愛内里菜の2004年第1弾シングル「Dream×Dream」がリリースされる。タイトルには“私の夢”と“君の夢”が掛け合わさる事で1つの夢が完成するという意味が込められている。大切な人の存在によって些細な日常でさえも鮮やかに色付き、期待感でワクワクする楽しくて嬉しい日々へと変化させられるというハッピーな恋愛が、瑞々しさとぬくもりを持って綴られている。伸びやかで活き活きとした愛内のヴォーカルからも、心躍らせている様子がダイレクトに伝わってくる。「1RINA Valentine Live」、ライヴ・ハウス・ツアー「RINA AIUCHI“R-Live vol.3”」といったライヴ活動も既に行われ、さらに5月26日には今作に続いて早くもニュー・シングル「START」がリリースされるので、今年もアクティヴ・モード全開な事が伺える。そんな彼女に、「Dream×Dream」について、また、今年初インタビューという事で昨年の年末の様子について話を聞いてみた。
●「Dream×Dream」は2004年の第1弾シングルとなった訳ですが、歌詞を描く時にそういう事は意識しましたか?
愛内里菜(以下愛内):今年の1枚目っていうのはそんなに意識してなかったんですけど、制作に取り掛かったのがお正月休み明けてからだったので、自然と1年の始まりで少し気持ちが入れ替わった、ちょっと区切りが付いた感じで制作に取り掛かれました。そういう意味で、新しい年がまた始まっていくっていう気持ちで作った歌詞はいくつか上がっていたんです。
●愛内さんが良く口にするハッピーラッピーという言葉がピッタリな、すごい幸せさが前面に出た歌詞になってますね。
愛内:そうですね(笑)。お正月休み明けに作ったたくさんの曲の中でも、4月に出す春っぽいのはこれがいいなって事で選びました。
●タイトルを足したり二乗にしたりするのではなく、×にしたのは?
愛内:この歌の主人公は君と私なんですけど、2人が一緒にいる事によって、日常のすごく些細な事が特別な幸せに変わる時ってあるじゃないですか。身近にフッと気付く「あ、今って夢みたいな時間かもしれない」って時。だから1つのDreamが君の毎日で、もう1つのDreamが私の毎日で、君の毎日と私の毎日が掛け合わさっていく事によって、大きな大きな幸せを共有出来るんじゃないかなって意味を込めて「Dream×Dream」ってタイトルにしたんです。
●日常を重ね合わせていくだけでも、すごく幸せになっていけるんですね。
愛内:昨年は「里菜1祭り」にアルバム制作やツアー、最後には紅白もあってと、大きな事に関わっている事が多くて。それがアルバムの中身にも現れていたんですけど、すごく大きなものに向かっている強い歌詞が多かった中で、お正月休みによってすごく身近な事、例えば季節の変わり目とかそういった事を感じる自分がいて、そんな気持ちを歌詞にしたいなって思って、一気に書いた歌詞なんです。
●だからいつもより伸びやかなんですね。
愛内:そうですね。肩の力が抜けてすごく些細な事が楽しみだったり、なんかワクワクして、嬉しい気持ちになるって、なんか分からないけどワクワクする期待感を描きたくて出来た歌詞です。
●ナチュラルで輝いている歌詞って感じですね。昨年は年末も紅白に出たりとずっと忙しかったと思いますが、お正月休みはちゃんと取れたんですね。
愛内:1月8日の「Thursday Live」から幕開けだったので1週間ぐらい休めました。向かっていたものが大きかった分すごく気が張っていたので、そういうのがスッと1回下りて、本当に肩の力を抜いて自然に休みを過ごせました。去年から何回もやってる「Thursday Live」から幕開けだったっていうので8日も楽しみだったし。
● きっとそういう気持ちが歌詞に出ているんですね。
愛内:そうですね。なんか嬉しいって感じで、肩の力が抜けた気分にさせてくれた。
● 愛内さんの伸びやかで艶のある活き活きとした、すごく幸せそうな感じが伝わってくるヴォーカルですが、歌入れで何か意識した事はありましたか?
