B'z

Best Album
『B'z The Best“Pleasure II”』

2005.11.30 On Sale!


 1998年、B'zはデビュー10周年という節目の年に初めてのベスト・アルバム『B'z The Best“Pleasure”』と『B'z The Best“Treasure”』をリリース。どちらもが590万枚と500万枚という前人未到のセールス記録を樹立、日本の音楽史上に残る金字塔を打ち立てた。あれから7年、B'zの人気はその後も衰える事なく、シングル、アルバムのNo.1記録を自らが次々と更新し、現在に至っている。
 そのB'zが、いよいよ05年も押し迫る中、音楽シーンに再び一石を投じようとしている。それが11月30日にリリースされるベスト・アルバム第3弾「B'z The Best“Pleasure II”」だ。このアルバムには、98年のベスト・アルバム以降に発表された「HOME」から、アルバム初収録となる大ヒット・シングル「OCEAN」まで、全15曲を完全収録!! さらに、X'masのスタンダード・ナンバー「いつかのメリークリスマス」の新ヴァージョンをCD初収録! 全16曲、オリコン・チャートで初登場1位を獲得した、文字通り“No.1ベスト・アルバム”となっている。それだけでも、あらゆる年代のリスナーの興味を惹くに十分だろうが、もちろんその楽曲の内容もB'zならではの妥協を許さぬクオリティの上に立ち、まさに最強、最高のベスト・アルバムである。このベスト・アルバムを聴かずして05年は終われない。それでは、各収録曲の内容とエピソードについて紹介していこう。(TEXT BY SAI SAIDA)

1.「OCEAN」
2005年8月10日発売(39th single)/フジテレビ系 ドラマ「海猿」主題歌/オリコンシングルチャート初登場第1位から、6週連続トップ10内に入る大ヒットを記録

 現時点でのB'zの最新シングル曲。通算39作目となる今作は、00年2月リリースの「今夜月の見える丘に」以来、約5年振りの書き下ろしTVドラマ主題歌であり、久し振りの本格バラード・シングル曲とあってリリース前から評判を呼んでいた。美しいストリングスとアコースティック・ギターのイントロから、ピアノとストリングスの調べに導かれて響く稲葉のヴォーカルが印象的なナンバーは、曲が進むに連れ雄壮に展開していく。どこまでも広がる海原を突き進む船のイメージと、B'zの17年間の輝かしき歴史のイメージがオーバーラップして聴こえる、B'zの最新かつ最高の王道バラード・ナンバー。

2.「今夜月の見える丘に」>
2000年2月9日発売(27th single)/TBS系日曜劇場「ビューティフルライフ」主題歌/オリコンシングルチャート初登場第1位

 ミリオン・シングルとなった今作は、木村拓哉主演の高視聴率ドラマ「ビューティフルライフ」の主題歌として制作された。印象的なギター・イントロから始まるミディアム・ナンバーは、松本の創り出した美しいメロディと稲葉の力強くも抑制されたヴォーカルの相乗効果が素晴らしい。また、後半、松本のギター・ソロからのドラマティックな盛り上がりと余韻を引きずるエンディングの妙は大いに聴き込んで欲しい。またこの曲は、B'z楽曲の中ではバラードの分類だが、何とも言えぬ大人のロッカ・バラッドの雰囲気があって、ファンからの人気が高いのも頷ける。ちなみに、今作収録はシングルVer.だが、00年リリースのアルバム『ELEVEN』収録Ver.では、ギター・ソロが違っているので聴き比べてみるのも一興か。

3.「愛のバクダン」
2005年3月9日発売(38th single)/テレビ東京系「JAPAN COUNTDOWN」3月エンディングテーマ・ゼスプリ・ゴールドキウイCMソング/オリコンシングルチャート初登場第1位

   今年行われたドーム・ライヴツアーでの演出効果(飛行船が爆弾型の風船を割るとラヴ・マークの花吹雪が降ってくる)も記憶に新しいメロディック・パワーポップ。まだまだ尽きぬ松本のロック・ダイナミズム・コンポーザーとしての魅力と、稲葉のやんちゃなヴォーカリストの資質ががっぷり組んだナンバーは、現代の世界の暗たんたる情勢を比喩しながらも、それを痛快にカッ飛ばす活力に満ちている。まさにB'z流 LOVE & PEACEナンバーの傑作。

4.「ultra soul」
2001年3月14日発売(31th single)/世界水泳福岡2001大会公式テーマソング/オリコンシングルチャート初登場第1位

 99年リリースのアルバム『Brotherhood』以降、バンド・サウンドに傾倒していった2人が再び大胆に打ち込みサウンドを導入し、かつさらに大胆に激しく打ち鳴らしたナンバー。その影には現在も彼らの右腕としてアレンジャーにツアー・サポートにと活躍する徳永暁人(doa)の貢献度も大きい。この迷う事無きポップでキャッチーな楽曲の姿勢こそ、正しくB'zの真骨頂である。21世紀を迎え撃った2人の心意気がヒシヒシと伝わってくる魂の歌。

