12月8日にリリースされたばかりのGARNET CROW、4年目4枚目のニュー・アルバム『I'm waiting 4 you』。GARNET CROWならではの濃密な歌と歌詞とサウンドが三位一体となったアーティスティックな作品に仕上げられている。この作品について、さらに年明け早々に始まるライヴについて、先月に引き続きヴォーカル&作曲の中村由利、そして作詞&キーボードのAZUKI 七にインタビューを試みた。
●まず、アルバム・タイトルを『I'm waiting 4 you』と名付けた理由は?
中村由利(以下中村):この4は4枚目のアルバムという4と、GARNET CROWは4人のメンバーであるという意味の4と for Youの4にかけています。タイトルの意味は、直訳すると“私はあなたを待っている”。これは、今までライヴを体験してきた中で、GARNET CROWを待っていてくれる人がいるのを目の当たりにして、私達にはそういう人たちが必要、大切だという意味も含めて名付けました。
●前作まではサブ・タイトルがありましたが、今回から無くなりましたね。
中村:その辺はそれほど深い意味はなくて、逆に意識して聞かれるので、“そうなんだ”という感じです。今回は、4にかけられるタイトルは今しかないし、出来ないからというので付けて、サブ・タイトルは自然になくてもいいかな、という感じでした。
AZUKI 七(以下AZUKI):以前のサブ・タイトルもその時の感覚で、そんなに深い意味付けをしているというわけでもなくて……(笑)。それに、そこには触れずにいて、人によってイメージを膨らませてもらえる方が良いかな……と。
●なんだか、GARNET CROWって詞やフレーズを深読みしたくなるんですよね。ところで、さすがに4枚目となると制作の感触を変えようとかはありませんでした?
中村:そういうのは特になかったですね。このアルバムは今年始めのライヴ・ツアーが終わってから、今までずっと書き溜めてきた曲をまとめた作品になっているので、アルバムに向けての制作というよりは、1曲1曲を集中して作っていって、曲が揃ってきてから、結果アルバムが自然に出来てきたという感じなので。
●ということは、今回のアルバムのテーマは?
中村:私達の場合、その時に出来た1番良い曲達をうまく順番にまとめて出していくという感じなので、アルバムのテーマやコンセプトというのも毎回、それほど決まっているわけではないんですね。意味付けよりもまずは曲主体で聴いてもらいたいというか、全体のイメージよりは今回もいろんな曲が入っているので、1曲1曲をクローズ・アップして聴いてもらえればいいかなと。もちろん最初から最後まで通しても飽きない様には考えてはいますけど。
●そう、そこなんです。このアルバムって聴き始めると最後まで聴き通してしまうんですよ。
中村:今回、私もそれでしたね(笑)。曲順を決めていかなければならない時でもイントロだけで飛ばし聴き出来なくて、最後まで聴いちゃったりしてました。
●歌詞も見てしまうから、ながら聴きも出来ないんですよね。
AZUKI:人からそう言われるのも嬉しいんですけど、それは自分達でも実感している所はありますね(笑)。
●制作はいつ頃から本格的に入ったんですか?
中村:ライヴが終わってからだから、半年以上は作っていましたね。期間的には長く出来たのでじっくり出来たかなと。でも8月、9月、10月はすごく時間が経つのが早くて記憶がない位なんです。今思い返すといい意味でものすごく制作に集中していたんだなと思います。
●全13曲収録されていますが、選曲も大変だったのでは?
中村:確かに、曲順は大変でした。唯一「夕月夜」は作った時から“あっ、これが1曲目かな?”という感じはあったんですけど、それ以外は結構悩みました。しかも、聴き出すと止まらないので(笑)、大分時間がかかった。
AZUKI:あとは明るい曲、暗い曲、バラード、アップ・テンポ、またバラードとかバラバラの流れで疲れない様に、聴かせる曲は聴かせる曲、ノリのいい曲はノリのいい曲同士で固めてとか、その辺のブロック分け、メリハりが出るようには意識しました。
●ライヴに行った事のある人達は入り込みやすいアルバムかもしれませんね。
中村:そうですね。
●また、今回のアルバム収録曲にはマイナー調の曲が前半に多く収録されています。これは意識して?
