メキシコ人の母親の影響で、幼い頃からスペイン語楽曲を聴いていたLAURA LIZA。昨年7月にメジャー・デビュー・シングル「花」をリリースしてからは、着実にステップ・アップしてきているが、それに比例するように注目度も徐々に高まって来ている。1月にリリースされた2ndシングル「PARAISO」は、Inter FMのパワー・プッシュ曲へと選ばれ、3月にリリースされた3rdシングル「1-2-3 Vamos!!」は、USENの“問い合わせチャート”の1位になった。そして、この曲ではテレビ番組へも出演している。確実にLAURA LIZAの名前が浸透しつつある中、遂に1stアルバム『LAURA LIZA』が完成した。今作にはシングルで聴かせてくれたノリの良いラテン・ハウスはもちろん、それとは正反対の世界観を見せるボサノヴァ、サルサ、ミディアム、スロー・ナンバーもあり、その一方でラテン系サウンドの作品と一言で表現するのが憚られるようなジャンルを越えたミクスチャー的ラテン・ロック、タンゴ・ポップといった楽曲もある。ほとんどの歌詞がスペイン語となっているため、洋楽のようなフィーリング重視で聴く事もできるし、全てに日本語訳が付けられているので、LAURA LIZAの心の内もじっくりと感じて聴き入る事もできる。様々な表情を見せる全12曲についてLAURA LIZAに話を聞いてみた。
●まずはアルバムが出来上がった感想を聞かせて下さい。
LAURA LIZA(以下LIZA):「花」の後から曲作りをしていたので、やっと出来て嬉しいなって。自分で聴いて、あの時はこうだったなっていうよりは、普通にその曲に入りこんじゃう感じ。悲しい曲だったら悲しくなっちゃうし。
●アルバムのタイトルを自分の名前『LAURA LIZA』に決めたのは?
LIZA:まず、一番最初のアルバムだっていうのと、内容的にも私の色んな面が入っている気がしたので。元気な時、やる気に満ちている時、自信がない時、悲しい時とか……、そういうので「私よ!」って感じになっているから。
●アルバムを作る時に、自分の中でテーマやコンセプトは考えていましたか?
LIZA:できるだけ嘘のないものがいいなって。私の中では人に気持ちを伝える手段が歌だったりするから、そういうのを詰め込んだ手紙とか日記みたいな内容の歌詞にしたいなって。だから両親の恋愛を描いた「Air mail」もそうだし、日記とか独り言みたいなものも多い。嘘を書いていると歌っている時に気持ちが分からなくて嫌だから。
●スペイン語の中に日本語の1フレーズがあるとすごく効果的なんですけど、日本語の重要性は考えていますか?
LIZA:この言葉が格好いいなって思ったら日本語にする。いつも最初にスペイン語の歌詞を書いて、その後に日本語に和訳したようなものを作って、それから日本語の歌詞を書いていくんだけど。それでこの言葉いいよねとか、これ残したいっていうのを日本語で入れている。
●アルバムはシングルとはぜんぜん重みが違うと思うんだけど、自分自身で作品を作り終えて成長したと思う所はありますか?
LIZA:頑張ると後で達成感みたいなのがあるじゃない? それがいいなって。私にもこれができるんだって。だからもっともっと頑張らなきゃって気持ちになる。曲は今までよりも全体的に大人っぽくなっているんじゃないかな。
●自分自身で変わったなって思う所はありますか?
LIZA:最初の頃に比べて、曲に関しても詞に関しても意見が言えるようになったと思う。前から言っていたけど、今はもっと自分が表現できるようになったかな。例えば、1曲目に収録されている「Amorcito Corazon」のカヴァーをやりたいって言って曲を持ってきたのは私だし。最初、周りではその曲じゃ駄目なんじゃないのって意見もあったけど、これがいいの!って押し通してみたりとか。
●一番印象に残っている曲は何ですか?
LIZA:その「Amorcito Corazon」。私がこの曲を最初から最後まで通して聴いたのは、ルイス・ミゲルのアルバム『MIS ROMANCES』に入っているナンバーだったんだけど、その前からいつもお母さんが1フレーズを歌っていて、それをルイス・ミゲルのアルバムで再会したの。でも、お母さんは私のおばあちゃんが歌っているのを聴いて覚えたらしくて、おばあちゃんは私のひいおばあちゃんが歌っているのを聴いて覚えたって言うから。つまりは、3代に渡って歌い継がれているのね。だからこれをやったら家族も喜ぶなっていうので、すごくやりたかった。だから自分でもこの曲はすごく気に入っている。
●お母さんは何て言ってましたか?
