倉木麻衣

ニュー・アルバム『If I Believe』
7.9Release!




涼やかな夏の空気をいち早く運んでくれた最新シングル「風のららら」「Kiss」、ロング・ヒットとなった叙情的に春の風景を描く「Time after time〜花舞う街で〜」のシアター・ヴァージョン、さらにリアレンジした「Make my day」といった大ヒット・ナンバーに加えて、「SEA BREEZE」第2弾CMソングとしてオンエアされている「If I Believe」、さらにアジアの歌姫・燕姿(Yan-Zi)とのデュエット・ソング「Tonight, I feel close to you」を含む全11曲を収録した倉木麻衣の4thアルバム『If I Believe』が遂に完成!! クールダウンしたい夏にぴったりな、ゆるやかでリラックスしたグルーヴに包まれた今作の大半のトラック・メイキングは、1stアルバム『delicious way』を手掛けたCybersoundの手によるもの。リゾート、ドライヴ・ミュージック、インドアでの落ち着いた時間......などなど、この夏を爽やかに最適に演出する仕上がりとなっている。8カ月にも及ぶ「FAIRY TALE」ツアーが終了し、そのライヴによってどんどん自分の内面に変化が起こったと言う彼女。自分を信じる事、そして“らしさ”とは……?といった、より一層自分と対峙する事によって生まれた、今の正直な“倉木麻衣の気持ち”が自分自身に言い聞かせるように綴られた作品になっている。取材はツアーが終了した3日後に行われた。ライヴの興奮が覚めやらぬ間に……と思って挑んだのだが、彼女自身は既にもっと先を見据えている様子であった。ツアーや作品、そして今後の事について話を聞いた。

●8カ月に及ぶ「FAIRY TALE」ツアーが6月15日に終わったばかりですが、最終日はいかがでしたか?
倉木麻衣(以下倉木):あぁ今日で終わっちゃうんだなっていう気持ちと、去年の10月28日からの8カ月間の想いとが一気に走馬灯のようにぶわーっと駆け巡って、ちょっと寂しい気持ちと、感動と感謝の気持ちで一杯になって、最後は涙ぐんでしまいました。本当にみんなの温かさをすごく感じたライヴでした。

●4月にNHKホールと東京国際フォーラムで観させて頂いたんですけど、両会場ともで「Stay by my side」を歌う時に胸を熱くしているというかウルウルしている感じが、思い込みかもしれないんですけどしました。
倉木:いつも「Stay by my side」を歌う時は、MCでも“この曲はすごく特別で大切な曲”ってみんなに話してるんですけど、デビューしてからこの速いスピードの流れの中でも自分自身の気持ちを忘れないように、初心の気持ちを忘れずに持つようにしたい、それを支えてくれているみんなにこれからも側にいて欲しいという気持ちが強くて……。だから今でもすごく当時を想い出しながら歌う事ができるので、どうしても熱くなってしまうんです。曲調もミディアムで感情が込めやすいから、いつもそこになると“少し落ち着いて”って感じになってしまいますね。

●初めは緊張しながらだったと思うんですけど、冷静にステージをこなせるようになったのはいつ頃からですか?
倉木:毎回緊張していて、ステージに出て2、3曲歌わないと1人1人の顔を見る余裕はなかなかないんですけど、そう出来るようになってきたのが、今年2月辺りですね。そこからちょっと余裕が出てきました。

●それは何か変化があってですか?
倉木:会場の皆さんがよくプラカードみたいなのを作って来て、「見て見て!」って感じでカードを掲げてくれたりするんですが、それがチラッと見えたり、あとは口ずさんだり真剣に歌ってくれている姿を見て、ありがとうっていう想いと、“よし!このステージを頑張ってやるぞ!”って気持ちが自然と芽生えてきて。緊張してた分そこでより会場の皆さんと接近できて、コミュニケーションが取れた感じがして、ホッとするというか緊張が取れてすごくリラックス出来ました。

●会場の皆さんに助けられたって感じ?
倉木:本当に皆さんに助けられながらって感じです。ステージに立つと、会場の皆さんの熱さっていうかオーラをすごく感じるんです。特に最初の10月頃は逆に押されていた部分もあったんだけど、いい意味で場慣れしてきて、自分なりにハプニングがあったら対処できるようになったりと少しずつ余裕が出てきて、ステージを楽しめるようになりました。