愛内:ポッと心に芽生えた気持ちだっただけに、ポッと書いてポッと歌ってって感じだった(笑)。反対にそれが、初々しい期待感を持ったままに歌えたので、良かったかなと思います。さっき言ってくれたようにナチュラルというか自然で、今までの自分にない感じで出来上がったなって思っています。
●他に「Dream×Dream」が今までと比べて違うと思う所はありますか?
愛内:特に『A.I.R』までと比べると、去年は「FULL JUMP」に「Over Shine」と、さらに溢れてって感じで(笑)。いつも満開で気迫があるって気持ちはぜんぜん変わらないんですけど、ずっと生活しているとリズムがあると思うんです。突っ切るだけ突っ切った後の、フッと力が抜けた次への準備段階の時とか。今はそんな準備をしているワクワクした時。何か1つをやり遂げて戻って、そしてもう1つやり遂げるため、次に行こうとする中間にいるようなそんな感じがします。
●この曲はライヴでやると相当盛り上がりそうですね。
愛内:そうですね、パンパン(手拍子)が入ってますしね。特に意識はないんですけど、ライヴをしている中で勝手に感覚の中で少しずつチョイスしている音が変わっているのかもしれない。いつも頭で考えるよりも感覚的なので、そういう今までやってきた事の感覚が自然に次の作品になっているのかなって感じです。
●2曲目「Sweet Peach Tree」もラヴ・ソングですけど、この歌詞は主人公が1日の最後に日記を書いたり自分の内面に問い掛けたりといった感じのものになっていると思ったのですが、いかがですか。
愛内:そうですね、曲を聴いた時にすごく優しい感じがしたんです。Peach Treeっていうのは桃の木なんですけど、ちょうど4〜5月の花で、「純粋にあなたが好きです」って花言葉が書いてあって、その気持ちを書きたいと思ってどういうシチュエーションで描こうかなって考えた時に、さっき言ってくれたみたいに心の中に綴る日記っぽいものがいいのかなって。だから、ナチュラルな雰囲気は1曲目から続いているかもしれないですね。
●では、こちらもスラスラと書く事が出来たんですね。
愛内:そうですね。自分の恋愛感というか、自分だったらこういう感じって書いた。
●「君がぐっすりとね 眠れてたらいい」っていうフレーズに、愛情の深さが出ているなって思ったんですよ。
愛内:そうですね。いつも人を好きになると自分の事よりも相手をいたわりたくなるというか、尽くしてしまうタイプなので、里菜的にはそういう感情はすごく自然に出てくるのかも。自分のやった事で相手に幸せって言われるとすごく嬉しい、基本的にそういう考え方なんです。
●歌詞からも自分がして欲しいというよりは、自分がどうしてあげられるかって感じが伝わってきます。
愛内:どうにかして上げたい、何か1つでも幸せを運んで上げたいって、そういう気持ちですね。それが歌詞にも出てると思います。
●歌詞や今の言葉から愛内さんの素直さが分かります。
愛内:何でも思った事は言いたくなるタイプなので、あんまり恥ずかしがらずに相手に伝えたい事を言ってしまうタイプ。だから全部、想いは言葉にします。自分からアプローチするし、他人がそんなの普通は言わないって思う事も毎日言っているタイプです。それは歌詞?ってぐらいの言葉も平気で言ってますね(笑)。
●それぐらい自分の想いを知って欲しい気持ちが強いんですね。
愛内:そうですね。
●3曲目「Melody Flag」は前2曲と違って、ブルーズ・ロック調の力強くて格好良い曲になっていますね。
愛内:すごく格好良くなりました。これは4月の第1弾シングルのカップリングという事を意識して歌詞を書いたんです。ラヴ・ソングが2曲続いたのでパワフル・ソングを届けたいなって。曲はずっと前から貰っていたんですけど、聴いた瞬間から岩山を登っているイメージが浮かんだんです。一生懸命、色んな人がそれぞれに自分の夢に近付くために一歩一歩上がって行くっていう。でも、崖だからやっぱり上がれなかったりする、そういう険しいイメージ。それをフレーフレーって自分が応援している立場で応援歌を書きたいなって思って、それを音楽で届けるから「Melody Flag」ってタイトルにしたんです。やっぱり歌を歌っているアーティストなので、歌や言葉で勇気をあげたいし、その言葉を音に乗せて届けたいから、このタイトルにしようって。
●私は自由の女神像というか、行くぞ!ってちょっと革命的なイメージが浮かんできました。歌詞に「痛み哀しみ うまくかわす僕らは はき違えるんだ“強さ”を」というフレーズがありますが、これはどういう意味ですか?
