オリコン初登場3位を記録した1stアルバム『Be Happy』から約1年4ケ月、遂に愛内里菜の2ndアルバム『POWER OF WORDS』がリリースされる。シングル初のバラードでロング・ヒットとなった「NAVY BLUE」や、シングル・チャートの2位をマークした最新シングル「I can't stop my love for you1」、昨年「野球ワールドカップ2001」(日本テレビ系)のイメージ・ソングとしてオンエアされてCD化が熱望されていた「SPARK」などを含めた全14曲が収録されている。クラブサーキット以来、“言葉の力”を感じ続けた愛内が、リアル・タイムな感情を言葉で表現して詰め込んだ作品へと仕上がっている。
●クラブサーキットで楽曲に対する意識が変わってきたと言われていましたね。それを経て今作は“言葉の力”というアルバム・タイトルになりましたが、具体的にどのような気持ちで制作していったのでしょうか?
愛内里菜(以下愛内):前作『Be Happy』は昔の記憶を手繰りよせて、それをメッセージにした“みんなへの贈り物”という形だったけど、今回は素直に自分に向き合って想いを打ち明けた、リアルタイムな歌詞を乗せる事が出来た作品なんです。制作中心だったのがライヴやテレビでみんなの前に出て、本当にたくさんの人達と今まで感じた事のない信頼関係が築けた1年を過ごして、特にクラブサーキットでは強くなりたいって意識も生まれたので。そんな時、たくさんの言葉に支えられているなぁって感じたんです。これまでに貰った言葉の中には、いい言葉もあれば、すごく傷付いた、聞きたく無い言葉もあったけど、でもそれを力に変えようって思える自分がいて。強くなるには、自分の弱さや脆さも全部受け入れないと強くなれないし、詞を書くにしてもそういう部分を含めて正直なものを出さないと、みんなに伝わる詞を書くことができない。そういう意味でもこの作品は、そんな思いを消化して強くなったからこそ出来たものだと思っています。
●強くなりたいっていうのは、自分の弱さを実感したからですか?
愛内:リアルタイムな気持ちを書くっていうのは、昔の記憶を思い出すよりもっと痛々しいことだったりして、綺麗ごとだけでは書けないんです。今のリアルな気持ちを痛い所まで自分で追求するっていうのは辛いので。でも前向きさを伝えていくためには、そこもちゃんと自分で分かっていないといけないし。歌詞を書いていても、ちょっとネガティヴなのがあるとこんな事を言ってはいけないって、自分で自分を励ますために前向きな言葉を持ってきていたけど、そんな綺麗な言葉だけでは無理だよねって気持ちになったんです。
●1stの時は自分を完全に見つめる事を躊躇していた?
愛内:出来なかったですね。制作中心だと周りとの接触がないから、世間とか周りの状況は変わっても、実際に身近な状況は変わらないので、自分の置かれている場所っていうのが今一つピンと来なくて……。そういう中で、何を求められているのかっていうのがぜんぜん分からなくて、自分の理想だけが出来上がって、そこに近付きたい、私はこうあるべきだって考えに勝手に捉われてしまった。ちょっとそういう部分では一つ抜け切れない自分がいました。
●1stと2ndの決定的な違いっていうのは、自分に対する視線が変わった事なんですね。
愛内:大きくなりました。それは歌詞だけでなく曲選びにも現れています。前回はデモを聴いた時に、何が愛内里菜らしいんだろうって考えていた部分があって。例えばバラードだったら、アレンジで4つ打ちの感じにもっていこうかなって、曲に対しても詞にしてもちょっと無理をさせていたんです。でも今回はそうじゃないから。その枠を取ってくれたのが、去年参加した『GIZA studio R&B RESPECT vol.1 〜six sisters selection〜』。初めてのカヴァー、初めての英語、初めてのR&Bと、いつもと違う事に戸惑っていたんですけど、レコーディングに入ると、どんなジャンルでも音に乗る事は一緒だって気付いて。この時に初めて音楽は国境を越えるって肌で感じたんです。今までは英語よりも日本語の方が通じるとか、自分の好きなアーティストの方がより力を持っているって思ってたりしたけど、感じたままに気持良く歌うって所から、何か今まで自分が捉われていたものが一気に外れたんです。そこからのアルバム制作だったので、本当に伝えたい言葉が乗る曲であれば、“愛内らしさ”って枠に捉われずに、全て自分の感情のままに作れば伝わるんだって。愛内らしい、愛内らしくないっていう事は、関係ないんだって。だから根本的に1枚目と2枚目は作り方が違うんです。そういう意味ではこの作品は、感情と言葉と曲が無理なく一致して、レコーディングもスムーズに出来たと思っています。
●満足度100%という感じですね。
愛内:今の自分を出し切りました! もちろん『Be Happy』もその時の100%を出し切ってたけど、 この1年で自分が成長して感じたものを、ちゃんと言う事が出来たと思います。
