三枝夕夏 IN db

New Single
「君の愛に包まれて痛い」

2005.11.16 On Sale!


この夏、本誌主催のファン・ミーティングで全国7ケ所を回った三枝夕夏 IN db。イベント最終日の9月11日、福岡の本番終了後に「新曲が完成間近なんです。秋には発表するんで、待っていて下さいね。今回は今のバンドのいい状態が表れた音になってると思います!」と語ってくれていたが、その待ちに待った最新作が手元に届いた! バンド形態となってから丸2年。彼らから届けられた新曲は、これまで発表してきた作品とは明らかに趣きを変えた、現在の三枝夕夏 IN dbの姿が感じ取れる作品になっている。まさにバンドとしての第2章とも感じ取れるこの作品について今回は、本誌初メンバー4人揃ってインタビューに答えてもらった!

●この夏はmusic freak magazineサポーターズコンベンション、お疲れさまでした。全公演終了しましたが、いかがでしたか?
三枝夕夏(以下三枝):2005年の夏といえば、もうファンミーティング、これに尽きますね。とてもいい思い出です。編集部やイベント事業部の方々、そして集まって下さったたくさんの方々のおかげでとても貴重な体験をする事が出来て、とても感謝しています。

●あの時言っていた新曲がいよいよ発売となりますね。これまでとはひと味違うアプローチの楽曲ですが。
車谷啓介(以下車谷):バンドになってからこれまで、色々な作品を発表する事によってバンドの振り幅を提示してきたんですけど、まぁその中で今回は原点回帰というか、バンドでやって行こうって4人が集まった、その最初の所に戻ってきた感じですね。それで、出来上がったものを改めて聴いた時に、これはただ戻っただけじゃなく、僕らの進化形が示せた作品になったんじゃないかと感じました。

●具体的にはどんな部分が?
車谷:サビなんかはとくにメロディがポップで聴きやすい曲であると同時に、あっけらかんと、“ト〜ン”と明るくいくだけじゃなく、バック・トラックでは少し影とかパンクな感じとか、トゲトゲしいところもあるっていう、そんな所はバンドの新しいエッセンスも出せたんじゃないかなと思います。
大薮拓(以下大薮):これまでシーケンスとの融合とか色々試行錯誤した時期もありましたけど、ライヴでラモーンズとかのカヴァーをしていくうちに、自分達が本来もっているエネルギーとか、自分達の色とかを再確認していったような所があると思います。素直にエネルギーを出せばこうなったっていう感じです。

●最近ライヴでもSEX PISTOLSとかRAMONESなどをカヴァーしていますよね。
三枝:もともとGREENDAYとかをプライベートで聴くのはメチャクチャ好きだったんですけど、歌ってみたらもっとハマっちゃって。今はバンドでライヴをするのがとにかく楽しいし、そこから色んなものが生まれているような気がします。私個人の中では、今までよりも洋楽テイストが強くって、よりロック・テイストの強い曲を作っていきたいっていう欲求が強まっている部分はありますね。それで、今回のような曲を私の方から提案したんですけど。

●ある意味新しい方向性の曲に、岩井さんは最初戸惑いもあったと伺いましたが。
岩井勇一郎(以下岩井):初め仮歌を聴いた段階では、今まで三枝さんが歌ってきたものを根底から覆すようなイメージがあった曲だったんで、それがちょっと心配だったんですけど……。でも完成した曲を聴いたり、完成したPVの中で肩の力が抜けた、本当に音楽を楽しんでいるような三枝さんの姿を観た時に、これでいいのかなって思いました。

●確かにPVの三枝さんはこれまでで一番自然な表情をされていますよね。
岩井:PVもですけど、ヴォーカル・スタイルも、よそゆきじゃない、フォーマルじゃない普段着って感じですよね。

●レコーディングはどんな感じでしたか?
三枝:ヴォーカルも歌詞も、今回はとにかくノリというか、グルーヴを重視しました。作詞しかしていなかった頃は、とにかく歌詞重視の所があったんですね。ちょっと字余りでも歌詞重視で逆にそのまま活かしたり。でも、最近自分で作曲するようになったり、ライヴでグルーヴの気持ち良さを体感するようになってからは、とにかく聴き心地の良さを重視するようになりました。それが今回の作品には現われていると思います。