愛内:しっかりぶつからないで時には流してしまったり、痛過ぎて立ち向かえなかったりしたのに、それを立ち向かったように思い込むというか、立ち向かったフリをしてしまったり、上手く無視してしまう。いつも自分でも間違えそうになるんだけど、そういう汚い強さってあると思うんです。立ち迎えなかった分、少しずつ本当には強くなれなかったり、間違った強さにいってしまったり、また同じ事が巡って来た時にちゃんと立ち向かえなかったりだとか、すごく弱さとか痛みに向かうのはすごく難しいなって。こういう応援歌みたいな内容を書く時は、どの歌詞にもこんなメッセージを入れてるんですけど、すごく難しい所だなって思う。
●それがその後の歌詞の「掌も膝もすりむいていないさ “誇り”に変わる傷は決して消せない」ってフレーズに繋がっているんですね。向かっていかないと強さは残らないけど、たとえ負けても誇りは残るんだって。
愛内:そうですね。誇りっていうのは、そういう事にちゃんと気付いた時にしか手に入らない、自分にしかない宝物だと思うので。変な間違えた強さを持ってしまうと、その宝物はいつまでも自分の手の中には入ってこない。いつもいつも何かにぶち当たるときの永遠のテーマですね。
●出来れば傷付きたくないし、嫌な事は避けたいって思うけど、それじゃダメなんですね。
愛内:本当に人へ伝えられるものっていうのは、そんな強さではきっと見付からないと思う。
●愛内さんも色々あると思うけど、そこは逃げずにやっていこうっていう思いが活動するにつれてどんどん強くなっているんですね。
愛内:はい。みんなの反応が返ってきたり、歌詞を書いたりライヴをする事は、自分にとって何にでも立ち向かうエネルギーにはなっていますね。
●愛内さんの中で、「Melody Flag」ってどんな色や模様の旗なんでしょうか?
愛内:レインボーよりももっと色が混じっていてラメも入っている、キラキラとした希望に満ち溢れた感じ。色んな色がそれぞれの人が持つ感情を表しています。
●「Dream×Dream」は人と一緒に未来を完成していく様子で、「Melody Flag」は自分で未来を切り開いていく様子と、同じ未来でも違った描き方になっていますが、愛内さんの中での理想の未来像はありますか?
愛内:今はそれが達成であろうと失敗であろうと、何かを終えた時にちゃんとしっかりと希望を持って次に向かって行くっていう、なんかちょっと楽しいとか嬉しいっていうワクワクするスリル感みたいなのが好きだから「Dream×Dream」の感覚に近いですね。“生活×生活”が、ちゃんと夢を築き上げていく事になるんじゃないかなって思うので。いつまでもそのスリルを楽しめる生活をしたいと思います。
●その中でも自分自身で築いていくのか、誰かと一緒に達成していくのか、どちらのタイプだと思いますか。
愛内:基本は自分の誇りや信念は、ちゃんと自分だけで築き上げていかないとダメだと思っています。それがあってこそ人と些細な事も楽しめると思うので、まずはやっぱり自分自身で築いていきたいですね。その上でしっかりと人にも伝えたり、人と幸せを分け合えると思うから。人に貰おうとしたり、人としか何かを作る事が出来ないっていうのはちょっと違うかなって。
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●5月26日の「START」と2ヶ月連続でシングルがリリースされますが、これはどういう経緯なんですか?
