松本孝弘(B'z)ギター&プロデュースのニュー・プロジェクト始動!!
TMG are...Tak Matsumoto(G), Eric Martin(Vo), Jack Blades(B), Brian Tichy(Dr)
パワー全開のスーパー・グループ、TMG始動!
B'zのギタリスト、松本孝弘が昨年話題を呼んだカヴァー・アルバムに続き、またまたやってくれた! 今度は世界をまたぐスーパー・グループ“TMG”結成だ。一体“TMG”とはどんなプロジェクトなのか? その驚くべきライン・アップと作品について探ってみた。
B'zのギタリスト松本孝弘ことTAK MATSUMOTO、今や日本を代表するギタリストであり、日本で最もセールスを上げるユニットでもあるが、彼はその上、日本で最もワーカホリックなギタリストでもあるようだ。
というのも、昨年B'z15周年記念の怒濤のリリ−ス・ラッシュが一段落した直後の11月には、GIZA studioの女性アーティスト達を中心にコラボレートした邦楽カヴァー・アルバム『THE HIT PARADE』をリリースし、話題を呼んだ。その後の邦楽カヴァー・ブームをしり目に、今度はなんとTAK MATSUMOTO GROUP=TMGを結成し、作品をリリースするという情報が届いたのは2004年が始まって間も無い1月下旬、その間たった2ヶ月!である。
まるで止まることを知らぬ“Big Machine”のようなTAK MATSUMOTOの精力的な活動、その原動力は一体何なのか? 僕らには想像もつかない創造力の塊がTAKの中で今、フツフツと沸き上がっているのは確かだ。しかも、昨年ソロでもB'zでも膨大な量の活動をしておきながら、さらに我々の想像を絶して興奮を与える話題を今年も提供してくれるなんて驚異的だ。
と思わせる、それくらいTMGの結成は衝撃的だった。とりわけ80〜90年代HR/HMムーブメントの影響をモロに受けている洋楽ロック・ファンには、このTMGのライン・アップは夢のス−パー・グループ登場を確信させ、それはもちろん16年目を迎えたB'zの動向を注視するB'zファンにとっても素晴らしいニュースであることに変わりはない。
それでは、筆者も興奮を隠しきれないそのTMGのメンバーを紹介していこう。
まず、ヴォーカルはエリック・マーティン。言わずと知れたMR.BIGのフロントマンだった彼は、2002年にB'zのサポート・ベーシストを務めたビリー・シーンと共に1989年〜2002年までMR.BIGのメンバーとして活躍、その甘いルックスとソウルフルな歌声で、ここ日本でも数多くの信奉者をもつ正統派ロック・ヴォーカリストである。
続いてベースを担当するのは、ジャック・ブレイズ。80年代最強のアメリカン・ハードロックを奏でるツインギター・バンドとして一世を風靡したナイト・レンジャーの一員であり、その後90年代には、テッド・ニージェント、スティクスのトミー・ショウと共に伝説的なスーパー・アメリカンロックバンド、ダム・ヤンキースとして活動したアメリカン・ハードロック界の歴史を担ってきた重鎮だ。
6月にはLIVE-GYMのリハーサルが始まり、ホール・ツアーがスタート。スタジオ・コーストで行われたSHOWCASEに始まり各会場のダイジェスト映像が流れる。
そして、ドラムスには、オジー・オズボーンの片腕ギタリストだったザック・ワイルドのバンド、プライド&グロ−リーや、ガンズ&ローゼズのギタリスト、スラッシュのソロ・プロジェクト、スネイク・ピットにも参加など当代きってのHR/HMギタリストとプレイしてきたテクニシャン・ドラマー、ブライアン・テッシー(ブライアンはB'zの最新アルバム『BIG MACHINE』にも参加)。
そして、ギターはワールド・ワイドな活躍も目ざましい日本が誇るギタリストTAK MATSUMOTOだ。この布陣、それだけでもう全米デビューしてもおかしくない位のメンツであることは、彼らの今までのチャート・セールスを追いかけただけでも明白だろう(なにせ、この4人のセールス総数を合わせたら全世界で軽く1億枚くらいは行ってしまうだろうから)。
そんなメンバー4人をまとめあげてレコーディングに持ち込んだTAKの力量には脱帽するしかないが、そこで届けられた第一弾シングルが「OH JAPAN 〜 OUR TIME IS NOW〜」だ。ここで聴かれるサウンドは、一聴して全世界のハードロック・ファン、そして全日本のB'zファンが感涙するに値する素晴らしいサウンドなのだ。
