愛内里菜のニュー・アルバム『PLAYGIRL』が完成した。自身の中でこだわっていた区切りの年である24歳を迎えた今、型にはまって生きていくつまらない大人ではなく、自分をコントロールしながら魅力に溢れた人生を送る、たくましさを持った“大人な女の子”=GIRLの最上級になりたいと言い、それを今作では“PLAYGIRL”と表現している。人生をゴージャスに、そして楽しむ事をいつまでも忘れたくないといった彼女の思いと共に、経験を積んだからこそ出てくる言葉や感情、大人に変化したからこそ綴る事が出来た素直な胸の内が描かれた、これまでよりも一層深く愛内里菜を体感出来る作品に仕上がっている。
●今年最初の取材の時に、「2004年は占いで「達成」の年だから、これまでは挑戦の方が強かったけど、今年は1つ1つをしっかりと無理せず達成していきたい」と言われてましたが、振り返ってみて年初に考えていた事を実現した1年になりましたか?
愛内里菜(以下愛内):そうですね。自分が思い描く様には出来ました。でもやっぱり挑戦モードの方がまだまだ高いかなって感じですね。
●全体的には満足した1年だった?
愛内:12月が1年の締め括りって意識があんまり無いので、その辺はまだ区切れていないんです。最近は「里菜1祭り」が1年の区切りで自分の中で大晦日のイメージがあるので、そこでやっと去年の自分、そして今年からの自分っていうのを考えたりするんです。7月から半年も経ってないから、区切りっていう気持ちがまだ無いんです。
●「里菜・祭り」が終わってからこのアルバムに向かったんですか?
愛内:そうですね。「里菜・祭り」をするためにすごく時間を掛けているし、誕生日にライヴをする事によって新しい自分に変われるんだって気持ちの入れ替えが出来るので、それが次に向かっていくキッカケになっているみたいです。今年は「Boom- Boom- Boom」の時に言っていたように23歳と24歳の違いがあったので、どう変わっていこうかなって気持ちがすごく大きかったので、今回のアルバムはそういう自分の願望も含めて、“自分”がすごく主体となって作る形になった感じですね。
●願望というのは?
愛内:どう人生を楽しんで行くかって事で、もっともっと人生をゴージャスにするには自立出来る24歳ぐらいからが大事だなって。やっぱり自分の事に責任を持って生きていく中で、どんな女性になって行くかって自分の意識の中でかなり大きく占めているんです。
●愛内さんの中でゴージャスな人生っていうのはどういうものですか?
愛内:年を取ると「もうちょっと落ち着きなさいよ」とか好き勝手をするのがなんか悪いっていうか、“大人になっていく=型にはめられる”っていうイメージが昔からあったんです。そういう中で自分はレディになっていくんじゃなくて、大人な女の子でいたいから、GIRLの最上級で常にいたいって気持ちが凄く強くって。だからGIRLをPLAY出来るっていう意味でアルバム・タイトルを『PLAYGIRL』にしたんです。自分で自分をコントロール出来て、自分の魅力も分かっていて、すごく自分を上手く使える最上級のGIRLにみんなでなって行こうよって、そういうパワーをすごく伝えたかった。それが自分のゴ−ジャスな人生感。常に自分の目標とか希望や輝くものがあって、楽しんで生きていきたいって思いが強いし、チャレンジ精神とかも持っていたい。同世代の人たちと居ると、「焦ってくる」や「諦める」や「年だな」とか(笑)って言葉が出てくるようになってくるから。素敵なGIRLになるイメージがあれば、もっと素敵な大人になれそうだなって。
●GIRLの最上級な人にとって一番大事なものは何ですか?
