Special Edition

倉木麻衣 VS 大野愛果 対談


本誌のアンケートでも、やって欲しい企画で常に上位にあがっている「アーティスト対談企画」。今回、遂にその第1弾が行われる事に!! 記念すべきその第1弾を飾るのが、倉木麻衣と大野愛果。倉木麻衣作品をデビュー当時からを支えてきた大野と、その大野のサウンドから詞世界の幅を広げてきた倉木。お互いが評価し合い、数多くの素晴らしい作品を今までに生み出してきている。そんな2人の強い絆が感じられるようなエピソードが、2002年1月17日に倉木麻衣がシングル「Winter Bells」を、 大野愛果が日米同時リリースされた1stアルバム『Shadows of Dreams』を同日に発表した事。そしてまた、今年を締めくくるべく12月4日にリリースされる倉木のシングル「Make my day」と大野の2ndアルバム『Secret Garden』も同日となっている。ライヴでもコラボレーションを披露し、倉木&大野でタッグを組んだ作品は、倉木ファンにとってはまさに欠かせない存在となっている。2002年もたくさんの“絡み”で多くの人を魅了してきた2人に、今年1年を振り返ってもらった。


倉木麻衣(以下倉木):今年も後残り僅かですけど、大野さんは今年1年どうでしたか?
大野愛果(以下大野):今年は作曲家としての活動の他に、自分のセルフ・カヴァー・アルバムをリリースしたり、倉木さんのライヴやHOTROD BEACH PARTYに参加したりと、とても充実した1年だったと思いますね。倉木さんも今年は、色んな活動をされて忙しかったんじゃないですか?
倉木:そうですね。まず、今年の初めは“Loving You …”ツアーから始まって、HOTROD BEACH PARTY等色んなライヴをした印象が強いですね。“Loving You …”ツアーは、大野さんにもゲスト・ヴォーカルとして参加して頂いたんですけど、初めてのアリーナ・クラスでのライヴだったので緊張しましたね。ツアー中に、多分広島だったと思うんですけど、ライヴが終わってホテルに戻ってから大野さんとイヤモニ(イヤーモニター)の話で盛り上がってしまって。会場によって残響が違うから、同じ設定でも聴こえ方が全然違うしどうしてます?、何の楽器をメインに音とってます?、みたいな話で盛り上がったのをまだ覚えています(笑)。あの時は、これは同じステージで歌っている大野さんに相談するしかない!と思っていたから。
大野:そんな事もありましたね(笑)。今となっては笑って話してますけど、あの時は真剣でしたよね。ツアー秘話は色々思い出しますけど、私はツアー中も作曲ができるように小さなシーケンサーを常に持ち歩いていて、倉木さんに「どうやってそれ使うんですか?」って聞かれて、倉木さんが一生懸命うん、うんと頷きながら聞いていたのを思い出します。そう言えば、自分で作曲は始めましたか?
倉木:今少しずつトライしています。断片的にフレーズは浮かんでくるけど、それを1曲にまとめるのが難しくて。その度に大野さんってすごいなと思います。大野さんのメロディはデモを聴いているだけでも、そこに感情があるというか伝わってくるものがあるんですよね。
大野:私はいつも出来上がった倉木さんの歌を聴いて、自分がデモの時にはなかったフェイクや倉木さんの歌いまわしやニュアンスの違いを聴いて、おっこう来たか!と思って嬉しくなりますね。逆に私自身新しい発見をするというか。
倉木:そう言って頂けると、とても嬉しいです! いつもは大野さんのデモを聴いて詞を書いているんですが、3rdアルバムでは詞先で曲をお願いしたんですよね。「不思議の国」は、自分でも書きたい事を一気に書いてお渡ししたので、どんな曲になるのかな?っていうのと、こんな詞で曲が書いてもらえるんだろうか?って、詞を渡した後になって心配したんですけど。イメージ通りの曲が上がってきて、やっぱり大野さんとはどこか通じるものがあるのかな?なんて勝手に思ってしまいました(笑)。
