2月10日YOKOHAMA BLITZ、12日なんばHatchの2ヶ所で、この時期の恒例となった愛内里菜の愛を一杯詰め込んだバレンタイン・ライヴ「RINA AIUCHI VALENTINE LIVE 2005 -GIRLS PLAY BOYS-」が行われた。今回も第1部にはゲスト・アーティストが参加。三枝夕夏(三枝夕夏 IN db)、望月美玖(OOM)、上木彩矢、中村由利(GARNET CROW)と、既におなじみのメンバーからデビュー前の新人のお披露目的な役割も持っていたりと、バラエティに富んだ個性豊かな人選となった。
これまで愛内が行ってきたこれらのイベント的ライヴは、彼女が司会的役割をしつつ、各ゲストとのトークやコラボレーションを展開していたけれど、今回の第1部は各アーティストが何曲か演奏して、次の人を紹介して入れ替わっていくという、各ステージが独立した構成でテンポ良く進められていった。
ほぼ定刻通りに愛内がステージへ1人で歩いて登場し、「こんばんは!」と挨拶し、その間にバンド・メンバーが定位置へと付く。今回はゲスト・ヴォーカルがギタリストを引き連れて楽曲を披露するステージになっている事を説明し、彼女もギタリストの綿貫正顕を紹介し、松本孝弘(B'z)とカヴァ−した「涙の太陽」を披露。
続いて三枝夕夏とギターの岩井勇一郎が2人で現れて自己紹介をすると、アース&ファイヤーの緩急ある難しいロック・ナンバー「Seasons」でスタート。曲間では岩井とバレンタインの思い出や、新曲の聴き所などのMCが続くが、岩井の淡々としたしゃべりに緊張しながらも必死で話そうとしてる三枝の雰囲気が何とも微笑ましい。新曲「飛び立てない私にあなたが翼をくれた」の前には、長いタイトルの時はメンバー間で省略しているけれど、今回は歌詞のフレーズに登場している“泥棒”と呼ばれているのだと紹介。随分とステージを経験しているはずなのに、今だに緊張感を持っている彼女。その真剣でひたむきな姿を隠さずに見せている所も、楽曲と共に聴き入らせる魅力なのだと今回改めて感じた。
2番手はまだデビュー前の望月美玖と大賀好修。彼ら2人とキ―ボードの大楠雄蔵とで結成したバンドがOOM。既にインディーズでは楽曲を発表しており、大阪のライヴ・ハウスhillsパン工場cafeでも何度かステージを踏んでいる。バック・バンドに大楠も居るので、OOM全員が揃った形になった。おっとりとした関西弁で望月が「オリジナルをやりたいと思います」とコメントした後に続いたのが、1回聴いただけでも覚えてしまいそうなキャッチーなサビのロック・ナンバー「忘れたい、忘れない」、明るく疾走感のある「サヨナラなんて言わない」。ラストは身体を動かして元気一杯に、アヴリル・ラヴィーンのカヴァー曲「He Wasn't」で締めた。
続く上木彩矢もデビュー前の新人。doaの大田紳一郎がギタリストとして共に登場。低く通る声で挨拶をした後、最初からエネルギッシュさ全開で、1曲目はラップも盛り込まれたレッド・ホット・チリペッパーズの激しいロック・ナンバー「By The Way」を披露。左右に動きながらのパフォーマンスでしっくりと観せ、それにプラスして迫力のヴォーカルで聴き込ませていった。次のオリジナル「A constellation」はさっきとガラリと変わってバラード。全身から放たれた空気や、ファルセットへと変化させたヴォーカルからも切ない歌詞が伝わってくる。ラストはB'zの「ギリギリchop」。歌でもMCでも物怖じしない姿に現代っ子っぽさが感じられるが、今後が楽しみな逸材と感じた。
