ぐらい期間が空いているのですが、今作を制作するに当たってどういうものを作りたいといった気持ちがありましたか?
三好誠(以下誠):このアルバムは、良い曲だけどあえて今まで置いていたものを集めたアルバムなんです。こうしようっていうのは特に考えてなくって。
三好真美(以下真美):おもにシングルとしてレコーディングをしていて、自然に出来た曲をまとめた感じなので、コンセプトっていうのは特にはないんです。デビュー前に作ってずっと置いていた曲もあったり。
●以前から誠さんは色んな曲を作っていきたいって言ってましたが、自然に出来た曲とは別に今作では何か目標やテーマを持って制作にのぞんだとか、そういった事はありましたか?
誠:やりたい音楽っていうのはあるんです。逆にそういうのが芽生えてきたから、アルバムを作ろうと動き出した原因にもなっていると思います。
●やりたい音楽とは、具体的にはどういうもの?
誠:1人で作ったりしていたから、久しぶりにみんなで集まってやった時にすごくいいなって。バンドのグルーヴとかそういうのをすごく感じて、そういうのをそのまま詰め込むというか。気持ち的に凄くプラスに持って行けたというか。何かやれそうだなっていう気持ちがバンドにも出てきたから。
●バンドのグルーヴ的な曲をもっと作っていきたかった?
誠:具体的にこんなのを伝えたいっていうより、その気持ちの盛り上がり方、そういうのが強かったなって。それがあれば音にも表れてくるって。
●1stアルバム『rumaniamania』がスマッシュ・ヒットとなって、2ndアルバム『Girl, girl, boy, girl, boy』ではすごくサウンドの幅が広がったのですが、やっぱりモンテビを広げて行きたいっていう気持ちがそこにはあったのかなと思ったんです。今回はストレートな楽曲ばかりなので、肩の力を抜いた制作を続ける事が出来たのかなと。
誠:一番、rumania montevideoらしいというか、どの曲を聴いてもそう思える曲が集まったと思うんですよね。こんな事も出来るっていう色んな挑戦もやって来たんですけど、もっと「自分たちらしさ」っていうか、そういうのが分かったというか、大事にしたかった。そういう内容になっているんじゃないかって。
●アルバムとしてまとめようという話はいつぐらいからあったのですか?
誠:作り始めたのは3、4ケ月前の夏ぐらいから。
●その時は「tender rain」を作りつつという感じなんですか?
誠:「tender rain」が一つのキッカケになっているような所がありますね。「tender rain」ですごく良くなったというか、いい感じだなって思えたから、この感じでアルバムを作っていけるんじゃないかなって。
●真美さんは今作の選曲を聴いた時は、どう思いましたか?
真美:私はこの曲を入れて欲しいという事はぜんぜん言わなかったのですが、上がった時に「あ、これ出したかった、歌いたかった」っていう曲がすごい並んでいました。偶然かもしれないけど、私が好きな歌だから合うというか、ちょっと得意かもしれないっていう曲が並んでいたので、単純にすごい嬉しいなって思いました。
●アルバム・タイトルにも自信が表れていますね。
誠:“なんとかSONGS”とか、そういう風にしたいなって。一つの具体的なテーマに沿ったコンセプト・アルバムとかそんな形ではなくって、本当に名曲を集めたというか、今までやってきた自分達のちょっとした集大成なアルバムにしたかったので。
●タイトルに3つも“RAIN”が付いていますが。
真美:タイトルに入ってなくても、歌詞の中に雨が入っている曲が他にもいくつかあるんですけど、特に雨をテーマに書いた訳ではないんです。でも書いている内に何個か溜まってくると、雨をテーマにしたものが作れたらいいなとは途中で思ったりもしました。流れに沿ってアルバムを聴いてもらえると、その気持ちの変化みたいなもの――「HARD RAIN」の強く打ち付ける雨とか、他に優しく包み込むような雨があったり、雨が止んで日射しが差してっていうようなものがあったりと、気持ちと繋ぎ合わせて書いているので、順番に聴いてみるとストーリーが見えてくるのかなとは思います。
●RAINが多いから止めようっていうのはなかった?
真美:どうせなら全部入れれば良かったっていうぐらい。
●歌詞については全体的に内面的な部分を綴るようになったというか、気持ちの深い部分があるように感じるのですが。
真美:自分では今まで書けなかったから、内面的な事を書こうって意識した訳ではなくって。ただやっぱり今までリリースしてきて、たくさん書いている内にそういう風に変化してきたのかなとしか分からないんですが。
●自分で見ていて、変化したとは思いますか?
真美:私が書いている事はずっと同じだと思うんですけど、それを最初の頃は直接的ではなく何かに例えたりして、よく見て貰うと「これはこういう気持ちを例えているんだな」っていうのが分かると思うんです。ただ音楽として聴く分には、浮いた感じの空想的で非現実的に聴こえたり、夢みたいなものに聴こえるかもしれないです。だから書いている事は同じでも、言葉の選び方が変わったのかなと思います。
●RAMJET PULLEYの活動に影響された所はありますか?
誠:特にコーラスの変化が。アッコさんとマッシュがやってます。
真美:アッコさんは前から入れてたんですけど、今回は多い。どんどん「こういうラインはどうかな」っていう意見が出て来たり。
誠:ラムジェットで培ったテイストっていうのが表れてますね。
●制作現場は活発に意見があった感じ?
誠:意見というか、ひと通りみんなレコーディングを経験して、その要領が分かってきた。前は割とワイワイやっていた感じなんですけど、そういうのがひと段落して比較的淡々とした感じで進んでいきました。それぞれがやる事っていうのは大体分かってきているし、すごいいいものが出来そうな雰囲気があったので、「いいね」って言いながら。
●真美さんはR&Bコンピレーション・アルバム『GIZA studio R&B RESPECT vol.1 〜six sisters selection〜』で1曲歌っていますが、オリジナルとカヴァー曲とでは気分的に違いますか?
真美:違いますね。でも私はけっこう好きですね。オリジナルとはまた違うものが出来上がったりとか。難しいけど、ちゃんと出来上がっているものを歌うってことで楽な部分もあって。
●有名な曲を歌うから難しいとは思わない?
真美:それをすごく言われるんですけど、有名なだけたくさんの人が聴いていて、たくさんの人が聴きたいと思っているので、私の中ではプラスだなって。上手なものならオリジナルで充分だし、もともと上手い歌を聴きたいと思って私の歌を聴いているとは思ってないので、自分の出来る範囲の事をすればと思うんです。選曲も自分で出来たし、私が本当に歌いたいものを楽しく歌えたのでいいのかなって。
●ライヴもありましたが、どうでしたか?
真美:終わってみれば楽しかった(笑)。やっぱり緊張しますね。2人や5人で演奏っていうのはあったんですが、まったく1人だったし。でも、緊張するけど自由も感じましたね。5人でやる時はヴォーカルとかドラムっていう気負いを感じている時もあったから、それに比べると自由かなって。
●2002年の予定を。前に言っていたリフレッシュ後の曲はどうですか?
誠:あれから進んで無い、やっぱり(笑)。でも、音楽的にはやりたい事が明確にあるから、これからそれをどこまでやれるかっていう感じ。
真美:コンスタントに制作活動はしていきたい。制作っていうと内々に入って行くんですけど、この前私が経験したみたいに、みんなに聴いて貰えるように歌いたいなとも思います。みんなで「また演奏したいね」って話もしていて。具体的ではないんですけど、したい事はたくさんあります。
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