倉木麻衣がシングル作品としては「風のららら」以来1年振りとなる、ニュー・シングル「明日へ架ける橋」をリリ−スする。既にNHK総合23時連続ドラマの主題歌としてオンエアされているので、耳馴染みとなっている人も多いかもしれない。シングルとしては久々であるが、その間の倉木はアルバム『If I Believe』の発表に始まり、B'z松本孝弘とのコラボレーション・ナンバー「イミテイション・ゴールド」、「京都学生祭典」といったイベント・ライヴやEXPERIENCEとの共演などを含めたライヴ活動を行い、更に「紅白歌合戦」への初登場も果たした。今年の元旦はベスト・アルバム『Wish You The Best』の発売から幕を開け、その後もライヴDVD「My Reflection」が続き、そして4月16日からは全国38公演のライヴ・ツアー「Mai Kuraki 2004 Live Tour“Wish You The Best 〜Grow, Step by Step〜”」もスタートしている。簡単に並べただけでもこれだけの情報なのだから、その精力的な活動振りが分かるだろう。そんな倉木が打ち出したニュー・シングル「明日へ架ける橋」。このタイトルを見ただけでも、ポジティヴに未来を見つめる姿が浮かび上がってくるのではないだろうか。“君がいる、夢がある、きっとたどり着く”……、ゆるやかに盛り上がるミディアム・ナンバーに乗せたこんなシンプルな言葉だからこそ響いてくる、普遍の想いが詰め込まれている。今作を聴くと、“誰も諦める事なんか出来ない”、そんな強い言葉が頭をよぎる。ツアーが始まったばかりの彼女に話を聞いた。
●「風のららら」以来、1年振りのシングル・リリースとなったわけですが、シングルを作品として出さなかったのはなぜですか?
倉木麻衣(以下倉木):そうですね……。ライヴ活動や年末の紅白などもあって、昨年末まではそれに専念する事にしたんです。CD制作は今年に入ってから、新たな気分で行いました。
●自身のアルバムやライヴDVDはもちろん、松本さんとのコラボレーション・カヴァー、EXPERIENCEのアルバム参加、ライヴ活動、そして昨年年末に「紅白」への出演と数多くの活動をしてきた1年ですが、今、昨年を振り返って一番印象に残っている事は何ですか?
倉木:2003年は自分を見つめる1年でもありましたね。「FAIRY TALE」ツアーを通して、色んな場所で色んな物や人に出会い、新たに発見した事も多かったです。紅白は初めてで緊張もしたけれど、自分にとって思い入れの深い曲「Stay by my side」を大勢の方に届けられたので、本当に素敵な経験となりました。悩んだり立ち止まったりする事もあったけど、自分を失わないようにその中で持っている力を出して取り組めた様な気がします。
●松本さんとのコラボはいかがでしたか? 歌入れがあっという間に終わったそうですが、山口百恵さんの存在を倉木さんは知っていましたか? 声が似ていて驚きましたが、スタッフにも言われたりしました?
倉木:初めてB'zの松本さんとコラボレーションをさせて頂いたのですが、とても新鮮で楽しかったです。山口百恵さんの「イミテイション・ゴールド」をカヴァーさせて頂いたのですが、この曲は以前から知っていて、サビの“アッ、アッ、アッ〜♪”がとっても印象的ですね。山口百恵さんの曲は小さい頃から耳にしていて一緒になって口ずさんでいたので、とてもナチュラルに歌わせて頂きました! 声が似てると言われて、光栄です!!
●全員の歌っている『THE HIT PARADE』を聴いて、何か感じた事はありますか? たぶん、倉木さんが知らない歌ばかりだったと思うのですが、昔の邦楽を聴いて何か感じた事や思った事はありますか?
倉木:そうですね……。耳にすると一緒に歌いたくなる様な覚えやすい曲が多いですよね。どの曲も今聴いても新鮮で「良い曲だよなぁ〜」と感じました。
●ベスト・アルバム『Wish You The Best』が出た事はいかがでしたか? デビュー曲から本当にリリース順に並んでいたので、通して聴くと何か感じた事があったのではないですか?
倉木:早いですよね〜。デビューしてからもう5年も経つのかと……。そして、私、倉木麻衣も21歳です。今まで倉木麻衣を支えて応援して下さった人達、見守って下さった大切な人達に心から感謝しています! 色んな事がありました……。今までの曲達を聴き返してみると、まるでアルバム写真をめくって見ている様に鮮やかに思いがよみがえってきますね。聴きながら一緒に口ずさんでいました(笑)。今までの倉木麻衣から更に新たな倉木麻衣にパワーアップして皆さんに心を動かす歌を届けていきたいです!
