2005年B'z ライヴの集大成、B'z LIVE-GYM 2005“CIRCLE OF ROCK”ドーム・ツアー編、大詰めを迎えた大阪ドームでのライヴをレポート!!
4月から開始された全国27カ所41公演に及ぶライヴ・ツアーB'z LIVE-GYM 2005“CIRCLE OF ROCK”も、8月27日の福岡ドームを皮切りに東京・名古屋・大阪と回るドーム・ツアーへと移行、大規模な動員数を誇る会場でのライヴに合わせてステージ・セットが大胆に変更されているという噂は聞いていた。しかし、会場に入った途端、まさかこんな風にセットが組まれているとは。ドームの中央に円形のステージ。セット上部には360°対応の巨大なスクリーンが設置されている。B'z17年間のライヴ活動においても、センター・ステージはあれど、これだけ巨大で最初から設営された円形ドームというのは初めての試み。正真正銘、360°丸見えのこのステージ、巨大なドーム空間と言えども、どこの客席からも距離感の近さが容易に感じ取れる。一体、このステージにどうやって彼らは現れ、どういう演奏形態でパフォーマンスを披露してくれるのだろう?
興味津々で見守る中、開演15分過ぎ、いまだ客電がこうこうと灯る中、「THE CIRCLE」のメロディが会場に鳴り響く。すると、何とメンバー全員が堂々と観客席側から現れ、そのままアリーナを歩いてステージへ。ファンの驚愕の歓声の中、まずは「X」。稲葉のシャウト一発、ドームに放たれた野太いサウンドは紛れもないB'zの音だった。メンバー全員がおのおの東西南北の方向を向いて立ち、演奏する様子は、今まで一度も体験した事のない独特の存在感。目のやり所を観客が模索している間にもすでに曲は続く「パルス」へ。イントロから火柱が吹き上がると、会場のテンションも一気にクライマックスの勢い。と、同時に松本・稲葉がステージから四方に伸びたランウェイへ勢い良く飛び出した。刻々と2人の一挙手一投足を映し出すスクリーン、その劇的な瞬間が切り取られていく映像もまた僕らの刺激中枢に油を注いでいく。
激動の2曲を追え、ステージ中央に戻った稲葉が、お決まりのフレーズ「B'zのLIVE-GYMにようこそ!」と叫んだ瞬間、ハッと客電が落とされた。
真っ赤なライティングの中、テンションを維持したまま、またしても豪快な「Fever」、続いて美しいメロディとロックのダイナミズムが交錯する「イカロス」へ。この曲では円形ステージの外円が、対極に立って歌い、演奏する2人を乗せて回り出す。まさに最新アルバム『THE CIRCLE』のイメージを彷佛させるステージング。続く「アクアブルー」ではステージを縦横無尽に闊歩していた稲葉が踊り場の松本に駆け寄り、勢い余ってステージから飛び出し、それを松本が救い上げるといったコミカルな演出も……。こういった2人が一緒に肩を並べ合うシーンも、相変わらずな2人の親密度を感じさせて楽しい。
スクリーンには印象画のような映像が流れ出す。曲は「睡蓮」。ここでは、“動”から“静”なるB'zの魅力をしっとりと堪能させてくれた。
それにしても、このメンバー達の一糸乱れぬ演奏力の水準の高さ、またそれを会場に届かせる音響技術も素晴らしい。音楽がそこで鳴っている事を忘れさせる程の親密なダイナミズムとリアリティ、五感を刺激する極上のエンターテインメント、“誰もが一度は体験した方が良い”と言わしめるB'zのライヴの真骨頂は、まだまだこれからが本番だ。
「皆さん、元気でしたか? 今日の貴重な時間、心と頭をカラッポにしちゃって下さい。昨日も明日も考えず、この雰囲気も香りもどっぷりつかっちゃって……なれるかな? 泣こうがわめこうが、思いっきり、ゆっくり、じっくり、そしてワイルドに楽しんでいって下さい」