●みんなで楽しめるコール&レスポンスの多いライヴだから、余計身近になったんでしょうね。
倉木:最後は一体となって、後ろの人も手を振って気持ちを出してくれるので、楽しんでくれているんだなってのがより伝わってくるんですよね。だから、そういった皆さんとのコール&レスポンスていうのは、やっぱりライヴの一番大切な部分だなって。

●これだけのライヴを行う上で、倉木さんの精神的、肉体的な支えは何だったのでしょうか?
倉木:一番精神的にも体力的にも支えになっているのは、身近にいるファンやスタッフの人達。応援メッセージを貰ったり会場の皆さんが頑張ってねって気持ちをくれたから、ツアーを最後までやり遂げようって思えた。あとは自分自身の気持ち次第。本当に心を強く持っていかないと。ロング・ツアーだと本当に辛い時もあって、特に体力面が一番大変で、体調がすぐれないとライヴそのものにも影響するし、テンション上げたりするのも難しくなったりするんです。でも、その中でもスタッフの皆さんが支えてくれているのをすごく実感出来ました。

●冬は熱を出したり、春は花粉症だったりしたんですよね。
倉木:そうですね。一番辛かったのは花粉の時期。あとはレコーディングが入るとその切り替えが大変です。ライヴ・ツアーに出ていると規則正しいから自分のリズムを掴んでいるんですけど、少し間が空いたりしてしまうと乱れがちになって、一気に体調に来てしまうんですよね。やっぱり身体は大切だなって。本当にそこは自分との闘いというか、頑張って精神面を強く持たないとなって思いました。

●倉木さんが風邪をひいている時に観に行ったファンの子からハガキが来たんですけど、自分が風邪ひいているのに「みんな風邪ひかないようにね」って言っていてすごく感動したって書いてありましたよ。
倉木:本当ですか。それはお互いに風邪をひかないようにしなきゃって、自分に対しても頑張れよって言い聞かせている部分がありますね(笑)。

●ツアーと平行してシングル3カ月連続リリースもあったりした中で、このアルバム自体はいつ頃から制作に取り掛かったのですか?
倉木:本格的なレコーディングは5月の中旬ぐらいからだったんですけど、その前から次のアルバムはどうしようかってコンセプトやテーマを決めて選曲もしていました。今回は制作する時間がすごく限られていたので、その中で出来る事に全力投球して良いアルバムにしたいって、作る側で気持ちを一つにして作っていったんです。けっこう今回は洋楽テイストなサウンドに仕上がっているので、みんなにどう聴いてもらえるのかなってドキドキしています。

●やっぱり夏に出したいって思っていたのですか?
倉木:前作『FAIRY TALE』を作った後にライヴが始まったんですけど、その時に既に次の4枚目はこういう感じにしようかって話は何となくしていたんです。そこで、夏が大好きだし7月ぐらいに出せたらいいねって決めていて。おおまかなものは随分前から決定していて、細かなものは本当に最近になってから煮詰めていった感じです。

●おおかまかにはどういうものを予定していたのですか?
倉木:『FAIRY TALE』は10代の気持ちを表現していたのですが、次作は20歳になって初めて出すアルバムだから、夏だけど熱さというよりはクールダウンした涼し気なイメージの、少し大人っぽさを出したいねって。だからそれに合った楽曲をセレクトしていったんです。

●前までは夏って“新しい何かが出来る魔法の季節!”って熱い感じでしたよね。
倉木:そうですね、頑張るぞって感じの(笑)。「Feel fine!」みたいな熱い夏、太陽がギラギラした感じに気持ちを乗せるのもいいんですけど、ツアーで各地に行く機会が多くなって、その時々の自然に触れたり街を見たりして、ゆったりリラックスした時間を過ごしたりすると、今年の夏は少しリゾート気分というか風が吹いていて涼し気な夏がいいよなって思い始めて。夏をクールダウンさせるような曲がかかっていたら、心も落ち着くんじゃないかなって。

●では、シングルもアルバムを見据えて制作されていたのですか?
倉木:シングルに関してはアルバムをあまり意識せず、自然な流れの中で夏に向かって行った感じです。日本のすごく素敵な四季っていう特徴を考えて、その四季に乗せて音楽も移り変わるように新鮮な気持ちで楽曲を選んで歌詞を描いていきました。

