GARNET CROW LIVE REPORT
10.21 at Akasaka BLITZ

                                          LIVE REPORT「GARNET CROW LIVE TOUR 2002 〜first live scope〜」
10.21 at Akasaka BLITZ

 10月10日大阪・なんばHatch、21日東京・赤坂BLITZ、31日福岡・Zepp Fukuokaに、追加公演として12月11日東京・SHBUYA-AX、16日大阪・なんばHatchも急遽決定するなど、チケット争奪戦となったGARNET CROWの初ライヴ・ツアー「GARNET CROW LIVE TOUR 2002〜first live scope〜」。多くの人に是非とも目にしてもらいたいと思う素晴らしいステージとなっていたこのライヴが、2月5日にDVD「GARNET CROW first live scope and document movie」としてリリース決定! ツアー途中だったため、11月号(Vol.96)では赤坂BLITZの模様を簡単にレポートしただけだったが、今回はDVDのリリースに先駆けて詳細なライヴ・レポートを掲載したいと思う。

 前回のライヴ・レポートでも書いていたが、まず今回のGARNET CROWのライヴで印象的だったのが、ライヴ・ハウスでありながらも客席には座席が設けられていたという事。これは彼らが作品をじっくり聴いて欲しいからそのようなスタイルにしたのだろう。ノリや勢いに任せなくても私たちの楽曲の良さは伝わる……、そんなGARNET CROWの自信が伺える。
 会場に流れていたBGMのヴォリュームが上がっていくと場内が暗転し、いたってナチュラルにメンバーが歩いてステージに登場。そのシルエットに客席からは大きな歓声と拍手が上げられる。柔らかなギターのフレーズが奏でられ、清々しい雰囲気に包まれた場内に中村の艶っぽい声が広がり1曲目「call my name」からライヴはスタート。既にこの1曲目から興奮したオーディエンスはオール・スタンディング状態となり、客席は一気に温度が急上昇。目に飛び込んでくる鮮やかな赤い布が敷かれたステージに、黒っぽい衣装に身を包んだメンバーの姿が見える。ヴォーカルの中村由利を中央にして、向かって左側にキーボードの古井弘人と、ギターの岡本仁志、そして中央バックにはドラムのDavid C.Brown、左側のバックにはギター・サポートとして大賀好修、アコースティック・ギターの岩井勇一郎が並ぶ。そして、向かって右側にはキーボードのAZUKI 七、そのバックにベース大橋雅人、コーラス隊3人(福田和希、日向寺咲、松本涼子)が位置している。古井とAZUKIは中村を挟んで向き合うようなスタイル。今回のGARNET CROWのライヴで大きな魅力となっていたのがこのバンド形式。作品では繊細なサウンドを聴かせてくれている彼らが、ステージではさらに奥行きを持った楽曲へと変化させ、新しいアプローチを試みてくれた。そんなサウンド世界に深みを与えているのが歌詞だが、光が射す時のイメージを抱かせる菱形のような変形スクリーンがステージ上方には設置されており、そこにメンバーの姿やイメージ映像と共に歌詞が映し出され、GARNET CROWによる様々なストーリーが紡ぎ出されていた。
 中村が軽快な腕さばきでタンバリンを披露した「夏の幻」では、盛り上がったオーディエンスからリズムを取ったハンドクラップが涌き起こる。岡本は歪んだギター・サウンドを聴かせ、古井は激しく身体全体でキーボードを弾く。アコギのみのシンプルな原曲よりも華やかさが増して、曲中にあるドキドキ感をさらに助長させた高揚感を与えてくれた。ちょっとした所に幸福がある事を気付かせてくれる、「君の家に着くまでずっと走ってゆく」では、ゆるやかで穏やかな空気が満ち溢れ、心がポカポカと温まりハッピーな気持ちに包まれていく。「初めてフリを付けた」と言う「fling」では、躍動感を身体全体で表現するように手をクルリと回すフリが付けられていて、それを見た場内も同じように真似をしている。一気にグルーヴィーでダンサブルな世界へ落とし込んでくれた「wish★」。みんな嬉しそうな表情で中村の一挙手一投足を見逃さないようにしており、同じように踊ったりとステージ上のメンバーと共に存分にこの時間を楽しんで過ごしている。
 「こんなにたくさんの方が来てくれて安心しました」と喜びの言葉を口にした後、「水のない晴れた海へ」へ。 秘めた情熱を感じさせるように、AZUKIの指が鍵盤の上を躍り続け、さらに幻想的な空間へと導いて行く。海の後には空。色彩鮮やかなパノラマが広がるサウンドの「スカイ・ブルー」では、迫力さえも感じられた力強いヴォーカルに呑み込まれて行く。「Timeless Sleep」では、ミックス・ヴァージョンで聴く事ができるノスタルジックなイントロの音色をAZUKIがフルートで披露。天に昇って行くような叙情的な世界を醸し出した、しっとりとした時間が流れる。