第1部のラストはGARNET CROWの中村由利と岡本仁志。暗転したステージに黒のロング・ドレスで現れた中村は、これまでのアーティストとは違ってトークや挨拶は無しでいきなり「水のない晴れた海へ」を歌う。さっきまで繰り広げられていた激しいステージの余韻が残っていたはずなのに、1フレーズ歌っただけでその熱を一気に落ち着かせ、彼女の世界に変えてしまったのはさすが。場内はあっという間にGARNET CROWの楽曲が持つ独特な静寂さに支配されていく。「今日は参加出来て嬉しいです。残りの2人もみなさんに宜しくと言っていました。次はGARNET CROWの中でも大切にしている曲です」と紹介して、「夢みたあとで」へ。ライヴだと中村のヴォーカルはさらにエモーションが強く加わっていくため、より心に響く完成度の高い作品に生まれ変わっていく。改めて彼女の表現力の幅広さに感心してしまう。ラストは松本孝弘(B'z)とのコラボレーション・ナンバー「私は風」を熱唱して、第1部の幕を閉じた。
第2部は愛内里菜のワンマン・ステージ。まずは「恋はスリル、ショック、サスペンス」「I can't stop my love for you1」「START」の3曲をノンストップで披露。これは本人曰くコナン特集だったそうだが、オープニングに相応しいノリであっという間に熱気に包まれていった。そして、続く「PLAYGIRL」から「V.I.P」までの4曲は、アルバム・コンセプトを意識した“GIRLの最上級”といった感じの、今までよりもかなり大人っぽさを取り入れたパフォーマンスを見せていた。今回はシンプルなステージ・セットで、両サイドにポールが立てられていただけだが、そのポールを使用したセクシーなパフォーマンスは、まさにPLAYGIRLならでは。そして激しく動き回りながら愛する者への気持ちを綴った歌詞のフレーズを、オーディエンスへと力強く投げ掛けるように歌っていた。
「バレンタインがときめく日になりました。冬にいい思い出が無かったから、年々嬉しいと心から感じています。好きな人に思いを伝える日に、里菜を応援してくれる人と過ごせるのは幸せです。里菜を応援してくれているガールズ、ボーイズたち、愛しています。これからラヴ・ソングを捧げたいと思います!」とアルバムのボーナス・トラックとして収録されていた「Dream×Dream -Love & Wishes Version-」へと入っていく。ピアノのみのシンプルなバラードへとアレンジされたこの曲によって、愛する人と日常を積み重ねていくだけでも大きな幸せを感じる事が出来るといった感情が、さらに浮かび上がって伝わってきた。リラックスした愛内のヴォーカルにもさらに優しさが加えられ、場内をフワリと包み込んでいった。
「LOVE-FORMATION」からラストまで、ライヴは加速度を付けて一気に急上昇するようにスピーディな展開となる。自分のペースを作って場内を惹き込んでいき、畳み掛けるようにアップ・ナンバーの連続で、場内の熱気が上がっていくのがはっきりと感じられたほどだった。ラストの「FULL JUMP」では、ライヴでお決まりとなっているサビでジャンプを楽しんでいるオーディエンスの笑顔で場内は埋め尽くされていた。
アンコールでは「バレンタインは女の子のファイトの日。1曲目を聴いて下さい」と、アルバム「PLAYGIRL」で表現した12人の女の子の集大成的ナンバー「GIRLS PLAY」を。逞しさという感情が生まれたからこそ出来たこのナンバーを、バレンタインデーに行うこのライヴで、サビを“GIRLS PLAY BOYS”とアレンジして、エモーショナルなヴォーカルを全身全霊でみんなに捧げていた。大ラスはこれまでの作品の中で、2月14日に唯一リリースしたというシングル「Forever You 〜永遠に君と〜」。「これからも歌っていく上での変わらない気持ちを書いている歌詞で、みなさんへのラヴ・ソングのようなもの。みんなもきっと大切に受け止めていると思っています」とMCで語っていたように、ライヴでも常に重要な位置に持ってくる彼女自身の気持ちが綴られた、リスナーへの大切な想いが伝わってくるナンバーで、彼女からの大きな愛をひしひしと実感しつつもこのステージは幕を閉じた。
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