●今作のアルバム・タイトル『If I Believe』のテーマを教えて下さい。
倉木:「If I Believe」の曲自体は、実はデビューした頃からあったんです。ツアーを通してやっぱり信じる気持ちは大切だなっていうのを強く感じて、そういう気持ちでアルバムを作ってみようと思った時に改めてこの曲を持ち出して。それでタイトルは『If I Believe』がぴったりだなって。信じる気持ちっていうのは、まずは自分を信じる事から始まって、それから周りにいる人達の気持ちを信じて行かないと、次の行動に起こせないよっていう意味。初めはツアーで感じた事とか今まで自分が日常生活で思っている事を意識せず、本当にストレートに出せたらいいなって思っていたんですけど、全部通して出来上がったものを見てみると、自分自身へのこれからに向けての気持ちが少しずつ入っているかなって改めて実感しています。

●やはり信じるって言葉が歌詞では目に付きますね。
倉木:1つ行動に起こすのにも、何でも自分自身が決める事じゃないですか。だから自分に自信を持って、信じていないと決めるものも決められない。最終的には自分自身の気持ちにかかっているから。

●自分を信じる事に通じると思うのですが、倉木さんは最近よく“自分らしさ”って言葉を口にしていますが、倉木さんの中での“らしさ”っていうのはどういうものですか?
倉木:私の場合、今まではけっこう自分の中にしまっておくタイプというか、外に出さないタイプだったんです。だけど、音楽に出会って歌を通して自分を表現出来るようになって、さらにライヴを行う事で“ライヴ=自分自身を表現する場”っていうのをすごく感じて、そこから自分らしさって一体何なんだろうって考えるようになったんです。自分って一体どんなんだろうってのは、意識して考えないと分からない事だと思うんですよ。人から見て倉木麻衣ってこういう人なんだってそれぞれ受け止め方が違うから、私自身も倉木麻衣っていうのを客観的にどういう人なんだろうって考えるようになって。ライヴをする事で自分を見つめ直して、表現して、探りながら新しい自分が発見できるかなって。“らしさ”っていうのは自分しか持ち得ないものだから、すごく問い詰めるというか考えるようになって。色んな物を見たり色んな人と出逢って刺激を受けて、それを自分の中に一旦取り入れてから出したものが自分らしさだと思うんです。ファッションとかヘアスタイルとかでも個性的な人がたくさんいて、表面的ならしさもありだけど、内側の自分の心の中にあるものこそが“らしさ”だと思うので、それを今、私は歌で表現できている事はすごく幸せだし、だからこそ自分をもっと問い詰めて幅を広げて高めていきたいなって気持ちが生まれています。らしさってすごく大切な事なんじゃないかなって。

●前作は10代最後だったからか、次に行くぞ!って気負った感じがありましたが、今作はもっと肩の力を抜いた感がありますね。
倉木:『FAIRY TALE』の時は先が見えない分、夢を持って行こう!っていう決意を出していて、それに向かって行くためにはどうしたらいいんだろうって気持ちが強かったですね。夢があったら、目標があったらそこに向かって突っ走って行くんだって。でも、時にはちょっと肩の力を抜いて幅広い視点で見ていかないと。突っ走るだけじゃなくて、たまにはゆったりとした時間も必要かなって気持ちも最近は出てきています。もちろん、目標とか夢を持ち続けるのは変わらずにあるし、大切な事だとは思っています。

●去年リリースしたシングル「Make my day」には“もっと私を変えて”ってちょっとまだ模索している姿があるけど、アルバム曲の「SAME」「Just A Little Bit」だと“今「らしさ」に変われる”とか“私という一番肝心なところ 忘れていた これからは正直に気持ち出して 動きだそう”ってフレーズがあって、さらにこの3曲が並んでいるので、この半年間での倉木さんの気持ちの流れがすごく分かる気がしました。
倉木:「SAME」「Just A Little Bit」は楽曲自体はすごく洋楽テイストで、サビをかなり多く繰り返しているんだけど、私自身がいつも感じているのは、サビで言葉を繰り返すと、例えば“あなたは出来る、出来る”って繰り返すと、本当に“あ、出来るんだな”って気持ちになってくると思うんです。だから音楽のサビを繰り返し聴いていると、自分がすごく変われるんじゃないかなって。そういうのって音楽だからこその表現だし、こういう事でみんなに何か伝える事が出来たらなって気持ちがありますね。前だったらみんなにただ伝えたいっていうのがあったんだけど、今回のアルバムは全体的に自分に向けても言っていることをリンクした曲が多くなっています。