●前作と同様に1曲目「POWER OF WORDS」とラスト「Can you feel the POWER OF WORDS?」が対になったスタイルですね。
愛内:みんなも好きな本や映画や歌からハッとした事はあると思うんです。大切な人から貰った些細な言葉にも特別な感情が乗っているし。そういう言葉の素敵さを伝えたいから、“言葉を感じようよ”って問いかけから入りたいなって。あと、今までは大きな愛に対して私は“僕たち”って言葉を使ってきたじゃないですか。自分もみんなの中の一人で、自分が先頭に立って自信を持って言える事がまだなかったから、いつか“私たち”っていう言葉を使いたいって思っていたんです。でも、ラストの「Can you feel the POWER OF WORDS?」では、シンガーとして今私は何が言えるだろうって考た時に、“私たち”って言葉を使って本当に素直な自分の思いが書けたんです。
●アルバムの最初と最後ですごく成長しているんですね。
愛内:シンガーとしてこのアルバムを出す責任を言える自分がいたので、素直に嬉しかった。書いてから自然に“私たち”って言っている自分に気付いてびっくりしました。
●2曲とも言葉に出来ないもどかしさがすごく出ていますが、結論として、言葉にできなくても気持ちがあれば伝わるっていう風に感じたのですが。
愛内:クラブサーキットで受け取ったたくさんの勇気は、言葉だけじゃなかったから。目が合った時の雰囲気だったり、何となく伝えたい事が分かってきたりとか。きっと本当に通じ合いたいって思っている人だったら、そうやって言葉を越える力を感じる事も出来ると思う。そういう意味で言葉プラス感情っていうのが、すごく言いたかったテーマなんです。
●一番想い出に残っている曲は何ですか?
愛内:「FAITH」は初めて曲を聴いた瞬間に自分の感情が浮かんで来たっていうのもあったし、一番心の入れ代わりが出来た時だったので、すごく印象に残っています。
●個人的に気に入っている曲はありますか?
愛内:バラバラに見えても自分の中では全部一貫性があってつながっているから、選び切れないですね。ただ歌詞が書けてすごく嬉しかったのは、“私”って言葉が使えた「Can you feel the POWER OF WORDS?」。
●このアルバムをこういう人にこう聴いて欲しいという理想はありますか?
愛内:何かハッとする1フレーズを曲の中から見つけてもらって、誰かの勇気になったり、誰かを救えるような、心にずっと残る作品になれたらと願っています。
●リリースの翌日からライヴ・ツアーがスタートしますが、現場はどんな感じですか?
愛内:まだリハーサルは始まったばかりですが、これから徐々に決まっていくと思います。
●今後の予定はありますか?
愛内:新しい事をして行く中で、次につながるように今を100%こなしたいって思っているので……。今を100%に生きてないと里菜の詞っていうのは成り立たないし、書けないから。だからこの先どうなっていくのかは想像できなくて……。
●また『R&B〜』みたいな企画にもチャレンジしたい気持ちはありますか?
愛内:チャレンジするのが恐くなくなったし、今はすごく楽しめそうだから、何でもやってみたいなって思います。
●でもR&Bのステージでは愛内さんが一番楽しそうでしたよ。
愛内:客席に人がいたので(笑)。歌う事もみんなといる事もすごく楽しかったから。
●人がいた方がいいんですね。
愛内:寂しがり屋だからかな(笑)。人の中にいるのがすごく好きなんです。テレビ収録でもお客さんが観にきてくれてたりすると嬉しい。あそこの端に何色の服を来ている人がいるとか、どういう人がどんなリズムを取っているかとか、歌いながら全部観ているんですよ。本番で自らみんなに目を合わせていくと、みんながニコッて笑顔を見せてくれたりするから、そうすると一人で頑張っているんじゃないって思えて、何かをする時のパワーにつながっていくんです。だから反対に緊張よりも安心するんです。本番では返ってみんなに助けられていますね。
●人がエネルギー源になっているんですね。
愛内:視線から感じる力とか、人のパワーやオーラみたいなものっていうのはすごいですね。そういう言葉にならないものを自分が受け取っているからこそ作品でも言えたんです。
●ジャケット・ワークに関してはいかがですか? 1stは贈り物なのでシンプルなジャケットという事でしたが。
愛内:前回と同様にシンプルなのは変わりないけど、今回はより里菜の素に近い感じ。インナーとか全てにおいて作り込んで無いから、里菜の理想の生活だったり、里菜が普通に生活している時に見せている表情やファッションになっています。あと今回は、シングル「I can't stop my love for you1」の時から色をたくさん使いたいっていうのがあったので、カラフルな感じで普通の生活を彩りよく、目で楽しめるようにポップで楽しい感じのインナーになっています。
●オフィシャル・ブック「made in RINA 2002」ではファッションの事にも触れていますが、楽曲が愛内さんの内面を表現するものとすると、ファッションはどんな存在ですか?