5.「HOME」
1998年7月8日発売(25th single)/角川文庫CMソング/オリコンシングルチャート初登場第1位

 本アルバム収録作品の中では最も過去のシングル。当時、ベストアルバム・リリースの狭間でのリリースだったためオリジナル・アルバムには未収録となった(但し、アコースティック・ギターとヴォーカルのみのVer.が『Treasure』のシークレット・トラックとして収録)。イントロのいなたい録音の始まり方といい、アナログな雰囲気をも感じさせるナンバーは、内省的な稲葉の歌詞も印象的で、この作品に独特の深みを加えている。

6.「いつかのメリークリスマス〜「恋するハニカミ!」バージョン〜」
1992年12月9日発売(mini album『FRIENDS』:オリジナル収録)

 クリスマスの時期ともなれば例年リクエスト・チャートの上位に躍り出る、B'zにとって唯一、かつかけがえのないクリスマス・ソング。初出は92年リリースのミニ・アルバム『FRIENDS』に収録。その後、02年の『The Ballads〜Love & B'z〜』にはシークレット・トラックとしてよりグルーヴ感溢れるヴァージョンを収録。今作では、昨年TBS系テレビ「恋するハニカミ!」で放送され反響を呼んだ、新たにミックスされた新バージョンをCD初収録。初期バージョンではイントロがオルゴールの音色から始まるが、ここではクリスマスの鈴の音から始まっている。曲後半のコーラス部分は、ヴァージョンを聴き比べてみるとその風合いが異なり興味深い。メランコリックなストーリー性を持った歌詞とアコースティックな温もりを感じさせるメロディ&サウンドの効果が冬の大定番曲である事を納得。これも名曲。

7.「熱き鼓動の果て」
2002年6月5日発売(33th single)/TV ASAHI NETWORK SPORTS 2002 テーマソング・パンパシ水泳横浜2002大会公式テーマソング/オリコンシングルチャート初登場第1位

 いきなりヴォーカルの叫びから始まる出だしと、途中で大胆にテンポ・チェンジする構成も斬新な作品。この年は念願のアメリカ西海岸ツアーを敢行、FIFAワールドカップのオフィシャル・コンサートでエアロスミスと共演したりと、よりワールド・ワイドな活動が目立った頃の作品なだけに、充実した演奏力と内容の成熟度はピカイチ。尚、このシングルは12thアルバム『GREEN』にも収録、この時期の彼らの代表曲たるべき風格を備えている。

8.「野性のENERGY」
2003年7月16日発売(35th single)/TV ASAHI NETWORK SPORTS 2003 テーマソング/オリコンシングルチャート初登場第1位

 ハードなサウンドの中に軽いギター・カッティングを絡ませた爽快なポップ・ナンバー。この年の夏、B'zは結成15周年を記念し最後のPleasureツアーを敢行し、ファイナルを10年振りの静岡県渚園で行い2日間で10万人を動員。台風15号の直撃を受けても尚決行したライヴは伝説となった。03年リリースのアルバム『BIG MACHINE』に収録。

9.「IT'S SHOWTIME!!」
2003年3月26日発売(34th single)/TV ASAHI NETWORK SPORTS 2003 テーマソング/オリコンシングルチャート初登場第1位

 これぞ、まさにB'zのLIVEーGYMのエッセンスを凝縮したアッパーなナンバー。4つ打ちビートにハードなギター・サウンドが絡む灼熱のロック・ナンバーは、その後のLIVEーGYMのハイライト曲としてもお馴染み。B'z15周年の第1弾シングルとしてリリースされ、同時に過去の8cmシングル10作品もマキシ化して発売したため、シングル・チャートの1位から12位まで11曲が独占するという偉業を成し遂げてもいる。B'zのハードロック・ナンバーの代表曲たるアンセム楽曲。03年リリースのアルバム『BIG MACHINE』に収録。

10.「juice」
2000年7月12日発売(29th single)/オリコンシングルチャート初登場第1位

 こちらも最近のLIVE-GYMでは欠かせないB'z王道のパワーロック・チューン。ツアー・タイトルともなったB'z LIVEーGYM Pleasure 2000“juice”で初披露され、その破壊力溢れる松本のギター・リフと稲葉のシャウティング・ヴォーカルの絡みに狂喜乱舞したファン多数。当時、B'zのジャケットにしては珍しいイラスト・ジャケットや札幌のオープン・スペースで撮影されたPVも話題を呼んだ。これは、00年リリースのオリジナル・アルバム『ELEVEN』にも収録されているが、シングルとアルバムでは微妙にミックスが異なっている。当然この曲も、21世紀のロックユニット、B'zを語る上では欠かせないナンバー。

11.「May」
2000年5月24日発売(28th single)/オリコンシングルチャート初登場第1位

 ピアノのイントロから入る叙情的なナンバーは、数あるB'zナンバーの中でも異彩を放っている。アコースティック・ピアノは「ねがい」のプレイでもお馴染みの小野塚晃(DIMENSION)。哀愁溢れるメロディ、刹那な感情を吐露する歌詞、そして切迫感溢れるヴォーカルと、ドラマティックな要素を数多く併せ持つナンバーである。B'zのシングル曲の中でもこの切なさは他に類を見ない。00年リリースのアルバム『ELEVEN』に収録。

