昨年の11月19日に発表した1stアルバムからおよそ1年。三枝夕夏 IN dbの2ndフル・アルバムが完成した。自作のリリースの他に、他のアーティストへの歌詞提供や、初のワンマン・ライヴの敢行、イベント・ライヴのゲスト出演、ファンクラブの設立などなど、とにかく精一杯この1年を駆け抜けてきた三枝夕夏 IN dbの活動が立体的に感じ取れる、現在の彼らがぎっしり詰まった内容になっている。今年発表したシングル4曲、JEWELRY、WAGに提供した楽曲のセルフ・カヴァー3曲、そして愛知県警がすすめる「安全なまちづくり」イメージソングを含む全12曲入りの話題豊富な今作について、ヴォーカルの三枝夕夏に話を聞いてみた。
●とうとう2nd アルバムが完成しましたね。ズバリどんなアルバムになりましたか?
三枝夕夏(以下三枝):今年1年、自分なりにとにかく精一杯やってきたんですが、このアルバムはその集大成的な内容になっていると思います。
●ワンマン・ライヴもやっちゃいましたもんね。
三枝:はい。ライヴは去年の末くらいから話が出ていて、今年の初めには夏頃やろうか! なんて話が本格的に進んでいたので、作品作りの上でも自然とライヴを意識していたと思います。このアレンジ、ライヴで盛り上がるかな〜とか。
●実際、ライヴ用に作った楽曲ってあるんですか?
三枝:今回のアルバムはほとんど全曲ですね。っていうか、実際今年はアルバムとかシングルとか決めてレコーディングしていったわけではなく、曲が気に入ったら歌詞を書いて、歌って、ストックしておくっていう進め方をしてきたので、結構前に作った曲もあったりして。今年は年初めから頭の中はライヴで一杯だったから、自然と収録曲もライヴを意識したものになっていると思います。
●では前に出来上がっていて、ずっとストックしておいた曲もあるんですか?
三枝:そうですね。JEWELRYさんの曲やWAGさんの曲は、歌詞を書かせて頂いた時からすごい気に入っていたので、早い段階から「私も歌わせて下さい!」と頼んで、「是非!」というお答えを頂いたので、4月位にはレコーディングしていましたね。
●三枝さんが歌詞を提供されたJEWELRYさんとWAGさんのセルフ・カヴァーの3曲は、とても興味深く聴かせて頂きましたが、とてもいい感じですね!
三枝:ありがとうございます。それぞれリアレンジしたんですけど、JEWELRYさんの2曲はオリジナルよりももっとロック色の強いアレンジにしてもらったのでかなりイメージも変わっています。WAGさんの方はミックスの段階でガラスが割れる音を入れたり、シンバルを加えたりしたので、最終的にはワクワクするような、とても面白い仕上がりになったと思います。
●ワンマン・ライヴでも歌っていましたね。ちょっと驚きましたよ。
三枝:はい。すごいお気に入りの3曲だったので、まだ発表はしていないけど是非歌いたいと私から希望を出しました。実際ライヴで歌ってみて、もっと好きになっちゃいました。
●セルフ・カヴァーって、難しくなかったですか?
三枝:最初は正直気負いもあったんですよ。オリジナルのイメージ崩さないようにしなきゃ! 迷惑かけないようにしなきゃ!とか(笑)。でも、レコーディングに入ったら、歌うのが楽しくて全然気にしてなかったですね。この3曲は自分で言うのも何ですが、とても完成度の高い作品だと思います。だから歌っていると、本当に楽しくなってきちゃうんですよね。
●WAGさんの曲は女性が歌うとどうなっちゃうんだろう?と興味がありましたが、見事に三枝色に塗り替えていますね。
三枝:意外に合うねって、みんなに言われました。自分ではよくわからないのですが、ワンマン・ライヴのお客さんのアンケートでも好評だったようなので、ひと安心しました(笑)。
●そして、愛知県警がすすめる「安全なまちづくり」イメージソング「Hand to Hand」も今回収録されますね。
三枝:はい。最初は収録予定じゃなかったんですが、とても良い曲なので急遽収録させて頂く事になりました。
●こちらは三枝さんが補作詞されたんですか?