愛内:詞を書いているのも、歌を録っているのも、洋服を着ているのも、本当に自分探しと一緒。着ている服の色とか形が今日の気分と一致しているし、すごくファッションも自分に正直に着れているような気がします。たまにびっくりされる色の合わせ方をしますが、“だって着たかったんだも〜ん”ってぜんぜん気にならない。
●愛内さんは自分を出すことが一杯ありますね。
愛内:そこから自分自身の事に気付いたりもするし。流行の服でも嫌いだったら着ないし、何に関しても最近は自分に正直に生きられているなって思います。
★★Self Liner Notes★★
1.POWER OF WORDS
聴いた時にメロディがガツンと伝わって来たので、気持ちをダイレクトに、もっとみんなに伝えられるんじゃないかなと思ってこの曲を選びました。自分がこの1年で感じてきた、言葉に対する葛藤だったり不安だったり自信だったりというのを、素直に表現出来た曲です。歌詞の最後に“Can you feel the power of words?”と、言葉の力を感じる事が出来ますかって問いかけているので、次に続く曲の中から1つでもハッとする言葉が見つかればいいなって思いを込めています。
2.I can't stop my love for you・
シングルでは前2作がバラードだったので、春らしい曲をやりたいと思ってノリの良いアップ・ナンバーを選びました。女の子の男の子に対する、こんな事言わなくても分かってよっていう女の子らしいわがままを可愛く書いています。恋愛に関してわりとここまで素直に書けたのは初めてかもしれないので、自分でも意外な感じに仕上がったと思いました。
3.NAVY BLUE
これはもともとカップリングにしようと思っていた曲。この曲は“海の底の濃い青”っていうイメージがあって、そこからタイトルを付けました。今までカップリングは色のタイトルだったので、これもそうだなって思っていたら、曲がいいから1曲目にって事になって。シングル初のバラードとなりました。
4.Forever You 〜永遠に君と〜
歌を歌う事が私の全てで、みんなにとってもそれが里菜の全てだって認めてもらいたいと思って作った曲。今の自分の思いがすごく素直に書けた歌詞で、やっとシンガーとして自分の思いをちゃんと曲に乗せられた作品です。
5.pink baby's breath -album mix-
タイトル“pink baby's breath”は“かすみ草”で、花言葉から取って“可愛い彼女の囁き”って感じの意味を込めています。Aメロ、Bメロは特にその感じを意識して歌ったので、この曲は里菜にとってもすごく新鮮な曲でした。
6.be distant
最初はラテンな曲だったんですけど、メロディからこの歌詞が浮かんで来て、もっと真っ直ぐに自分の信念を貫くような音が欲しかったので、KCPさんの音がカチッとくるんじゃないかっていうので、ラテンな感じから4つ打ちのビートの効いた固い音になりました。
7.WISH
これは自分が強くなりたいっていう気持ちから湧いて来た歌詞。負けず嫌いでずっと強がって、自分が見たくない事からは目を背けてきたんですけど、本当の強さというものは弱い部分や脆さもちゃんと分かって、全てを受け止められてこそなんだと気付いて……。そういう部分から出てきた歌詞です。
8.Painted Black
これも色のイメージが強かったんですけど、最後まで感情が同じ1色の印象を受けたんです。わりと里菜の歌詞は最後はポジティヴに持って行く方なんですけど、 これはその印象通りずっと同じ気持ちのままなので、今までとは違う珍しい終わり方になっています。
9.FAITH
これはクラブサーキット中に作った曲。その時はまだクラブサーキットへの不安があって……。独りじゃないんだけど、自分がどこの位置にいるのか分からないっていう状態で、独りぼっちで不安な感じでした。最初に浮かんできたフレーズが“もしも涙が 誰ひとりの目にとまることがなかったとしても”っていう所だったし……。でも各地で応援してくれているみんなや支えてくれているスタッフと接して、独りじゃないんだっていうのが明確になったんです。その一歩として、この先何があっても絶対に独りじゃない、絶対誰か応援してくれる人がいるから、その人達のためにも自分のためにも、自分は強くいたいって本当に思えた。その気持ちがこの曲で初めて表せたんです。
10.SPARK
去年「野球ワールドカップ2001」のイメージ・ソングとして流れていた曲だったんですけど、曲のイメージや込めている言葉の意志をより強く伝えたかったので、リズムの刻み方やギターの感じ、オケのバランスなど少しアレンジが変わっています。やっと言葉と感情と音が一致したので、いい形で出せたと思います。