中村:自分たちでもマイナーな曲は好きでもあり、得意でもある部分でもあるし、今回そういう曲がたくさん出来たので、GARNET CROWらしいそういう楽曲を前半に持ってきてじっくり聴いてもらおうかなと。
●更にアルバム全体を通して、四季が感じられる言葉や音色で構成されているように聴こえたのですが。
AZUKI:それは結果としてそうなったんでしょうね。作っている時はただ1曲1曲に集中していたから、そのメロディに合うものをって、それぞれ加えていったので、その結果として、季節感のある言葉や音圧とか温かみが、そういう風に出てきたのだと思います。
●今まで以上に曲と歌詞の絆が強くなって、それぞれの存在感が曲の世界観を高めていますね。
中村:今回も特に意識した部分は無いですけど、これはもう毎回変わらずそうなりますね。
AZUKI:何だろう? そのメロディが何を言っているのか、一生懸命聴き耳を立てる感じで聴いてましたけど。出来上がって密接な感じがある、というのは、うーん、やっぱりその、何というか歌唱の技術による所も大きいと思うんですよ。何かその人の歌によって(出来上がる歌詞も)全然違うんですよね。
●この「夕月夜」にしても「忘れ咲き」にしても1語でこんな言葉出てくるの?っていう驚きはありました。和な感じ、文語体の読ませる言葉も出てきます。ますますGARNET CROWでしか出来ない歌詞だぞと感じました。“我.見えぬ,見ゆるども ああ…”(「夕月夜」より)なんてフレーズはどこから出てくるんですか?
AZUKI:それはもう、1回聴いたらその言葉が“ぱん”とはまって出てくるんです。「夕月夜」の歌詞は、1ブロックを初聴きで一気に最初に出てきた言葉ですね。
●「冷たい影」にしても泡沫人(うたかたびと)なんて、さらに歌詞の表現に磨きがかかってますね。そんな歌詞をサラリと歌いきってしまう中村由利さんもすごいんですが……。今回、歌入れはいかがでした?
中村:今回は歌は1stテイクとか多くても3回くらいしか歌ってなくて、レコーディングでは歌い込んでないんです。それが返って歌が飽きてないというか、自分自身もそうだし、声も初めて聴いた時の緊張感を持って歌っているのをそのまま残してあるので新鮮なんですね。だからサビでも微妙に1サビ、2サビ、3サビの歌い方が違っていたり、どこかにコブシがまわっていたり、ブレスがちょっと入ってる部分とか、そういうのをあえてそのまま生かしている部分もあるので、聴く人も飽きずに何回も聴いてもらえるんじゃないかな。
●ライヴで先に披露されていた「雨上がりのBlue」も待望の収録となりました。
中村:この曲は出来てすぐにライヴで披露したので、私達の中でも初めての試みというか、先にライヴで反応を見れたという。でもすごく皆さん初めて聴いた曲ではないかのように盛り上がって歌ってくれたので、逆にそうやって自信になった曲ですね。
●今後も、ライヴで初披露というような楽曲が増える可能性はありますか?
中村:どうでしょう(笑)?
●期待したいですね。そしてもう1つ、99年にインディーズ・アルバムに収録されていた「Sky」を新ヴァージョンで収録していますね。
中村:これは、もうアルバム4枚目になるし、シングルもかなり出してきて、中には1stアルバムからずっと聴き続けてくれているファンの皆さんもいらっしゃるだろうし、そういうずっと応援して下さる皆さんに何かスペジャルな気持ちをプレゼントしたくて。“今まで応援してくれてありがとう”みたいな感謝トラックがあってもいいなと思って。その時に浮かんだのが「Sky」だったんです。この曲は、今でも好きだって言って下さるファンの皆さんがたくさんいて、自分たちも気に入ってるし、ライヴでも評判が良いので、だったらこの曲をアレンジを変えてもう1回レコーディングしたら喜んでもらえるんじゃないかと。インディーズ盤を持っている人は聴き比べも出来るし、初めてこのアルバムで「Sky」を知った方も逆にインディーズ盤はどんなんだろう?とか興味を持ってもらえるかもしれないし……。そういう楽しみ方もあってもいいかなと思って入れてみました。これは、皆さんに楽しんで頂けるトラックじゃないかな。
●さすがにアレンジは進化してるけど、GARNET CROWの世界観は変わらないですね。
中村:そうなんです! 今回過去の曲を今の曲達に混ぜてるわけじゃないですか。それでも違和感無くいけたので、逆に自分達もびっくりしましたね。やっぱり、以前の曲だけど、GARNET CROWとしてのちゃんとした顔があるというか、古くない感じ? サウンドを今の感じに直してもメロディや歌詞とかその根幹にあるGARNET CROWの顔は統一感があって逆に自信にも繋がりましたね。
●やっぱりそれは曲と歌詞の相性がずっと絶妙だからでしょう。それにしても歌詞の世界観がそれほど変わっていないのには驚きました。
AZUKI:ホントですね。けっこう(歌詞を)書いてる時は、いつも付いていくのに精一杯。由利っぺは次から次へと新しいメロディが出てくるし、歌い回しもけっこう変わってきたりしていて大変なんですけど、でも、私はまったく飽きてないっていうのがあるかもしれませんね。普通は同じ声でも毎日聴いていたら飽きるはずだと思うけど、GARNET CROWの場合、私は毎回同じように“あっやっぱりいいな”って本当に思いながら書いてるし、逆に制作中に“シンドイな”って思う時でも聴くとやっぱり引き込まれてしまってやりたくなるっていうのがあるので。それは最初から今まで全然そのテンションが変わらずに来ていて、いつでも聴いたらそうなれるから……。
●では、このアルバムの聴き所、アルバムの中でお気に入りの曲があれば教えて下さい。
中村:選べないですね! どれも作ってる時はこれが1番だと思って作っているから、結果も1番が一杯で2番以下が無いんです。
AZUKI:そう、こんな言い方変だけど、みんなすごく真面目に作ってるしねぇ(笑)。
●アルバムを作り終えて、現在の心境は?