三枝:はい。愛知県警さんが募集されたイメージソングの歌詞の応募の中から、私が最優秀賞を決めさせて頂いたんですね。その最優秀に選ばせて頂いた尾崎春美さんの歌詞に私が補作詞させて頂き、それを詞先で大野愛果さんに後から曲を付けてもらって作った作品です。
●補作詞というのも初めてですよね。どうでしたか?
三枝:そうですね。今年は本当に色々勉強させて頂きました。自分で尾崎さんの歌詞を選ばせて頂いた事もあり、最初からその世界観は伝わっていたので、あまり考え込まずに素直に言葉にしていった感じで、すんなり出来上がりました。
●出身地のイメージソングを歌うって感慨深いものがありますよね。
三枝:はい。それはもう! 出身地ってやっぱり強い思い入れがありますし、今回担当させて頂くのはとても光栄な事で、少しでも安全なまちづくりにご協力出来ればと、とにかく心を込めて歌いました。
●今年はワンマン・ライヴやファンクラブの設立、そして何と言っても8月からの4カ月連続リリースと、すごく充実した1年でしたよね。
三枝:本当ですね。やりたいって言い出すのはいつも自分なんですけどね、実はとてもマイペースだし、3つ以上の事が重なるとパニックに陥るので、正直しんどい時期もありました。だけど、やりたいって言って、それを実際やらせて頂ける環境があるってすごく幸せだと思うし、それを応援して下さるファンの方達がいるっていう事も本当に幸せだと感じています。
●デビュー当時からいつかライヴがやりたいっておっしゃっていましたけど、実際夢が叶ったワンマン・ライヴはいかがでしたか?
三枝:やっている時も、終わった時もちょっと放心状態っていうか、自分が何しているのかよく分からないのが正直な気持ちでした。とにかく言葉に出来ないっていうのが、一番正確な表現っていうか……。ただ1つ確実に感じたのは、ライヴってみんなで作り上げていくもんなんだなって事。もちろん一緒にステージに上がっていたバンド・メンバーもそうだけど、会場で盛り上げてくれた観客の皆さん、見えない所で支えてくれた大勢のスタッフの皆さん、なんか本当に「ありがとう〜」って叫びたい気持ちで一杯でしたね。
●本誌でライヴの感想を募ったものを、先程読んでいらっしゃいましたが、いかがでしたか?
三枝:終わった直後なので、簡単な感想とかはお聞きしていたんですが、あんなにちゃんと皆さんが書いてくれたものを読んだのは初めてで、客席側から観たステージっていうのはこんな感じだったんだと実感させてもらいました。私はステージ側から観たライヴしか体験していないわけですから、客席側からの感想を読ませて頂いて、ちょっと客観的にライヴを振り返る事が出来ましたね。とにかく反省する事ばかりだけど、皆さんが楽しかったと言って下さったり、何よりこうやってわざわざ感想を送って下さった事、とても感謝しています。ありがとうございました。
●それから、今回は素敵な特典が付きますね。
三枝:随分前からオフィシャル・ホームページで、皆さんに好きな三枝夕夏の歌詞のフレーズと、それにまつわるエピソードっていうのを募っていたんですね。私自身そのメールを読ませて頂くのが楽しみで、メールが送られる度全部に目を通していました。皆さんのエピソードにとても衝撃を受けたっていうか、受験生の方とか、失恋の体験談を送って下さった方とか様々だったんですけど、私の方が感動しちゃって……。これは是非何か1つにまとめたいなって思ったんです。
●送った方は実際特典を見て掲載される事を知るんですか?
三枝:そうですね。全部紹介させて頂きたかったけど、ページに限りがあるので今回は私がいくつか選ばせて頂きました。また歌詞に合わせて写真もたくさん掲載したんですけど、昔のものもあって、なんか懐かしいっていうかとてもいい想い出の1冊になりました。
●今年はご自分で作曲した曲も発表されたり、本当に充実した1年で、また成長されたんではないですか?
三枝:この1年で感じた事は、現実って人を強くもするし、弱くもするんだなって事。高いハードルを越えようとする時、自分の力のなさにすごく弱くもなるけど、でもそれを乗り越えようとする時、乗り越えられた時、前の自分よりも遥かに強くなっているじゃないですか。成長したかは分からないけど、以前の自分よりも随分精神的に強くなったんじゃないかなとは思います。これからもちゃんと自分の越えなきゃいけないハードルを作って、つまずきながらも、1つ1つクリアしていきたいと思います。
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