|
GARNET CROWがデビューしたのは、ちょうど僕が大阪に本格的に移住した2000年。そのGARNET CROWがデビュー5周年を記念してDVDをリリースすると聞き、我ながら感慨深い気分になった。5年って長いような短いような、それでいて確実に何かが変化していく、そんな期間である。その中で、自らの音楽性を追及し続け、唯一無二の世界観を確立したGARNET CROW。幸運にも僕は幾度となく彼らのインタビューや、ライヴを体験する事が出来た。今回はその辺の感触を振り返りつつ、このDVDを紹介してみよう。
その名も「“le 5 eme anniversaire”L'Histoire de 2000 a 2005」。フランス語で名付けられたタイトル。5周年のサンクエムという響きが英語のサンキューを連想させる所が、いかにもGARNET CROWらしいヒネリの効いたネーミングだ。
2枚組ディスクとして提供される今作の内、DISC1は、GARNET CROW5年間の歴史を集約したヒストリー・ディスク。デビューから現在に至る彼らの軌跡を年代順に綴っている。内容的には彼らのビデオ・クリップを中心に、メイキング映像、未公開映像、さらにメンバーそれぞれがバンドについて語った撮り下ろしインタビューも収録されている。
例えば、デビュー初期、スチール写真だけで構成され、絵画的に作られていたビデオ・クリップ（「Mysterious Eyes」ほか）は、今見ても新鮮だ（もちろんメンバーの初々しさにも注目）、その後も様々なシチュエーションと色々な表情で撮られ続けてきたビデオ・クリップ群は、どれもが彼らのアーティスティックな音楽観を反映させていて美しい。そんな映像を贅沢に網羅しながら、途中にインサートされるメンバーのコメント、これがなかなか説得力があって唸らされる。また、レアな所では「夢みたあとで」のメイキング映像、さらに未公開ショットも多数収録されていて興味深い。オンとオフのメンバーの表情が楽しめる、こんな大盤振る舞いな映像放出も5周年記念企画ならではのものだろう。アーティスティックな部分と気さくなパーソナリティの部分のそのどちらの魅力をも内包する彼らの“素”の部分、少なくともここには、僕が会った事のあるメンバーそのものが自然に映っていて、驚かされた。
また、GARNET CROW初の野外イベントであった2002年の神戸大学学園祭ライヴの映像も見ごたえあり。「クリスタル・ゲージ」の岡本仁志ミックスVer.があったり、地上波TVではなかなかお目にかかれなかった、アルバム曲のビデオ・クリップ映像も収録されているのは良心的だ。わずか40分間の中にGARNET CROW5年間の魅力を凝縮させたこのDISC１は、ファンにとっては垂涎ものの映像の宝庫だ。
代わって、DISC2。こちらは今年初頭に行われたライヴ・ツアー「livescope2005 〜I'm waiting 4 you & live〜」の模様を収録したライヴDVD。東・名・阪わずか3本しか行われなかったライヴの映像だけに、ファンの間でもDVD化が待ち望まれていた。そういったライヴを体験できなかった数多くのファンの欲求に答えるべく、オープニングからアンコール最後まで2時間弱のステージを余す事なく収録。もちろん、MCも収めている。ライヴならではのアレンジが施されたナンバーが、まるでその場にいるかのような臨場感の中、存分に楽しめる内容となっている。
それにしても、こうやってライヴ演奏を客観的に鑑賞すると、改めて各メンバーのミュージシャンとしての力量の高さを伺い知る事が出来る。特に中村由利のヴォーカル力は素晴らしい。さらに、選曲もお得意のシングル・ナンバーだけでなく、アルバムからのナンバーもたっぷり収録されているのも嬉しい。また、画面に歌詞のテロップが流されているのは、AZUKI七の歌詞で感動したい時に最適な、GARNET CROWらしい配慮と言えるだろう。
DISC1とDISC2を合わせると145分にも及ぶボリュームたっぷりの内容。さらに初回生産分には豪華40ページに渡るライヴ・フォト・ブックレット付き、作りも三方背BOX仕様という豪華な作りでリリースされるGARNET CROW5周年記念DVD。まさ彼らを知るファンにとっても、これからGARNET CROWを知ろうという人にとっても必需品たるべき永久保存盤だ。手に入れるべき価値あるDVDである。（斉田 才）
| 