●今回も色々とチャレンジされていますが、「mi corazon」では大学で第2外国語として習得しているスペイン語の歌詞が入っていますね。
倉木:このタイトルはmy heart、私の心って意味なんです。こういう曲を前からやってみたいってずっと思っていたんです。スペインの曲って、内に秘めた想いをまさに歌にぶつけて歌い上げるっていう感じの情熱的な曲が多くて、私が大好きなグロリア・エステファンとかクリスティーナ・アギレラがスペイン語で歌っているのを聴いて、いいな、私もトライしてみたいなって。この曲では情熱とは逆でリラックスした涼しさみたいなのを、切なさに乗せて歌っていったんですけど、すごくレコーディングも楽しく出来ました。メロディの響きやこの言葉が綺麗だなっていうので、ちょっとずつ選んで文章を書いていきました。ちなみにスペイン語の部分はあえて訳は乗せてないんですけど、初めの“ Si no estoy contigo para que?”は、“なぜ私のそばにあなたはいないの?”っていう意味を込めました。英語と違ってスペイン語は響きが強いんですよ。

●ハイトーンが幻想的な雰囲気を出していたり、この曲はコーラスがすごくいい感じですよね。
倉木:前に一度コーラスにもチャレンジしたいって事をお話したと思うんですけど、コーラスって音楽の一部としてすごく重要なもので、メロディで主旋だけを歌ったものとコーラスを付けたものとでは、かなり雰囲気とかヴォリュームも違うのが分かっているから、またコーラス・ワークにトライしてみようって。マイケルさんと私のコーラスでかなり一杯になっていますけど(笑)。

●「SAME」はすごく面白い曲ですよね。
倉木:軽快なリズムだけど淡々とメロディが変わっていって、サビで一気に来ますね。いつも思うんですけど、Cybersoundの曲って本当に音楽に対しての固定観念がなくて、斬新なメロディがとても面白いので、歌詞も楽しんでのせることが出来るんです。

●ヴォーカルはいかがですか?
倉木:コーラスなんかは集中して合わせたり重ねたりする作業だから、サビの繰り返しの多いこの曲は、本当に汗がタラーって出てくるような感じでやっていました。出来上がったのを聴いて、こうなってるんだって後から楽しさが湧いてくるような感じですね。曲によってレコーディングの仕方が違うので、「Time after time〜」なんかは1本で歌い上げているし、「Make my day」は自分自身ノリノリで歌っていたりとか。作っていく過程も曲によってもぜんぜん違っていて、そういうおもしろさもこのアルバムで思いきり体感しました。

●「SAME」は聴いてると楽しそうだけど、やってる方は大変だったんですね。
倉木:2番のAメロの“そう確かめられるはず〜”って部分の最後に“わかるでしょう”って言葉があって、そこを歌っている時に自分でも可笑しくなって笑ってしまったんだけど、これがいいじゃないって事で笑い声が入ったテイクを使っているんです(笑)。この曲は低音が多いんだけど、“わかるでしょう”って歌った時に普段出さない自分の低い声を聴いて、可笑しいんじゃない?って思って、それで笑ってしまったんだけど。それを入れようってノリで作れるのもアルバムの良さですよね。

●台湾の女性シンガー、Yan-Zi(イェンツィー)さんとのデュエットも収録されていますね。前作の時に今後やってみたい事で、「他アーティストとのデュエット」と言っていて、まさにそれが実現した形ですね。その時は「マイケル・ジャクソンとやりたい」と言われていましたが、海外アーティストとデュエットするといった事では夢が叶っていますよね?
倉木:私もデュエットっていうお話を頂いた時に、すごくびっくりしたんです。Yan-Ziさんとは大阪でレコーディングをしたのですが、どんな方なのか初めは不安だったんだけど、すごく気さくな方だったから会ってすぐに打ち解けて、お互い話もたくさんして、そういった楽しい雰囲気の中で歌えたからこのデュエットもまとまりのある曲になったのかなって思います。前まではデュエットって難しいんじゃないかなって思っていたんです。声質の違いもあるし、1つのものにそれぞれの個性が入るのでぶつかり合ってまとまりのないものになってしまったら、曲自体が死んじゃう事もあるし。でも、それが上手くミックスされて出来上がった作品はすごく充実したものになるんだなって改めて思いました。Yan-Ziさんとのデュエットもスムーズに1曲の流れで出来上がったので、すごく良かったですね。

