GARNET CROWの5ヶ月振りのシングル曲は「忘れ咲き」。GARNET CROWらしい懐かしくも胸がキュンと来るミディアム・ナンバーだ。更にこのシングルにはシリアスな世界観を綴った「Flower」、そして新境地とも言える「祭りのじかん」を収録。気になるGARNET CROWの新作シングルについて、また並行して進められているアルバムの内容についても、中村由利とAZUKI七の女性陣2人に話を聞いてみた。
●この「忘れ咲き」は、8月5日のTHURSDAY LIVEに出演していた時にも披露していましたね。
中村由利(以下中村):そうですね、あの頃には出来ていました。曲自体は1年位前からデモ・テープがあって、そこからちょっとメロディや構成を変えてみたりして仕上げました。
●GARNET CROWらしいミディアム・バラードですが、やはりバラードなのでこの時期に出そうと?
中村:私達の場合、出来てきた曲はもちろんずっとレコーディングしていて、まぁ、この曲もその中の1曲ではあったんですが、バラードだしやっぱりじっくり聴いてもらえるのがいいんじゃないかなって。他の曲とも比べつつ、秋口にはバラードがいいかなと思って決まりました。
●レコーディングは今回どんな感じでした?
中村:曲の手直しは何回か入れてますけれど、レコーディング自体は割とスムーズにいきましたね。
●GARNET CROWって、曲を何曲もストックしながらレコーディングするスタンスは毎回変わりませんね。
中村:一番余裕のある制作の仕方というか。まぁ、色々な種類を選べるように録音しています。そういう風に出来るだけしていきたいとは思っているんですけど、やっぱりレコーディングした結果、あんまりピンと来ない曲もあるし、やってみないと分からない面も多々あるので。選べる時にその中で自分達が一番ピンときたものを出せるように出来ればいいなぁというのが理想でもあり、目標でもありますね。
●特に今年に入ってからは、ライヴでいち早く新曲を披露したりして、非常に贅沢に出す曲を吟味しているなという気がするんですね。
中村:やっぱり生と音源とではまた違った感じになったりしますよね。今回はライヴ・ハウスで生で演奏してみて反応とかも見れたし、そこでちゃんと観客の皆さんが聴き入って下さったっていうのもあって、良かったって感じですね(笑)。
●ファンにとっても心待ちにしていた曲ですよね。さて、そしてこのタイトル「忘れ咲き」なんですが、これは?
AZUKI 七(以下AZUKI):これは、曲をボーッと聴いていて、それが一番先に浮かんだ言葉なので、そのまま使いました。
●シングル曲の流れが「君という光」「僕らだけの未来」「君を飾る花を咲かそう」、そしてこの「忘れ咲き」と来たので、何か統一感のある流れでも考えて名付けたのかなとも思ったのですが。
AZUKI:いえ、それは全然意識してなくて。逆に後から並べてみたらそうだから、あっ、聞かれたらどうやって答えようって(笑)。逆に気にしたら多分使っていないと思うので、全然意識した訳じゃないんですよね。
●今回もほんと歌詞の世界観は微妙な所を突いてますよね。“愛だとか恋だなんて 変わりゆくものじゃなく”なんてフレーズは、いいなぁ。で、前作の「君を飾る花を咲かそう」では2人の中で興味深いエピソードがありましたが、今回は何かありましたか?
中村:前作みたいに気持ちがリンクしたって感じじゃないですけど、この歌詞が出来てから曲の世界が拡がった感じはありますね。私がデモで曲を作った段階よりも歌詞が上がってアレンジが上がった時に、すごく懐かしい風景だとか優しい感じ……、そういうのが出てきて、そこで世界がすごく拡がった。
AZUKI:メロディを聴いたら、そうっていうフレーズが出てくるんですよね。
●中村さんの中世的な声がピッタリ合ってますよね。
中村:高過ぎないある種の空気感というか、ちょうど心地良い揺らぎの位置というか、そこで歌っている部分がすごく多いので、より穏やかな気分とか優しい気分とか優しくなれそうな気分というのが出たかなぁ、とは思ってます。
●こういう歌を歌ってる時は、やはりレコーディング中も穏やかな感じですか?
中村:歌ってる時には自分の中ではそういう意識はないんですけど、結局出来上がって聴くとそういう風になっているんですよね。今回はそんなに歌い込まず、ファースト・インプレッションというか、パッと聴いた時のイメージを大切にしたかったので、最初に聴いたイメージや新鮮な感じを歌でも出せるようには心掛けて歌いました。
●GARNET CROW自身、充実期に入ってるからそう聴こえるんでしょうかね。自分達のペースを守りつつ、そういう生活のリズム感とかも出てきてるんでしょうね。
中村:そうですね。レコーディングもある程度リズムが出てくるとやりやすいし、逆に冒険もしやすいというか、“あっ、こういう曲今度やってみよう”とか“今回はこういう風なものにしてみよう”とか比較的自分の中でも色々アイディアが浮かんできたり、安心して作品作りが出来ますよね。どの曲をするにしてもペースに乗ってくると、スケジュール的には詰まっていても精神的には楽なので、次の創作意欲がすぐ出てくるように感じます。
●では、創作意欲はもうすでに湧いてきていますか?