愛内:たくましさかな。たくましさ=賢さやタフさであったり。GIRLSたちが持つにはちょっと難しい、経験を積んだからこその自信やたくましさみたいなもの。それを年と共に持てた人がGIRLをPLAY出来るんじゃないかなって。自分の魅力をしっかり分かっているのがGIRLの最上級なんです。
●1曲ごとに違ったタイプの12人の女の子が主人公で登場していますね。
愛内:女の子って男の人よりも髪型で遊ぶのもそうだと思うけど変身願望があるし、やっぱり経験を重ねていく内に色んな顔を持つんです。それを自分でコントロール出来るタフさや賢さやたくましさに変わっていくのかなって思うんです。そういう1人の女性が色んな経験を重ねて色んな顔を持ち合わせて、そこに里菜が今まで言えなかったメッセージも加えて、1枚に色んな女の子像を入れたかったっていうのがありました。
●「Dream×Dream」の時に一区切りが出来て素の部分を描いたと言っていたんですけど、アルバム全体もその流れで、これまでもネガティヴな部分は出していたけれど、よりストレートにリアルな人間臭さを出した表現が多い内容になったんじゃないかなって感じました。
愛内:それはあるかもしれない。なんかリアルに気持ちを綴れるっていうか、言葉に対して壁が無くなってきたっていうか……。今まで以上に1つ1つの言葉が持つ意味を理解しながら、一番気持ちに合った表現を探せるようになったので、それがすごくリアルに書けるようになったのかな。
●それも24歳に関係ありますか?
愛内:今回は今までになかった雰囲気の歌詞がたくさん入っているんです。今までスカイパーフェクTVでやってるレギュラー番組で海外の色んなアーティストを紹介してきたんですけど、海外の方の歌詞は大胆で華麗でものすごい強さがあって、今まで理解出来なかった部分をたくさん持ってるんです。でも、そのアーティストの生き様なんかを調べて読んでいる内に、彼女たちの持つたくましさとか強さやこだわりを少しずつ理解出来るようになって、そういう部分を今回は自分のアルバムにもちょっと取り入れてみたいなって。その辺からもいっそう言葉に対する壁が無くなって、思い切り歌詞を書く事が出来たって感じですね。「A☆RINA SHOW」をする事によって、曲は聴くためだけの存在じゃなくなったっていうか、アーティストの人生とか歴史を知ってから曲を聴くと、すごくその歌詞から学び取れる事がたくさんあるから。その人の生き様を知ると音楽ってもっと素晴らしくて素敵なものなんだっていうのを実感して、その人の歴史を今まで以上にもっと知りたいって思うようになってきました。
●最近はどのアーティストに興味を持っているんですか?
愛内:昔からマドンナがすごく好きなんですけど、まずはビジュアルから憧れて、何となく歌も格好良いのかなって感じで聴いていたんですけど、生き様とか野心や信念なんかを読んでいく内に、それが歌詞にも反映されていて格好良いなって。
●マドンナってどんどん社会派になるというか、変化がすごいですよね。
愛内:常に新しい事をしているんだけど、毎回自分が伝えようとしている事はすごく明確ですよね。自分の気持ちっていうのを歌や言葉だけじゃなくて形にしてやろうっていう思いが何歳になってもあって、そのエネルギーにいつも感動しています。
●よく色んなアーティストの方がアルバム3枚目が一区切りになって、4枚目から何かしらの変化が出たりするって言ってたりするのですが、話からしても愛内さんもこの4枚目のアルバムで一歩踏み込んだと思うんです。
愛内:自分では何も意識はして無かったんですけど、さっき言ったように初めて女のたくましさっていうのを理解出来たのは大きいですね。ラストの「GIRLS PLAY」で“たくましく” って言葉が出てくるんですけど、今まで自分の中で強くてポジティヴな曲はあったけど、いざ“たくましい”って言葉を入れるとなるとどう使っていいか分からないし、女のたくましいって何なんだろうって思っていたから。1つ年を取った事や海外のアーティストの歌詞とか生き様を読んでいる内に、女性のたくましさをちょっと理解出来たような気がして、それが今回はどの曲の根底にもあるような気がするので、大きな変化として表れたのかも。
●このアルバムはどういう存在になりましたか?