●レコーディングはどんな感じで進めていったんですか?
倉木:2人で話し合って、私の曲(「Tonight, I feel close to you」)は彼女が先にヴォーカルを録ってから私が歌って、彼女の曲(「My story, your song」:アルバム『未完成/孫燕姿』に収録)は逆に私が歌った後に彼女が歌うって事に決めました。それをお互いが聴いて最終的な形に仕上げていきました。お互いそれぞれ集中していいものを作りたかったので、レコーディングは別々に行いましたが、最後は一緒に聴いて確認し合いました。

●Yan-Ziさんの歌声を聴いて倉木さんはどう思いましたか?
倉木:Yan-Ziさんの歌声はすごく柔らかくて、大野愛果さんの声に似てるなってちょっと思いました。ナチュラル・ヴォイスというか、すごく素敵な人だなって。

●これは全英語詞ですが、どういう内容の歌詞になってるんですか?
倉木:これは恋愛とも友情とも両方に取れる歌詞。お互いを尊重し合って、あなたとずっと一緒にいたいって気持ちを英語で綴っています。Yan-Ziさんと歌えた事で色んなものを見せて貰えたし、色んな刺激を受けて私の新しいものを引き出してくれて、お互いに本当に相互作用を感じたんです。この曲の歌詞もまさにそういう内容になっていると思います。あえて英語にしたのは、日本語だとストレートに見えたり伝わったりするけど、英語だと恋愛でも友情でも幅広く取れると思うし、メロディを聴いて色々とイメージが膨らんで壮大な感じになるかと思って。

●恒例となっていますが、1stアルバムは「無我夢中」、2ndアルバムは「切磋琢磨」、3rdアルバムは「ここからスタート」と言われていましたが、4thアルバムは何でしょうか?
倉木:途中経過(笑)? 本当にスタートしたばかりの途中で、自分で色んな事に気付かされた作品なので………、そういった意味で「発見」がいいかな。「不思議発見」って感じで(笑)。4枚目のアルバムは「発見」です!

●次はどんな風に変化していきたいと思っていますか?
倉木:より色々なものを吸収していきたいですね。“自分”っていうのは普通に過ごしているだけでは変わらないと思うんです。“変わる”っていうのは、やっぱり様々な人の意見を見たり聞いたりした中で、自分というフィルターを通して出す事が大切で、それがまた新しさになるかなって思っているので。そうやって自分が知らないものを見たり聴いたりして刺激を受けて、その中で色々とカメレオンのように変化していけたらなって。今はやっぱり途中で発見したばかりというか、そんな感じです。

●ジャケット写真もこれまでは強い視線で正面から見据えているものばかりでしたが、今回はナチュラルなシチュエーションになっていますね。
倉木:テーマがクールダウン・サマーなので、落ち着いた感じのジャケットだったら、やっぱりこういう自然な感じが出したいなって。ちょっと雰囲気を変えてみた写真なので、今後、このシリーズを作っていけるかなって思ったりして楽しみです。

●最後に、今年後半の予定を教えて下さい。
倉木:まず「SEA BREEZE」の沖縄でのトーク・ライヴがあって、10月に京都の平安神宮で、同じ大学生のみんなと学園祭を行います。各地の大学からバンドが集まって、私もその中に参加することになっています!






...Liner Notes...

1.If I Believe
いきなり歌から始まり、1番サビ→Dメロ→サビ→2番へと展開していく斬新な曲構成。90年代前半のアメリカン・ポップスを彷彿するアレンジで、清々しい初夏をイメージするサマー・ソング。実は、デビュー時からこの曲のデモ・テープは存在しており、以前に何度か仮歌を歌っている。そのため歌詞のヴァージョン違いが多数存在している。「信じることによって得る希望や夢を大切にして」というメッセージは、ライヴを通して彼女が感じた思いを綴っている。

2. Time after time〜花舞う街で〜 (theater version)
ピアノのアルペジオとストリングスから始まるイントロは、映画「名探偵コナン 迷宮の十字路」の劇場用に作られたヴァージョン。ライヴでもこのイントロで演奏されている。古都の情景が浮かぶメロディに和楽器の音色を使ったトラックが詞の世界観を一層引き立てている。歌詞の最後の部分「〜そばにいたい今度はきっと」は、出だしの「もしも〜君の手を離さない」に、巡るように(=Time after time)続いていく。

