前作「クリスタル・ゲージ」から7カ月振りとなる、待望のニュー・シングル「泣けない夜も 泣かない朝も」を7月23日にリリースするGARNET CROW。この曲は、GARNET CROWらしい世界観である力強さと繊細さが入り混じった緻密さを持ちながら、また新たな試みも随所で見れる意欲作だ。初ライヴ以降のことも含めながら、この新曲についてヴォーカル&コンポーズの中村由利とキーボード&アレンジの古井弘人に話を聞いた。
●まず、前作シングルより7カ月のインターバルでの新作リリースになるわけですが、その間はどんな活動をしていたのですか。
中村由利(Vo、以下中村):初ライヴやイベントに参加した経験の後だったので、少し気持ちを落ち着かせて、それからじっくり曲作りに専念しました。
古井弘人(Key、以下古井):GARNET CROWは、個々に別々の活動をしていることも多いので。僕はアレンジャーとしての活動や、倉木麻衣さんのツアーのヘルプも並行して行いながら、GARNET CROWの制作活動をこつこつやっていました。
●この「泣けない夜も 泣かない朝も」はいつ頃できた曲なんですか?
中村:これはライヴ後に出来た新しい曲ですね。
古井:以前からストックしていた曲ではなくて、まったくの書き下ろし。だからというか、この曲は今までのGARNET CROWの匂いを残しつつも、新しい香りというんでしょうか、そういう雰囲気が感じて貰えるんじゃないかと思います。例えば、ラップをちりばめたりして、身体が思わず踊り出してしまうような、そういうイメージを持った曲だと思います。
●例えば、作曲者として中村さんがこの作品で一番伝えたかったことは?
中村:大きなテーマとしては、初めて経験することが多かった中で、それらを踏まえて「もう一度がんばろう!」とか、「生きよう!」みたいな気持ちがあって曲を書きました。
●具体的にはどんな感じのサウンドにしようと?
中村:Aメロ、Bメロは懐かしい、ノスタルジックな雰囲気が出るようにしました。故郷を懐かしむ、そんな感じかな? 私自身としては、ライヴの経験が「今は懐かしいなぁ」なんて、そんな感情からこのメロディが出てきたんだと思います。
古井:僕の方はこの曲を聴いた瞬間、もう最初からイメージ湧きまくりでどんどん進んで、なんかすごく楽しんで作ってしまったので、遊び心満載の仕上がりになったと思います。深く聴いて貰えば貰うほど色々な音やリズムが聴こえて来て楽しんで頂けると思いますよ。
●確かに、7カ月のインターバルの甲斐ある、価値あるサウンドのこだわりを感じさせる作品ですよね。これはちょっとレコーディングでも大変なところもあったんじゃないですか。
中村:そうですね(笑)。これはいつもなんですが、最終形になるまでには、メロディや歌詞、ミックスに至るまで何パターンも試して、一番納得行くように作っていきました。歌詞も「生きてるって気にさせる」とか強さを感じさせるところがあったので、その印象は崩さないように……。サビの強さを表現したくて、歌い方を意識して突き抜ける感じで歌いました。
古井:良いものにしたいという一心で色々やりましたね。特に今回はベース・ラインにはこだわってます。横を出しつつ心地良いメロディ・ライン……これは私のアレンジャー人生の中でもオケ作りの一つのこだわりポイントだったりするんですが(笑)、実際はシンセ・ベースを採用しましたが、昔、バンドでベースをやっていた時にポール・マッカートニーのラインの美しさと効果にかなり影響を受けたので、その辺のサウンド感を大切にしました。それに、ミックスも何人かのエンジニアさんのアイデアを参考にさせて頂いて、何度もやり直しました。
●この作品を作るにあたってメンバーとのやりとりの中で、何か新しい発見とかありませんでしたか。
古井:中村さんにはヴォーカルのキーの設定など、何度か試してみてもらったんですが、やはり声の響きと効果は、本当に大切だなと再認識させられました。あと、アレンジは今回は歌詞より先に上がっていたのですが、そんな時もAZUKIさんは上手く歌詞をサウンドのイメージに合わせてくれましたね。歌詞とメロディの流れでアレンジは大きく変わったりもするんですが、GARNET CROWの場合、以前からその辺が不思議とうまく噛み合うんですよ。
●アレンジは、アナログ感とデジタル感を上手くミックスしてますね。その辺は意識しながらアレンジしているのですか。
古井:どちらかにより過ぎたかな?とか思った時に、使う楽器や音色を選んだり、違うアプローチを試したりはしますね。やっぱりGARNET CROWの楽曲の魅力は、アナログとデジタルのどちらにも通用する融合力というのはあると思いますから。
●そしてやはりこの新曲も、GARNET CROWらしい楽曲だと思うのですが、ご自身としてはどのような感想をお持ちですか?
中村:腰を落ち着けて作った、自分自身とても納得いく作品が作れたんじゃないかなと思います。
●で、先程この曲は昨年の初ライヴ・ツアー以降に作られた曲と伺いましたが、やはり昨年の初ライヴ・ツアーは曲作りにも影響を与えましたか?、もしくはライヴによって自身の中で変わったことは?
中村:そうですね、ファンの皆さんの前で実際にライヴをしてみて、改めて「この人たちが私たちの音楽を聴いてくれてるんだー」って思って。嬉しくて嬉しくて曲を作り続けていこう、歌い続けていこうと思ったので、今まで以上に創作意欲が湧きました。
古井:ふだんから、アレンジしながらライヴの時はこうしてああして、なんてライヴ・アレンジも同時に考えていたりしてたんですが、ライヴを行ったことで、そういったライヴの絵がより一段と見えたりするようになりました。だから、この曲は本当にライヴが楽しみな感じなんですよ!!
●さて、カップリング曲の「For South」についても伺いたいのですが、これはまた1曲目とは違う雰囲気の曲ですね。
中村:これは、半年くらい前からあった曲。実は出すタイミングを狙ってました(笑)。
●イントロから60年代風なイメージがありますが、この案はどこから?
古井:デモを聴いた瞬間に60年代の匂いがして、それをGARNET CROWで今やると、どんな感じかな?なんて考えたらこんな感じになりました。
●この作品ではどんなところを表現しようとしましたか。
中村:「気だるさ」を表現するのに、歌だけでなくコーラス・ワークも考えていきました。不思議な気分になって貰えると嬉しいですね。
古井:新しかったり、懐かしかったり、どこかでこの感じ聴いたことがあったりと、聴いてくれた方の中で何かを感じて頂けるような作品にしたかったですね。
●レコーディングはどうでしたか。
古井:ギター・ダビングの時など、初めてのスタジオであーでもない、こーでもないとスタッフの方々とみんなでやっていた覚えがあります。ミックスのときもエンジニアさんとドラムスの音の大きさやら聴こえ方やら色々と試しましたね。
●こちらのAZUKIさんの歌詞は、特に“うざい”とか“さかりのついた猫”とか、いつもと違った表現が出てきているような気がするのですが……。
古井:その辺も面白いと思います。肩の力を抜いた感じというか曲調にもはまっていて……、そういった引っ掛かりのあるフレーズを上手く取り入れつつも、中村由利がさらっと歌う感じはGARNET CROWならではの面白さの一つのような気がしますね。
●では最後に、今後のGARNET CROWの活動について、ご自身の望みも含めどうなっていきそうですか?
古井:前作から7カ月の秘密が徐々に明らかになっていくと思いますよ。
中村:お楽しみに!
(インタビュー:斉田才)
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