●京都の学生祭典では地元の同じ年の人達と一緒になって、祭典を作り上げたといった感じだったのではないですか? 普通の学生としては行事になかなか参加できないから、こういうステージは学生の時に経験できてすごく思い出になったのではないかと思いました。
倉木:平安神宮での野外ライヴは初めてだったので、始めはどんな風になるのかと不安だったけど、「音楽」を通して同じ学生同士親睦の和を深められるなんて素敵な事だなって。当日は沢山の人達がライヴを観に来て下さり、良い経験をさせて頂きました。また、ライトアップされた平安神宮の赤い柱など、とても綺麗で歌っている時に夜風がクールで気持ち良かったです。
●ちなみに、この辺りから、衣装のイメージ・チェンジがあったと思うのですが。ミニスカートにロングブーツと、ジーンズが多かった倉木さんはどういう心境の変化でこの衣装を選ばれたのでしょうか?
倉木:新たな一面を見せられたらなって思って。衣装だけでなく楽曲の制作やライヴにおいても色々とトライして行こうと思っています。
●初のテレビ生出演となった「紅白」はいかがでしたか? 冬の夜の京都で歌うのは相当寒かったのではないですか? こういう番組で「Stay by my side」という倉木さんにとって大きな意味を持つ曲を歌うのはどんな気持ちでしたか?
倉木:そうですね。紅白で「Stay by my side」を歌うのは、この気持ちを忘れずに新たな年を迎えたい!っていう思いがあったからです。また、自分にとって思い入れの深い大切な1曲なので、何かをスタートさせて行こうとする時に、時が経つのは早いけれど流されずに熱い思いを忘れずに進んで行こう!、頑張って行こう!という思いも届けたかったので、この曲を歌いました。
●「明日へ架ける橋」はストリングスとピアノの音色が希望の光を照らしているような雰囲気で、後半にいくに連れて盛り上がりをみせ、胸に染み込んでくるメロディになっていますね。倉木さんが最初に聴いた時の印象は?
倉木:インスピレーション的にはポジティヴ・希望・大切・1つ1つ……という様な言葉が沸きました。曲から優しさと強さを感じたので、アレンジも段々と力強く前向きに盛り上がって行く様にしてみました。最初はピアノでサビからストリングスが入ってくる様にと思ったのですが、出だしのイントロから少しずつサビにかけて盛り上がる様にストリングス、ピアノを交ぜて静かに入り、2番からは完全に軽快なリズムになりコーラスを付けたりと、まさに1つ1つがイメージに向かって「明日へ架ける橋」を作っていきました!
●この曲はいつ頃から制作に取り掛かっていたのですか?
倉木:今年に入って……、ちょうど2月頃から制作していきました。
●素朴な感情がすごくシンプルな言葉で描かれていますが、歌詞のテーマを教えて下さい。
倉木:1人で落ち込んだり、辛い時や悩んだり苦しんだり……誰にだってあると思います! そんな時って自分1人でネガティヴになってしまいやすいけれど、ふと視野を広げてみるとそこには家族だったり友人、恋人、支えてくれる誰かがいてくれる! そう思うと一歩、また光が見えてくると思うんです。だから夢を求めて掴んでいこう!、そんな歌詞になっています。
●“誰かが 手を差し伸べてる”という言葉でオープニングが開けるのがすごくいい感じですね。
倉木:辛い時、立ち止まってしまった時、きっと助けてくれる誰かがいてくれる! そう思えた時にだからこそ、どんなに強い向かい風でも乗り越えて行こう! 夢に向かって築き上げて行こうよっていう気持ちを、その一行に込めています。
●手を差し伸べるという言葉からも橋を架けるというイメージになりますが、タイトルを「明日へ架ける橋」にしたのは? 橋というのは倉木さんの中でどういう役割や象徴なのでしょうか。
倉木:自分の目標、夢に向かって一歩一歩進んで行こう!という意味を込めています。橋=Step!