3. 風のららら
風のSEに導かれて、緩やかにメロディが始まる。ウッドベースやアコースティック・ギターが心地良く響くシンプルなトラックで、肩の力を抜いて時間の流れをゆっくりと感じさせるサウンド作りは、今回のアルバムのテーマでもある。曲中に繰り返し歌われる“ららら〜”は、言葉にできないその時の自分の心情を表現している。

4. Kiss
シングルとしては、全米デビュー曲「Baby I Like」以来となる、YOKO B. StoneとCybersoundの久々のコラボレーション。シーブリーズのCM撮影で訪れた沖縄滞在中に書かれた詞には、オープンエアな夏のイメージやキーワードが多数出てくる。R&Bのグルーヴに乗せて、明るくポップなメロディからエキゾチックなメロディ、そして開放的なサウンドへと変化していく。

5.mi corazon
サンセット・ビーチをイメージして作られたダンサブルな曲。大学の第2外国語で選択していたスペイン語を歌詞に取り入れている。<mi corazon=my heartの意>クールで情熱的なラテン・グルーヴにのる切ない詞が印象的。ラストのコーラス・ワークは、徐々にハーモニーが足され、最後はヴォーカル・オンリーで終わる初の試み。

6. I don't wanna lose you
ミディアム・テンポのグルーヴが心地良いサウンド。忘れられない人に偶然街で出会ってしまった女の子の複雑な気持ちとその情景をシンクロさせるリアルなストーリー性を持ち合わせたナンバー。今作では再ミックスを行っている。ちなみにこの曲の仮タイトルは「Slow Down」。

7. Make my day 〜album version〜
Cybersoundによるリアレンジ・ヴァージョン。オリジナルよりも跳ねたグルーヴ感を強調したサウンドに仕上がっている。“Make my”のヴォーカル部分をサンプリングしてループ使いしているのも面白い。

8. SAME
Bメロのアップ&ダウンするメロディ、サビの掛け声の様なヴォーカルと遊び心溢れる曲。2番のAメロ終わりに入っている笑い声は、レコーディングをしていて思わず笑ってしまったテイクを使用。

9. Just A Little Bit
オルガンの音やギターのリフが印象的なアメリカン・ロック調のナンバー。アコースティック・ギターで静かに始まり、徐々に盛り上がってDメロで曲のクライマックスを迎える。“Just A Little Bit=ほんの少し…”その少しの勇気を持つ事で前進できるというポジティヴなメッセージ・ソング。

10. You are not the only one
この曲をリリースした際に、アルバムに収録する事を決めていた曲。ヴォーカルはアルバム用に歌い直している。ヴォーカルのリズム感や歌い方が違うので、同じ曲でも伝わってくるものが違うのではないでしょうか? また最後の本人のコーラス・ワークもシングル・テイクよりフィーチャーされている。

11.Tonight, I feel close to you(with 孫燕姿 < Yan-Zi >)
台湾の女性シンガーYan-Ziとのデュエットで、愛と友情をテーマに書かれた詞。叙情的なメロディに2人の掛け合いやハーモニーが優しく響く曲。コーラスには、作曲した大野愛果とアレンジでキーボードを担当したグレッグ・ホークス(旧 カーズ)が参加。レコーディングは、02年11月に大阪のGIZA Studioで行われた。レコーディングの作業は、2人で曲の全体的なイメージを話し合い、お互いに楽曲のイメージを理解した上で、Yanziが先に彼女のパートを歌い、その後倉木が歌う形で進められた。最後に全員で出来上がった曲を聴きレコーディングを終了したのだが、日本語、英語、中国語、が同時に飛び交う何とも不思議でインターナショナルなセッションとなった。


倉木麻衣

New Album『If I Believe』

7.9 on sale


GIZA studio GZCA-5031 ¥3,059(tax in)

「If I Believe」2003 SEA BREEZE 第2弾CMソング
「Time after time 〜花舞う街で〜(theater version)」 東宝洋画系映画「名探偵コナン 迷宮の十字路」主題歌/15th Sg
「風のららら」読売テレビ・日本テレビ系全国ネット放送アニメ 「名探偵コナン」オープニングテーマ/17th Sg
「Kiss」2003 SEA BREEZE 第1弾CMソング/16th Sg
「Make my day 〜album version〜」フジテレビ系「感動ファクトリー すぽると!」イメージソング/14th Sg