イントロの“和”を感じさせるピアノの音色、裏には打ち込みビートが流れ、続くスクラッチ音に導かれてTAKのヘビーなギター・リフが響き渡る。さらにTAKのラップが覆いかぶさり、続く瞬間、エリックのソウルフルなヴォーカルが響き渡る……。もうイントロ30秒だけで、この作品がモダンで革新的でかつトラディッショナルな極め付けのハードロック・ナンバーであることを僕らは思い知らされる。そしてヴォーカル・パートでのエリックの唱法にMR. BIGの面影を見せつけられ、サビの重厚なコーラスでナイト・レンジャーの栄光を思い出し、TAKのロック・ギターの咆哮と、ハード・ロック30年の歴史を凝縮したギター・ソロに圧倒される。もちろん、そのギター・サウンドをボトムで支えるジャックとブライアンの強力リズムがサンプリングでは作りえない生身の迫力をこの曲に吹き込んでいるのは紛れもない。4分9秒の快楽、ここには徹頭徹尾、ロックに心血を注ぎ続けてきたミュージシャン魂が存在する。また、エリックとジャックが書き上げた歌詞も素晴らしい。日米のミュージシャンが妥協することなくリスペクトの中で取り組み、作り上げたことを裏付ける完成度の高い傑作である。
カップリングの「TRAPPED」。こちらもまた、エリックのイントロ・シャウト一発からゾクゾクさせられるが、まるでB'zの2nd Beat同様、カップリングとはいってもまったくメイン・ナンバーに勝るとも劣らぬ王道のロック・ナンバーたる出来栄えである。
このシングル曲に収録されたたった2曲、それだけでもこのスーパー・グループがただ単に過去の名声を集めただけのバンドではないことは明白だ。しかもTMGは、単なるTAKのプロジェクトの域を越えたバンドとしてのサウンドの整合感も凄いだけに、ひょっとしてB'zの好敵手となること必至である。日本のファンはTAKの動向にハラハラしつつ、それでもこのTMGの演奏を一目見たい、聴きたいという欲望にも抗いがたいだろう。
とにかく、このシングルだけでは終わらせて欲しくないし、ライヴを期待せずにはいられないバンド、それがTMGだ。
TMG、このサウンドを前にして僕らはもう洋楽だとか邦楽だとか言っている場合ではない。いよいよ、本当にその時はやってきた! (斉田才)
★another day in paradise! life in L.A.拡大版★
1月下旬、松本さんLAX(ロサンゼルス空港)到着。今回のソロ・レコーディングが順調に進む事を予感させる青く晴れ渡った空。翌日から、いよいよレコーディング開始。この日はまず11:00にベースアンプの搬入があり、12:00にドラマーBrian Tichyがスタジオに入りドラムのセッティング。空港に到着するヴォーカルEric MartinをB'zのマネージャーが出迎え、ベーシストJack Blades同様13:00にスタジオ入りという段取り。Brianとはこれまでにレコーディングもしているので「Hey!! Nice to see you again!!」と打ち解けた挨拶。このプライベート・スタジオが初めてのJackとEricは見に行くなり、「素晴らしいスタジオだね!」と光の差し込む開放感のある雰囲気が気に入った様子。初日は松本さん、Jack、Ericと3人で曲の感じやキー調整に関しての打ち合わせ、そして歌詞のイメージやテーマなどの話し合い。既に色々なアイデアが出たり、フレーズが浮かんだりと盛り上がっています。レコーディングが始まってからは連日、リビングルームでデモを聴きながらJackとEricが歌詞を考え、曲に合わせた感じを試す為に歌っているのが聴こえます。ベース・ダビング、ヴォーカル入れ等も日を追って行われ、デモだった曲がどんどん進化していきます。大事には至りませんでしたが、実は日本から送ったギターが空港で留まってしまうというハプニングが発生。休日をはさんでいた為、空港での処理も遅れ、スタッフ一同ヒヤヒヤしました。毎日スタジオでの作業が終わると、エンジニアが音をまとめるのを待って皆で聴きます。このCDを待っている間にも音楽談話に花が咲いたり、ギターを持って歌い出したり、和気あいあいと話は尽きません。限られた時間の中でのレコーディングでしたが、毎日「Hi, how are you?」と明るい挨拶で気持ち良くスタジオに入ってくれるJackにEric、レコーディング全体をまとめる松本さん、良い楽曲を作り上げようという熱心さが漲る現場であり、お互いが協力しながら制作出来る今回の状況を、誰もが感謝し合い大事にしているのが伝わってきました。最終日まで、あっという間の一週間でしたが、もう皆さん耳にされている「OH JAPAN 〜OUR TIME IS NOW〜」を聴いて頂ければ、どんなにCoolなレコーディングだったか分かって頂けますよね。まだまだ続く、TMGの活躍、Don't miss it!!(吉田佳代)
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