愛内:正月休み明けに一気に作った2作ですが、2004年の一発目という意味で「START」が来るんじゃないかと思われるかもしれませんが、「START」のタイトルに込めた意味は、今年はこれから始まるんだって事じゃなくて、区切りを付けたい、もう一度スタートを切りたいって事で、そのタイトルにしました。だから春にぴったりのイメージは「Dream×Dream」の方かなって事で1枚目にしました。
●もう4月ですが今年初めての取材という事で、今さらですが昨年の紅白出場の感想を聞かせて下さい。衣装も派手でしたね。
愛内:夢のようなひとときでした。衣装もイメージ像はあったんですけど、想像以上にすごくて自分でもビックリしました。
●『Single Collection』のリリースや紅白出場が一つの区切りとして、2004年のスタートに何か影響を与えたりはしていますか?
愛内:デビューした時の1つの夢が紅白出場だったので、出られるっていうのがすごく楽しみで嬉しかったから、年末は特に区切りといった意識はなかったですね。何回もリハーサルをしたりしてすごく忙しかったし。でもお正月休みを貰って、そこで「あ、1年が終わってこれ(紅白)で締めくくったんだ」って思えた感じです。
●紅白って噂ではすごく舞台裏はバタバタしてるって聞いたんですけど、やっぱり忙しいんですか?
愛内:バタバタでしたね。目を開けて歩いてないと人や物にぶつかるってぐらい(笑)。ちょっとでもポーってしてたらぶつかる感じ。
●輪唱のラップの所は目立ってましたね。
愛内:本番で急に当てられたので、本当にびっくりしました。誰が当たるか分からなかったし、里菜は一番後ろに並んでいたから、「当たらないから後ろなんだ」って勝手に思い込んで実は余裕でいたんですよ(笑)。そしたら当たってしまって。でも何回も歌えて楽しかったですね。
●やっぱり今年も出るって意識はありますよね?
愛内:それはメチャクチャありますね。去年のリハーサルをした時から、今年も絶対このスタージに立ちたいって。頑張ります!
●バレンタイン・ライヴや「里菜1祭り」はシリーズ化していくんですよね。「里菜1祭り」は今年はどんな感じになるんですか?
愛内:バレンタインはラヴの日だから、やっぱりこれからもやっていきたいですね。「里菜1祭り」は基本的には祭りなので、ちょっと特別な夜っていうのを作りたいって思っています。もう色々取り掛かってるんですけど、今年どうなるかはまだ秘密です。やっぱり見て楽しいって感じにしたいですね。「里菜1祭り」はショウアップした感じで、バレンタイン・ライヴはバンド・サウンドを大切にしたちょっとロック的な感じと、2つのライヴを分けてやっていきたいなって思っています。
●2004年もパワー全開なのは既に分かっていますが、改めて今年の愛内里菜を一言で表現して下さい。
愛内:「元気」とか(笑)。そうですね、占いで「達成の年」って出たのもあって、今年のテーマは「達成」にしています。今まではやりたい事をやってみようって挑戦の方が強かったりしたので、今年は1つ1つをしっかりと無理せずに達成していく事が大事なんだっていう事を頭においてやっていきたいなって思っています。そういう気持ちが大切なのかなって。後はライヴに来た人やCDを聴いてくれている人から元気を貰えたよって言われる事が多いので、元気な愛内を届けていきたいです。
●先月号でパインちゃんの広告を掲載したんですけど、いかがでしたか?
愛内:すごく可愛かった!! 切なくなるぐらい本当に可愛いいですよ。離れるのが嫌で、3日間ぐらい留守にしているだけでも寂しいんですよ。
●また何か面白い企画が出来たらと思っていますので、よろしくお願いします。
愛内:ぜひまたパインを使って下さい(笑)!
●最後に、連載が終わって残念がっている読者に一言頂けますか?
愛内:連載は終わってしまったんですけど、色んな所でまだまだ元気を振り舞いていくので、色んな所でその元気をキャッチして欲しいなと思いますので、応援して下さい!
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