中村:今回はやり切ったというかやり残し感が全然無いので、すごいすっきり晴れ晴れした気分です。逆にもう次の事、もちろんライヴから次の作品の事もそうだし、そっちに切り替えていけているので満足してます。もう、このアルバムに関しては、聴いてもらうだけの体制になっていますね。
●このアルバムを引っ提げてのツアーが来年早々行われますが、どんなライヴになりそうですか?
中村:今、どの曲をしようかという選曲をしている段階なので、まだまだこれからどういう演出で、どういう構成でしようかというのはちょうど今悩んでいるところです。もちろん、このアルバムからもたくさん聴いてもらいたい曲はあるし、今までの作品からもたくさん聴いてもらいたい作品があるので、どうまとめようかなぁ……。
●さらに、来年はGARNET CROWがメジャー・デビューして5周年を迎えます。こんな風に続くと思っていました?
中村:想像出来なかったですね。今を精一杯でやってきたから、気付いたら“えっもうそんなに?”って感じ。続く、続かないというよりは精一杯が積み重なって気付くとこうなったという感じ。アルバムも3枚目とか4枚目が壁だとか言われてるじゃないですか。そんな中でこんなに自然に行けちゃうとは! これでまた1つ壁を越えて次へ進める様な気がしています。
●是非、この世界で長く続けていって欲しいですよね。
中村:そうですね。そして、皆さんには是非ライヴも遊びに来て欲しいですね。まさしく「I'm waiting 4 you」。Youはあなたです。お待ちしています。
AZUKI:あんな曲、こんな曲、また一杯ありますので、是非遊びに来て下さい。
(インタビュー・文/斉田才)
古井弘人さん、岡本仁志さんからもアルバムについてコメントを頂きました!!
●今回のアルバムの聴き所を教えて下さい。
古井弘人(以下古井):そうですね、全曲を通してさらにコクとうま味を増した仕上がりは、きっとお楽しみ頂けるのでは……と思っております。
岡本仁志(以下岡本):自然体で、心地良い感じ。気持ちのゆとりが音に反映されているアルバムだと思います。
●アルバムの中でお気に入りの曲があれば教えて下さい。
古井:どれが好きと言い切れない位の心境なんですが、あえて1つ選ぶとしたら「君 連れ去る時の訪れを」でしょうか……。
岡本:「君を飾る花を咲かそう」「君 連れ去る時の訪れを」などなど。
●今年1年を振り返って、印象に残っている事があれば教えて下さい。
古井:そうですね、ZARD LIVEに参加させて頂いた事でしょうか。
岡本:プロ野球再編問題。
●このアルバムを引っ提げてのツアーが来年行われますが、どんなライヴにしたいですか?
古井:聴いて歌って踊れる様な、ガーネットでしか味わう事の出来ないライヴに出来たらと考えております。
岡本:岡本:お客さん、自分達共に新鮮に思えるライヴ。
●来年はGARNET CROWがメジャー・デビューして5年目を迎えますが、どういう1年にしたいですか?
古井:さらに前進して行く年にしたいですね。
岡本:もう5周年なんですね。“まだ5年か……”と言えるような貫禄を付けれるように、一歩一歩頑張ります。
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