愛内:今までよりも自分が主役。今まではどう言った言葉で人の気持ちを温めてあげようか、どう前向きにしてあげようかといった思いが歌詞を書く前に自分の中で大きく占めていたんです。でも今回はそうじゃなくて、こういう自分でありたいっていう自分に対しての曲で、それがみんなに伝わってくれたら良いなって。それぞれにこんな1人の女性がいるんだ、じゃあ私もこういう風に考えてみようかなって、自分に対してもみんなに対してもパワフルな作品にしたいって。そういう意味ではちょっと今までとスタンスが変わったように感じています。
●それはある程度ライヴなどの色んな経験を重ねたから自信や余裕が出てきて、受け入れられる気持ちに繋がっていったという事でしょうか。
愛内:自信を持って生きて行きたいっていうのは1つの目標ですね。後は自分の中での勝手な思い込みの“24歳の変わり目”がすごく自分を変えるエネルギーになっていて、それまであった心配事を全部取っ払ってくれた(笑)。邪魔な考えが無かったですね。
●思い込みでそこまで変われるっていうのも才能のうちですよね(笑)。いつまでも同じ事を葛藤している人っていますから、愛内さんはちゃんと自分で切り替えが出来た。
愛内:そうですね(笑)。自分の中にあるそういうパワーを伝えたかったのかもしれない。
●ラストの「GIRLS PLAY」はアルバム・タイトルを引っくり返したものですよね?
愛内:12人の女の子が出てきた『PLAYGIRL』の意味を最後でまとめたかったんです。GIRLな女の子が大きな花を咲かせる、そんな輝かしいPLAYをずっと続けていけたらいいねっていう、そういう意味を最後に込めています。
●アルバムは毎回1曲目とラストが対になっていますけど、今回もそうですね。
愛内:なっていますね。
●「GIRLS PLAY」で花が“裂く”って表現しているのは?
愛内:パワーを持った女性になっていきたって思いが強いし、PLAYGIRLって人種を作りたい感じで(笑)、そういう人たちこそ自信を持って社会を動かしていくというか、どんどん割って入っていこうよって意味で使っています。
●ボーナス・トラックとして「Dream ×Dream -Love & Wishes Version‐」が収録されていますが、ピアノの弾き語りでクリスマスにぴったりなナンバーですね。
愛内:この曲は春前に作ったんですけど、改めて聴くと季節に関係なくメロディの中に温かく優しい愛があるなって思ったんです。だからクリスマスにはもちろんだけど、そこに愛する2人がいるのなら、いつ、どんな時でもこの曲をそっと2人に贈りたいなと思ったんです。だからサブ・タイトルは“Love & Wishes”=“愛と祝福を”で、ピアノのみでシンプルに歌ってみました。ちょっとしたクリスマス・プレゼントです
●ヴォーカルも録り直していますよね。
愛内:はい。ピアノの方と向かい合って、せーので録ったんです。めちゃくちゃ緊張しましたが、愛と願いを込めて歌いました。
●今年最後の取材になるのですが、2004年で印象に残っている事は何ですか?
愛内:やっぱり「里菜・祭り」! 自分の人生の中で大事な年を迎えるって特別な思いもあったけど、今回はファンのみんなが垂れ幕を作ってくれたんです。大阪のラストで垂れ幕がパーッて垂らされたんですけど、Happy Luppy Birthdayって書いていて、会場に入る前にみんなが寄せ書きをしてくれて。スタッフの人たちが内緒で作ってくれたんです。アンコールで精一杯の感謝を込めて歌おうと思っていたら、みんなが垂れ幕を垂らしてくれて感動したし、温かい「里菜・祭り」だったからすごく特別な1日でした。
●やっぱり「里菜・祭り」って愛内さんの中ですごく大きいんですね。
愛内:祭りに向けて生きているから(笑)。祭りでは自分とみんなとでどういう楽しみ方をしようかなっていうのが一番の軸になるから、その分共有出来るものってまた違うんです。すごい温かさみたいなのがあるし、祭りって名前が付いているだけにみんなが加わってくれないと始まらないから。自分たちだけで作っていても何も楽しめないっていうイベントだから、1年の中で一番ですね。
●最後に2005年の目標や抱負があれば教えて下さい。
愛内:このアルバムを作った事で自分の中で“大人の女の子改革”ってテーマが上がっているけど、まだ始まったばかりだから、そこに向けてもっと自分自身を追及して“PLAYGIRL”を目指して作品など色んな制作に取り込んでいきたいなって思っています。
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