11.crystal pearl
曲を聴いた時にパールがちぎれて、パラパラとこぼれるイメージがあったんです。よく物を壊したり失くしたりするんですけど、それはなぜか本当に大切なものに限ってなんですよ。大切にすればするほど壊してしまうから、何でだろうって思っていたんですけど、そんな切ない気持ちと恋愛がパッと重なったので、それを歌詞にしてみました。曲自体は繊細で壊れそうってイメージなんですけど、歌ってみるとどこまでも感情を受け入れてくれる曲なので、ヴォーカルもより感情を入れられました。
12.precious pain
これもこの1年間で感じた気持ちを描いています。“切ないほど生きている、疼くほど生きている”という言葉があるんですけど、デビューする前のようにラクして生きてきているのも、それはそれで楽しかったし、その時はその時で生きているって感じがしていたんです。でも、やっぱり本当に強くなろうと色んな事を受け止めて、大きな規模での信頼とか支えを得ていくと、見たくない物や嫌な感情があったりするんです。だけど今自分がそういう中で生きていると、痛いほど自分がちゃんとここで生きているんだっていう、自分の存在をしっかりと確認出来るありがたさもあって。そういうのを感じてこの歌詞が出来ました。
13.Run up
実はクラブサーキットを廻った後に、ちょっと声の調子を悪くしていたんです。だからこの曲は、自分を追い詰めたり、一番葛藤していた時期に作った作品。 「FAITH」とは反対というか、“こういう事に気付いた”じゃなくって、自分を前向きに持っていくために自分の嫌な部分を出しながら前向きに持っていった曲。その時は素直に自分が葛藤しているとは言えなかったので、一見、応援ソングに見せておいて、実は自分の葛藤をすごく表している内容になっています。“自分ではじめに 自分を裏切ってる そこに救いなんてものは 何もないから”って言い聞かせながら、一つ一つ言葉を噛み締めて歌っていたから、今でもこれを聴くとア〜ッて思いますね。今もまだ完璧とは思えないので不安な気持ちはありますが、この頃よりは絶対に強くなったって確信しています。
14.Can you feel the POWER OF WORDS?
このアルバムの本当に締めっていうか、取りあえず今自分が言える事をこの曲でしっかりと言えたんじゃないかなって思っています。今までは大きな愛に対しては“僕たち”って言葉を使っていて“私たち” って言葉が使えなかったんです。でもこの歌詞ではすごく素直な自分が表現できて、自然に“私”っていう言葉が使えたんです。それがすごく嬉しかったですね。
●●●● 愛内里菜全国ライヴ・ツアー決定!●●●●
「RINA AIUCHI LIVE TOUR 2002“POWER OF WORDS”」
・5月16日(木)Zepp Osaka
(問)サウンドクリエーター:06-6357-4400
・5月24日(金)名古屋Club Diamond Hall
(問)サンデーフォークプロモーション:052-320-9100
・5月29日(水)Zepp Sendai
(問)G・I・P:022-222-9999
・5月31日(金)Zepp Sapporo
(問)WESS:011-614-9999
・6月 8日(土)Zepp Fukuoka(問)BEA:092-712-4221
・6月12日(水)Zepp Tokyo(問)H.I.P:03-3475-9999
★追加公演決定!!
・5月17日(金)Zepp Osaka
(問)サウンドクリエーター:06-6357-4400
・6月13日(木)Zepp Tokyo(問)H.I.P:03-3475-9999
OPEN18:00/START18:30
料金:¥5,000(税込、1ドリンク付)
●●●● 初のオフィシャルBook発売決定!! ●●●●
愛内里菜MUSIC & FASHION BOOK「made in RINA 2002」
未公開&取り下ろし写真が満載の、初のオフィシャル・ブックがアルバムと同時に発売されます!! 2nd ALのインタビューや楽曲解説はもちろん、彼女の歌声の秘密が分かるヴォーカル・アドバイスも掲載。これまでの衣装やこだわりのアイテム紹介などもある、愛内里菜のセンスや音楽性に迫る一冊!
(問)ジェイロックマガジン社
http://www.j-rock.com¥1,470(tax in)
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