LIZA:お母さんがおばあちゃんに電話をしてその事を言ったらしいんだけど、特におじいちゃんが喜んでいたらしい。おじいちゃんもその歌をずっと歌っていたから、みんなが大喜びしている。
●LIZAさんのおばあちゃんがいるメキシコだと有名な曲なんですか?
LIZA:今でも昔でも有名な曲。その時代に売れている歌手がその時代風のアレンジで、同じ曲をそれぞれが違う感じで歌っているのをみんなが聴いているから。しかも最近分かったんだけど、その曲を作曲した人が家の近くに住んでいて、おじいちゃんの知り合いだったみたい。
●個人的に気に入っている曲はどれですか?
LIZA:この「Amorcito Corazon」が一番なんだけど、あとは「La cancion del amor」と「MUSICA」。「MUSICA」は新曲では唯一の日本語詞。詞を書いてって言われてからずっと1、2週間煮詰まってたんだけど、でも書き始めたらこういう風にスラッと日本語が出てきた。すごくストレートに歌詞が出来たし、作る過程でも自分の気持ちの上でも想い出が詰まった曲だから大事な曲。だからこれは日本語詞でって思った。あと、すごく書きたいと思っていて、曲を聴いた時にこの歌詞が使えるかなって思ったのが「Amor Como Una Flor」。お母さんと昔、好きな人の話とかしてて「愛は花のようで、水をあげなきゃ枯れちゃうし、あげ過ぎてもダメだし、その微妙な量がちょうどいいのよ」って言われて、いい話だって思っていたから(笑)。 こういう愛の話にしてもそうだけど、誰かを信じる事は大事っていう話もよくしてくれて。何かを信じられる事、それは神様でもいいし、そういう信じられるものがあるのは大事だよって。だから私はわりと人の事や色んな事を信じるから。誰かと関わる時は、その人を信じないと何も始まらないし、何も話せないって。本当に色んないい事を教えてくれる。昔からお母さんはそういう心の面で教えてくれて、お父さんは一緒に森探検に行ってこの木は何ていう名前なんだとか教えてくれたり、勉強を教えてくれたりした。2人から学ぶ事は一杯あるなって思うし、やっぱり家族は大事だよね。
●ちなみに、スペイン語の歌詞はどうやってチェックしているんですか?
LIZA:お母さんに見てもらってる。
●この作品をどういう人にどんな風に聴いてもらえると嬉しい?
LIZA:家族とか一番大切な人にはまず聴いて欲しい。あとは同年代の子とか、スペイン語に触れる機会がない人とか、ラテンっていう世界に触れる事のない人にも聴いて貰えたらいいなって。私のストレートな気持ちを書いているし、スペイン語の和訳も書いているから、読んで確かにこうなるよねって思えるんじゃないかな。私がすごく憧れるのは、「La cancion del amor」という愛の歌があるので、女の子が男の子の事を好きだったとして、「この曲をあなたに贈るわ」ってなったらいいな。なんか、私の曲で幸せになって欲しいな。その子が歌ってもいいし、CDをテープにダビングしてもいいし、そういう風にしてもらえると嬉しい。あとは、波音が入っているので夏の車の中とか、部屋でボーっとする時にも聴いて貰えたらいいかも。
Self Liner Notes
1.Amorcito Corazon
色んな人がカヴァーしてる古いメキシコの歌。ルイスがチャランゴ(中南米の小さい12弦ギター)とカバサ(パーカッション)で参加してくれていて、明るいボレロ・ポップになっている。「 Amorcito=愛しい人」で、「Corazon=心」って意味で、訳すと「心から大切な人」って感じ。この日本語詞は私が可愛く訳しているんだけど、スペイン語の曲にはただ一つの気持ちを歌っているものが多くて、ここでは「あなたが大好きだからキスがしたい」って事しか言ってない(笑)。誰もが誰かの事を好きになったらそんな気分になるだろうっていう、甘〜い歌。ルイスは昔の曲を私がやる事で私と同年代の人にも聴いてもらえる機会が作れたので、そういうのは続けて欲しいって言っていたな……。この曲に限らず昔の曲でいいのがあるから、それも歌うのはいい事だよねって。
2.La cancion del amor 〜Song of love〜(Unplugged version)(「愛の歌」)
最初のシングルよりさらにアコースティックを重視した、ジャジーで大人な雰囲気のアレンジになっている。最初の曲だったっていうのもあるけど、すごくお気に入り。恋愛の濃い感じの歌詞がいいでしょ!