大野:私は逆に、倉木さんの詞からインスピレーションを受けて曲が書けましたね。曲のイメージもすぐに浮かびました。実は「不思議の国」のようなタイプの曲を一度書いてみたいと思っていたんですよ。この曲はコーラスにも参加したのですが、この曲のオケと倉木さんのヴォーカルを聴いていく内に、さらに世界観が広がってコーラス入れも今までとは違う遊び感覚で楽しかったですね。
倉木:じゃあ、いつかこの曲もカヴァーして下さい! 出だしは「オハヨウ 又は コンバンハ」だから「Good morning or good evening」になってしまうのかな(笑)。
大野:(笑)。基本的に自分でセルフ・カヴァーをする時は、私が一番最初に作ったデモテープにそって作っているのですが、アレンジャーさんによってそれぞれの解釈でオケが上がってくるので、新しい発見があったりしてすごく面白いですね。心掛けている事は、自分のできる範囲で自分が想像するイメージ通りに聴こえるように歌う事。でもまだ曲が求めているものに辿りつけていない気がするので、もっと良くなりたいと思っているんですけど。今回のアルバムでは「The Frozen Sea」に倉木さんも参加してもらって、ツアーでも一緒に歌った曲なんですよね。
倉木:そうですね。大野さんの歌を聴いて、自分なりに大野さんのヴォーカルの邪魔にならないように、だけど何かスパイスが加わればいいかなと思って新たなラインを足したりしていったんですけど。同じラインを歌うとどうしても重なった時に誰だかわからなくなってしまう。大野さんに合わせようと思って歌っているわけじゃないんですけど、曲の雰囲気を壊さないようにしようと思うと、どうしてもニュアンスが似てしまうんですよね。大野さんのセルフ・カヴァーを聴いていていつも思うんですけど、私がデモで聴く雰囲気や世界観が上手く再現されていて。メロディとその他のコーラス部分、例えばメロディに対するハーモニーや新たなメロディ・ラインが複雑に絡んでいるんだけどそれを感じさせない一体感があって、聴いていて心地いい響きなんですよね。
大野:私にとってセルフ・カヴァーをするということは、いつもはメロディだけなので気分は「生みの親」、セルフの時は「育ての親」になった感じなんです。自分でもどんな音楽に作りあげられていくのか、その工程をすごく楽しんで作っています。倉木さんヴァージョンも私にはない倉木さんらしさがちゃんと出ていて素晴らしいと思いますよ。
倉木:ありがとうございます! これからも頑張ります。今年最初のリリースが大野さんと同じ日で、また最後のリリースも同じ日なんですよね。
大野:本当! 今年は2枚セルフ・カヴァーをリリースしたのですが、2ndは楽曲自体が1stに比べてバラエティに富んだせいか、それぞれの曲に合った歌い方を追求したら、ヴォーカルもバラエティに富んでしまいました(笑)。「大野愛果」というより、自分の声は「パーツ」であくまでも主役は「音楽」。声、メロディ、サウンドのひとつひとつが自分であって全てひっくるめて「大野」だと思って頂きたいですね。
倉木:私は、音楽を通して自分の伝えたいメッセージが伝わるといいなと思っています。それからメロディに対してどんな言葉を乗せていくのか、言葉選びというかメロディと言葉の関係みたいなものをもっと追求したいと思っています。今回のニュー・シングルは力強さを感じる曲なので、自分の持っている弱さや不安な部分に負けないで自分の心に向き合って成長していきたいなっていう、自分に対する決心の意味も込めて詞を書きました。どうせ同じ1日を過ごすのなら楽しく生きた方がいい。
大野:ライヴでも歌っていましたよね。今までにはないパワーが出ていたと思います。倉木さんの魅力をいい方向に最大限に引き出せるような曲をこれからも作っていきたいと思っているんですよ。
倉木:ありがとうございます。楽しみにしています。


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