今度はステージに様々な姿態の女形マネキンが登場。そのマネキンを弄んで、曲はマニアックな「Mannequin Village」。旧くからのファンへの心配りが効いているチョイスに唸らせられる。
そんなナンバーを妖艶に決めたかと思えば、続く「BLACK AND WHITE」では黒装束姿のスタッフが松明を持って現れ、荘厳なる雰囲気へと一転、そうかと思えば次のMCで会場一斉にカウントをさせてから名曲「ALONE」へ。続けて「今夜月の見える丘に」のバラード・コーナーへと鮮やかに持ち込む展開はさすがだ。
バラードで聴かせて次は……? 今度は、新曲の“誕生日を祝う歌”「Happy Birthday」を全員で合唱させて和やかムードにさせておいて、これまた名曲「love me, I love you」が! そして「ねがい」へと続けて、間奏部ではメンバー各自のプレイヤーとしての力量を見せつけるソロ・コーナーへ。シェーンは“太鼓”とタトゥされた背中を露にして叩き、徳永は高速チョッパーを披露、増田はムーグとハモンドを弾き分けたソロを展開、大田は「ミッション:インポッシブル」のフレーズで応戦する。緩急自在のパフォーマンス、その魅力に翻弄されれば、最後は後半のクライマックスへと突入するしかないだろう。
毎回お馴染み、B'zの本編ラストまで突っ走る怒濤のハード・ナンバー構成、始まりは「juice」。稲葉がスタンド・マイクを据え付けて歌い出すとステージがかなりの高速で回り出した! その姿を追うカメラの映像がスクリーンいっぱいに映し出されるスペクタクル感に圧倒される間もなく、巨大なミラー・ボールの光、爆炎、グルグル回るサーチライトと共に繰り出されたのは「IT'S SHOWTIME!!」。四方のランウェイに汗だくで何度も走り込む稲葉、これでもかと余裕の超絶技法でオーディエンスを迎え撃つ松本。LIVE-GYMを楽しませ、また大いに楽しむ2人の笑顔が印象的だ。
ふと見ると、ドーム内に突然現れた2台の迷彩柄気球。会場に浮かんでいたバクダン型の風船を次々と破裂させると、中からは愛のバクダンならぬ愛の風船が落ちてきた。そう、もちろん曲は「愛のバクダン」。本編最後に演奏されたこのナンバーが会場中をさらにヒートアップさせ、一体化させ、全てを空っぽにする手助けをしたのは言うまでもない。
鳴り止まぬ拍手とウェイヴの中、アンコールで登場した1曲目は「OCEAN」。最新曲にしてすでに名曲の誉れ高いバラードをじっくりと聴かせてくれた。
「みんな、気分はどうですか? 空っぽになれましたか? 空っぽになれたら新しいスペースができて、新しい余裕が出来たってことです。……僕らは自信と勇気とプライドと優しさをもって、お互い頑張りましょう!」
稲葉の心強い宣言を受けて、最後にもっと燃焼しようゼ、と曲は「BANZAI」。「みんな、BANZAIしようぜ〜」の掛け声と共に会場中がBANZAIする様は壮観だ。“BANZAI”で締めくくった瞬間、ステージは紅白の幕で隠され、いきなり聴き慣れた「ultra soul」のイントロ! 歌い出しでは何と2人が別々の特設ステージに瞬間移動。本当に最後まで奇想天外、目を離せない、耳を放せない展開に僕らは我を忘れてPleasureするしかないだろう。
爆音と、それぞれの大粒の汗と共に大団円を迎えたこの日の最終楽章。最後のお決まり「お疲れっ!」のポーズのなんと清々しく安堵感に満ちていた事か。
やはり、B'zのドーム・ツアーは別格だった。汗と感動と笑顔のスペクタクル巨編たるロック・コンサートだった。2人の立ち居振る舞いから全ての創造力が解き放たれたB'zならではのライヴ空間に酔いしれた2時間。
この後もいつまでも僕らは、ぐるぐるとこの感動のサークルから抜け出す事は出来ない、だろうなぁ。(TEXT BY SAI SAIDA)
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