3.1-2-3 Vamos!!(「1、2、3、さぁ行こう!」)
ラテン、クラブ、ハウスなどのミクスチャー・ナンバー。「PARAISO」の続編みたいな感じで作った曲だから、自分でもこの曲を聴いたら頑張らなきゃって思う。そういう気持ちで作った曲だから、落ち込んだ時に聴くと「いけない」って思うんだ。
4.Carino (「愛しい人、愛情」)
ロック・エン・エスパニョール 。イントロのギター・フレーズは、ラテンのピアノのフレーズ“モントゥーノ”をディストーション・ギターでやったら面白いんじゃないかって発想で出来たもの。これはすごくストレートな、片想いの気持ちを書いた曲。愛情を頂戴よって、好きな人への気持ちをズバッて言ってる。私がこんなに好きなんだから、あなたがくれたらもっともっと好きになってあげるよって。一番言いたかった“愛し合いたいよ”って部分が日本語になっていて、そこが浮き出てくる感じに仕上がってすごく満足。
5.Amor Como Una Flor(「愛は花のよう」)
サルサ・ナンバー。昔、お母さんから「愛は花のようで、水をあげなきゃ枯れちゃうし、あげ過ぎてもダメだし、その微妙な量がちょうどいいのよ」っていう話を聞いて、いい話だなって(笑)。 お母さんはメキシコの人だし、「愛=ア・モーレ」っていう言葉が、普通の家庭よりは出てくるんじゃないかな。やっぱり愛は大事よって話になったりするから。
6.MUSICA(「メロディ」)
ガット・ギターを前面に出したボサノヴァ。曲を聴いたり、想い出なんかを話す時に、「あの時こういう曲を聴いていたよね」って常に“MUSICA”が色んなシチュエーションで付いてくるじゃない? 曲聴いて想い出す事ってあるから、そういう2人の想い出を「MUSICA」って歌詞にした。
7.Air Mail
今回のアルバムに合わせてミックスし直したバラード・ナンバー。両親の恋愛話をちょっと膨らませて書いた歌詞。親もすごく気に入ってくれていて、いつも聴いてるみたい。私も子供に自分の恋愛話と一緒にこれを語りたいと思うけど、でも、お母さんが自分で語ると思うし、たくさんの人に語って欲しいと思う。
8.Amor Perdido(「失恋」)
ラテン・ポップ。女の子が強がって吹っ切った失恋の歌。サビの“あなたが泣きついてきても、絶対に許さないから”って感じの所があるんだけど、ここまで強がって吹っ切っているのが女っぽくていいかなって。強くなりたいと思って強がる姿が逆に女っぽいなって。ラップの部分はなるべく雰囲気を変えたかったから、大人っぽく入れてる。
9.Eterna(「永遠」)
バンド・ネオンのタンゴ・フレーズが入った、タンゴ・ポップ。この先どうなるのか自分が分からなくなっている気持ち。私にとって「永遠の国」は、今はまだ探している段階。悩んでいる時って幸せじゃないかって言ったら、逆に悩みがあるから幸せじゃないかって気がするし。悩みがない方が、幸せではないんじゃないかって気がするんだよね……。
10.PARAISO(「楽園」)
ラテン・ハウス。楽園が欲しいって気持ちを歌っている。私は自分の夢に向かって頑張っている時が、楽園だったり自由であったりするかな。
11.GRADUACION (「卒業」)
ポップ・ラティーノ。これは学校とか何かの卒業というよりは、1日1日をイメージしている。今日が終わって今日を卒業してまた新しい1日が始まるって、そういうイメージ。歌ってても楽しかったし、たぶんその気持ち良さが出ていると思う。このアルバムを作り終わっても、また明日が来るから次も頑張るぞーって感じ。
Bonus TrackーMUSICA 065S remixー
クラブ「ウーム」のリミキサーの手によるリミックスは、ドラムン・ベースのアレンジになっています。
*タイトル横( )は日本語訳タイトル
|