12.「ギリギリchop」
1999年6月9日発売(26th single)/読売テレビ・日本テレビ系 アニメ「名探偵コナン」オープニングテーマ/オリコンシングルチャート初登場第1位

 99年6月9日、ロックの日にリリースされた26thシングルは、当然のごとくB'zが繰り出す剛速球ハードロック・ナンバー。リリース当時はそれぞれがソロ活動の充電期間を経て、B'zとしては約11ヶ月振りにリリースした作品だけに、圧倒的なパワーみなぎる作品となった。B'zのシングル作品中1〜2位を争うスピード感を持ったこの曲は、99年のアルバム『Brotherhood』にも収録されているが、リズム隊のバージョンが違うため好みは分かれるところか?(アルバムVer.は元MR. BIGのビリー・シーンとパット・トーピーが参加)当然、この曲もその後のLIVEーGYMハイライトの定番曲に。情緒たっぷりの唱法やシャウトも新鮮で、アメリカの匂いが漂う歌詞と共に、この曲を渋く味わい深いものにしている。

13.「RING」
2000年10月4日発売(30th single)/読売テレビ・日本テレビ系ドラマ「明日を抱きしめて」主題歌/オリコンシングルチャート初登場第1位

 B'zのシングル曲の中でも最も幻想的かつ異色なメロディを持ったこの曲は、00年夏のツアーB'z LIVE-GYM Pleasure 2000“juice”で未発表曲として披露されていた。スケール感溢れるストリングスの響きと、繊細なる詩的な歌詞、そして曲中盤から登場する強力なロック・サウンドの融合は、プログレッシヴな要素もある。この曲も00年リリースのアルバム『ELEVEN』に収録。当時はB'z作品の中でも前衛的な作風の曲として認知されていたが、今年リリースされたアルバム『THE CIRCLE』を聴くと、その世界観の近さに驚いてしまうはず。

14.「BANZAI」
2004年5月5日発売(36th single)/アサヒスーパードライCMソング

 タイトルの“BANZAI”は、前年の西海岸ツアーの時からこのタイトルで曲を作ろうという構想があったそう。リリース時期は、ちょうど2人がソロ活動に専念していたため、オリジナル・アルバム収録はなく、今回アルバム初収録。その溌剌としたメロディと豪快なエールを送るリズム、そして極め付けの“BANZAI”のフレーズ合戦は、この時代のスポーツ・フィーバーの風潮を具現化して余りある。リズム・チェンジも多用され、複雑な構成と演奏力を要求されるナンバーにもかかわらず、一気に盛り上げてオーディエンスと大合唱を繰り広げる事の出来るオープンなアップ・チューン。これもライヴ仕様満点だ。

15.「ARIGATO」
2004年9月1日発売(37th single)/テレビ朝日系列スポーツテーマソング/アルバム初収録。オリコンシングルチャート初登場1位

 この曲もソロ活動中に発表されたため、今回がアルバム初収録。憂いを帯びたマイナー調のメロディが、聴き進むに連れドラマティックに展開していき、リピートして聴くたびに深く心に染み渡る味を内包している。タイトルの歌詞が曲後半の1部に唐突に出現する手法も、B'zシングル曲の中では異色の存在感を放ち、B'zならではの作品でありながら予定調和を嫌う彼らの革新性が潜んでいる。

16.「GOLD」
2001年8月8日発売(32th single)/世界水泳福岡2001 大会公式テーマソング

 雄大なオーケストラの調べで始まるバラードは、世界水泳福岡2001大会公式テーマソングとして起用され、同じく公式ソングとなった「ultra soul」と対をなす。「ultra soul」が“アスリートの炎に火を点ける豪快なナンバー”だとすれば、こちらは“戦いの後の選手を祝福・賛美し、安らげる応援歌。表彰式に相応しい曲を”という事で作られたナンバーではないか。確かにドラマの終焉を美しい余韻を持って締めくくるに相応しい作品だ。この曲での松本のウォームなギター・ソロ、稲葉のヴォーカル、圧倒的なバンド・サウンドはどれをとっても素晴らしい。アメリカの国民的バンドがエアロスミスで、イギリスの国民的バンドがクイーンであるとするなら、日本の国民的バンドはやっぱりB'zじゃなくては、と思わせる英雄の歌だ。


 以上、全16曲、B'zの98年〜05年の栄光の歴史の集積『B'z The Best“Pleasure II”』。言うまでもない事だが、彼らのシングル曲にはどれ1つとして妥曲が存在しない事を、この16曲は証明している。聴き込むほどに引き込まれる松本のギター・サウンドとメロディ、そして稲葉のヴォーカルと歌詞、この奇跡的な2人の才能の融合が、B'zを今尚トップ・アーティストに君臨させる全てである事をこの最新ベスト・アルバムは伝えてくれる。まだまだ僕らの未来にはB'zがいる。


B'z

BEST ALBUM
『B'z The Best“Pleasure II”』

2005.11.30 Release


VERMILLION Records
BMCV-8017 ¥3,059(tax in)