●“歩けば必ずきっとたどり着く”“たとえつまずいても きっとたどり着く”という気持ちは、これまで色んな事を積み重ねてきた倉木さんからの実感の言葉ですね。
倉木:本当、悩んだりつまずいたりする事って多いですよね! だけど、その状況から逃げてしまったりストップさせてしまう事は簡単に出来るような……。いつでもSTOP出来る、そう思うと気が少し楽になってきっと進んでいれば何かしら発見が出来るんだ!ってそう思います。ポジティヴに思えるのも、周りに支えてくれる人達がいてくれるからだと思います。
●アルバムの時もコーラス・ワークに凝ってましたけど、今回もかなりコーラスを重ねていませんか? コーラスが重なるだけで、すごくポジティヴな空気感が増すなと思いました。
倉木:今回、コーラスも壮大なイメージになる様に自分で入れてみたんですが、サビ部分“明日へ架ける橋”は少し重さを出したかったので、この部分は時間を掛けました。間奏の部分はハーモニーというよりは、曲の雰囲気を大切にして何かを感じ取ってもらえる様に、壮大なイメージで付けてみました。コーラスはメロディが骨だとすると肉の部分になるので、とっても大切なんです。
●カップリング「Lover Boy」はポップな可愛い曲ですが、曲を聴いた時の印象はどんなものでしたか?
倉木:グルーヴ感やサビでのハジけ感など、こういったPOPな楽曲は好きです。歌入れも楽曲の様にハジけながらやっていました。タイトルの「Lover Boy」は詞が完成して最後に付け足しました。
●久々にラップが登場していますが、いかがでしたか?
倉木:毎回、主線(メロ)が出来上がってコーラスやフェイクを付けていく部分で、色んなイメージが膨らんでラップをしてみよう!と間奏に入れてみたり、ハモってみたり、何故か主線よりも気楽に遊んで歌入れしている気がします(笑)。また、ラジオ・ヴォイスにしてみたりPOPにしたりと、色々とこれからもトライして行きたいです!
●歌詞は喧嘩をした男の子の元へ謝りに行く道中で、色々と考えている胸中が綴られているようですね。
倉木:好きなのに素直になれない気持ちをテーマに書いてみたんですが、心の中と行動がウラハラな事ってありますよね! 後になって「そうじゃないのに〜!」って後悔してみたり……。でも、素直になってみようって歌です。
●3曲目「愛をもっと」はヒップホップなクールナンバーですが、曲を聴いた時の印象などを教えて下さい。
倉木:「求める何か!?」を感じました。楽曲はクールで切ないイメージなんですが、「本能(内側)」を書いてみようと思いました。メロディの心地良いサビでは、ストレートに音を楽しんで欲しいです。歌詞では彼への不安な気持ちと熱い想いを、ストレートにぶつけています。恋愛の歌では心の迷いや内側の切ない想いを書く事が多いんですが、こんなにもストレートに日本語のタイトルを付けて書いた歌は初めてですね。
●2、3曲目とも“愛”がタイトルになってますが。
倉木:そうですね(笑)! やっぱり人間だもん“愛”は一番ですね!
●ライヴ・ツアーが始まりましたが、今回はどういうステージを目標にしているのですか? またタイトルの「Grow,Step by Step」はどういう気持ちを込めて付けたのですか?
倉木:ライヴを通して応援してくれるファンの皆さん、会場に来て下さった方と一緒に1つ1つ成長して行きたいな!という想いから「Grow,Step by Step」と付けました。何かを発見して一歩成長出来る楽しいライヴにしたいですね。
●今回もロング・ツアーで、倉木さんのライヴはすっかりロング・ツアーといった印象になってしまったのですが、どうしてこんなに長いツアーを毎年やっていこうと思ったのですか? 体調はもちろん、精神の持続といった意味でもロング・ツアーというのは大変ですよね。
倉木:全国の皆さんにストレートに私の気持ちを届けたいって気持ちからです。そして、まだ行ってない場所に触れてみたいし、みんなに会いたい!という思いがあるから乗り切ることができるんです。4月から7月まで各地のライヴ会場を麻衣カラーに染めたいです(笑)。
●久々に登場なので、今後の事や目標をお願いします。
倉木:「Mai Kuraki 2004“Wish You The Best〜Grow,Step by Step〜”」ツアーで全国各地を7月まで皆さんと共に楽しんで、何かしら一歩ずつ成長していきたいです! そして新たな倉木麻衣を見せていきたいです。ジャンルを問わずに倉木POPを皆さんに届けられればと思って頑張っていきたいし、音楽、歌をもっともっと好きになってもらえる様に、心動かす楽曲作りを目指していきたいです。
●では、最後に読者に一言をお願いします。
倉木:デビューして早くも5年目を迎えました。今まで応援して温かく見守って頂いたファンの皆さん、ライヴに足を運んで下さった皆さん、本当にありがとうございます。これからも良い曲(歌)を届けられる様に頑張りますので、応援を宜しくお願いします・
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