 「こだわりのある個性的なメンバーを紹介します」とここでメンバー紹介。ドラム、ベース、ギター、アコースティック・ギターとバック・バンドを先に紹介した後、「アレジャーGod Hands!、古井弘人。カリスマ・ギタリスト、岡本仁志。名ポエマー、AZUKI 七。ヴォーカルは中村由利、歌姫です」とあっさりとしたモノ。普通、バンドのメンバー紹介と言うとソロがプレイされたりするが、古井はリラックスした表情で場内に手を振り、岡本は照れ笑いを浮かべてお辞儀、AZUKIは静かに立って微笑むといった様子で、それぞれのキャラクターを実感。こういうのもまたGARNET CROWらしい。
 「みなさん楽しんでますか?! まだまだいけそうなので、後半に相応しい曲をやります!」と元気良く言い、「Naked Story」に突入。サビ部分の“Naked story yeah〜”の部分では会場からこぶしが振り上げられ、その姿を見て中村が嬉しそうに笑顔で歌い、さらに中村が手を大きく左右に振るとオーディエンスもそれに呼応し、ライヴ後半に向けて一体感が加速を付けて増していった。うねるようなベースに岡本のディストーションを効かせたギター・ソロが炸裂し、一層ハリのあるヴォーカルが響き渡った「Rhythm」、楽しくてしょうがないといった表情で中村が飛び跳ねていた 「二人のロケット」と、残ったエネルギーを爆発させたかのように盛り上がりは最高潮を見せていく。ラスト「Mysterious Eyes」では「みなさん一緒に歌いましょう!」と促し、オーディエンスからも大きな歌声が起こる。それにしても、中村の声というフィルターを通すと、様々な歌詞の言葉や風景が息吹きを浴びたかのようにイキイキとして伝わってくるから不思議だ。
 アンコールは、メンバーがステージを引く前からすでに「GARNET」コールが沸き上がるほどの熱狂振りとなっていた。その声に応えるべくして、すぐにメンバー4人が手を振りながら登場。「今回のライヴは初めてなので、心に残るものにしたいと思ってリハーサルしてきました。みなさんの中でも忘れない1日にして貰えたらな」と言うと、すかさず「忘れない!」といった声があちこちから飛ぶ。そして、「こんなにあたたかい声援を貰ってライヴ中も心強かったです。TV出演してGARNET CROWを知ってもらえたとても大切な曲なので、みなさんにとっても大切な曲であって貰いたい、そう願っています」と、流麗なピアノのイントロで静かに始まった「夢みたあとで」。熱を帯びていた会場はスーッと静寂に包まれて行く。フェイクを交えて、さらに心を込めて言葉の一粒一粒を大切になぞる中村のヴォーカルにオーディエンスの耳は釘付けになっていた。「みんなと歌いたい!」とラストとなった「スパイラル」では、最後に「もう1回歌って下さい!」「もう1回行けますか?!」と煽り、サビ部分を3回繰り返して歌い、興奮もマックスとなった状態でライヴは遂に終了。4人が並んで手を振りながらステージを去っていく。
 さらに追記しておくと、10月31日の福岡Zepp Fukuoka以降からは、アンコール1曲目にリリース前だった「クリスタル・ゲージ」が披露されている。ライヴに映えする弾けたPOP感を持つこの作品によって、さらに熱気の渦を巻き起こしていた。
 約90分という短い時間のライヴは本当にあっという間で、もっともっと彼らのステージを観たいと感じさせるものであった。彼らの楽曲のクオリティの高さは充分に分かっていたはずなのだが、このステージを体感する事で、さらにどれだけ素晴らしい作品を創り出してくれていたのかを改めて考えさせられてしまう。早くも次を求めてしまうが、その前にライヴDVDで“初ライヴだからこそ……”といった所を感じて楽しむのもいいかもしれない。

<SET LIST>
1.call my name 2.夏の幻 3.Last love song 4.君の家に着くまでずっと走ってゆく 5.flying 6.wish★ 7.水のない晴れた海へ 8.スカイ・ブルー 9.Holy ground 10.Timeless Sleep 11.Naked Story 12.Rhythm 13.二人のロケット 14.Mysterious Eyes Encore1.夢みたあとで 2.スパイラル

★初のライヴDVD「GARNET CROW first live scope and document movie」2.5リリース!
上記でレポートした赤坂ブリッツのライヴの他に、約20分のメイキング映像も収録。なかなか見る事が出来ない彼らの制作現場、そして表情に会える貴重な映像となっています!!
<収録予定曲>call my name/夏の幻/Last love song/君の家に着くまでずっと走ってゆく /flying/wish★/水のない晴れた海へ/スカイ・ブルー/Holy ground/Timeless Sleep/Naked Story/二人のロケット/Mysterious Eyes/夢みたあとで/スパイラル
収録予定時間:110minONBD-7022 B-VISION ¥3,990(tax in)