中村:次にこういう曲やってみようとか、今回こんなのにしたから次こんなのしてみようとか、そういうのはあります。
●そういう意味で言うと「忘れ咲き」のカップリングである「Flower」なんかはタイトル曲とはまたちょっと違う感じのシリアスな内容ですし、「祭りのじかん」というのも和風な名前が出てくる曲というも珍しいなと思ったんですが。
中村:「祭りのじかん」の歌詞にはびっくりした!
AZUKI:マジで!
中村:そう来たかっていう(笑)。この曲に関しては、あんまり具体的なイメージを持ってなかったから、新鮮でした。
AZUKI:最初は、歌詞を書くのに苦労してた気がする。
中村:「祭りのじかん」は、始めデモの1曲としてあって、どういう風になるんだろうって、逆にすごく好奇心いっぱいでいたら、自分にないタイプのものが出てきたからいい意味ですごくびっくりというか。GARNET CROWの引き出しが増えた感じがしましたね。
AZUKI:アレンジもすごく意外だったね。
中村:「全部が予期せぬ方向というか、お互い持ってない感覚が出たというか、そこでまた新たな発見があったから、このレコーディングはすごく楽しかった。
AZUKI:よくまとめたって感じ。最初、バラバラだと思ったもん(笑)。
●GARNET CROWの面白さというのは、そういったシングル全体を通すと、王道もあり軽い裏切りもありというのがいいですよね。バランス感も取れてるし。
中村:今回特に色んな曲が出来たし、割と順調にピンとくる曲ばかりが残ったし、いいものが出来る感じが始めからありましたね。
●そしてこのシングルと同時発売でギターの岡本さんがソロ・ミニ・アルバムを出しますが。
AZUKI:頑張ってる〜。いつの間に作ってたんやろって(笑)。
中村:ガーネットと並行して作っていて大変そうな感じは伝わってましたけど(笑)。うん、まぁあえて言わず、頑張れーって。
●そんなGARNET CROWの皆さんなんですが、もうすでにシングルと並行してニュー・アルバムの制作も順調に進んでいるそうですね。
アルバム:アルバムは、あと、曲数調整とか全体のバランスを見て、残す曲外す曲を考えたりしながら煮詰めていくと思います。
●どんな感じのアルバムになりそうですか?
中村:うーん、何というか、曲順や曲数を考えなきゃいけないんですけど、イントロを聴くと聴き入っちゃって全部聴いちゃうみたいな、そういう曲がズラッと並んでる感じです。
●AZUKIさんの歌詞の内容は?
AZUKI:割と、ガーネットの曲だって感じがすごくするような気がするんですけど……。まぁ、由利っぺが歌ったらみんなGARNET CROWになるんですけどね(笑)。
中村:そうなんですけど、何て言うのかな……、今回はツボがすごいから。なんかそう感じる曲がすごくあるっていうか、まぁマイナー調の曲もけっこうあるし……、泣いて下さいって感じです。
AZUKI:曲を聴いてたら歌詞を読みたくなるし、歌詞を見てると曲が聴きたくなる気がしてくる、そんな作品になりそうです。
●さて、今年もそろそろ終わりが近付いていますが、今年はお2人にとってどんな1年でした?
中村:後半すごく早かったよね。
AZUKI:8月、9月、10月はすごく早くて。
中村:あっという間に過ぎた感じで、思う間もなく、えっ!? 10月って感じ。
AZUKI:私、何してただろう?って(笑)。でも、その間に由利っぺは、なんかいつの間にそんなに曲出来てたん?って、すごくコンスタントに歌ってたよね。
中村:ずーっと歌っていました。
●締切がなくてもよく曲が出てきますね。
中村:何ででしょうね。曲を作る時は集中して作ったり、自然と出てくるのもあるし、こういうものを作りたいって思って作るのもあるし、う〜ん、不思議ですね。
●AZUKIさんは?
AZUKI:うーん、色々かなぁ。私は締切があった方が……ないとしないかなぁ(笑)。
●では、これからGARNET CROWはどんな活動を続けていくのでしょう。
中村:アルバムが完成したら次はライヴをやりたいな、と。そして、このままのペースでいければ一番ベストだと思いますね。
●最後にリスナーの方にメッセージをお願いします。
中村:まずはこの「忘れ咲き」をじっくり聴いて頂きたいですね。聴いてもらわないと始まらないというのはあるので、まず作品をたくさんの人に聴いて頂いて色々感じて頂ければ嬉しいです。
AZUKI:同じです。ゆっくり聴いて下さい。
(インタビュー・文:斉田才)
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