●どちらかというと、サウンド重視というか、ライヴ映えする曲を求めてるって事でしょうか?
三枝:ライヴはもちろん意識している所はあると思うし、何よりメンバー4人で集まって音を鳴らした時に、今回のようなちょっとパンク寄りな曲がすごく気持ち良くって……、それで最近はこういう曲ばかり作ってますね。

●その中で、今回の楽曲を選んだ理由は?
三枝:パンキッシュなんですけど、あまりハード過ぎずポップ感もあって、わりと音域の狭いところでメロディが展開されてるんですけど、でもすごくメロディアスに感じられる所がすごくいい曲だなって思いました。

●メジャー感があるけど、どこかマイナーな雰囲気もある、味のある楽曲ですよね。
岩井:パンクは基本的にメジャーが多いんですよね。っていうか、メジャーとマイナーの区別がないコードを弾いている事が多くって、メロディがメジャーかマイナーを決定付ける、コードはメジャーもマイナーも区別を付けてないっていう。だからプレイヤーとしては弾きやすいんですよね。とにかく激しく。元気にって感じで。まぁ、そのマイナーな雰囲気って三枝さんのヴォーカルにすごくマッチしていると思うんですけど。
三枝:今回はあえていつもより半音下げたキーで歌ってるんですよ。ライヴの時って、例えばストーンズとかキンクスとかカヴァーする時、敢えて低めのキーで歌ってるんですね。男性の曲だし、ロックだし。で、その感じの方が今回の曲には合ってるんじゃないかって事で、試しに半音下げて歌ったらそれが好評だったんで採用しました。
車谷:今回の曲は、一番三枝さんの歌い方の印象が変わって聴こえるんじゃないですかね。僕らでも初めて仮歌を聴いた時歌い方変えたのかな?って思ったくらいだったんですけど、そういう意味では新鮮でしたね。三枝さんの歌声にインスパイアされて必然的にバンド陣の演奏も少し変わったんじゃないかなと思います。
岩井:ギターにしてもドラムにしてもベースにしても、型にはまってない弾き方になっているっていうか、小節を1小節として考えた弾き方をしていないんですよね。だから、よりグルーヴが出ている曲に仕上がったなって思います。今までの曲の中で一番ロックぽいく、男らしい曲だなと思います。

●洋楽テイストの強い曲になりましたよね。
大薮:難しく考えなくて、もうとにかくノリノリっていう。考えなくても感覚で楽しめるそういう曲。ライヴとかでも感覚で弾いていったら、うまく表現できそうな曲かなって思います。

●歌詞もかなり斬新ですよね。
三枝:最終的には恋愛初期段階のドキドキ感を表した物語になっていますけど、まぁなんかこういう曲ってマジメ過ぎてもつまんないし。とにかく耳に気持ち良い言葉と、あとキュートさだけはなくさない様に書いていきました。

●タイトルはインパクトありますよね。しかもキュートだし。
三枝:最初は、普通に「君の愛に包まれていたい」にしていたんですよ。でも歌ってる時にふと“愛って切ないよね〜”“胸がキュンって痛いよね〜”、とかそんな風に思って。それで「いたい」の部分を「痛い」と漢字にしたんですけど……、完全にノリですね(笑)。

●なんか三枝さん楽しそうですね。
三枝:私、自分で言うのも変ですけど、マジメなんですよ。特に自分にとって大切なモノに対してはクソが付くくらいマジメなんです。だから今までなんか必死に作品を作ってきたし、歌ってきたんですよね。でも本来音楽って楽しむためのモノだし……、ライヴやってて思ったんです。歌ってる方が楽しまなきゃ、聴いてる方も息詰まるよなって。もちろん、今だってあんまり余裕はないし、ライヴ前も相変わらずかなり緊張してるんですけど、でもやっぱりメンバーが居るって全てにおいて大きいですね。今は、もっと三枝夕夏 IN dbを成長させていきたいって気持ちがすごく強いです。

●私も何度かTHURSDAY LIVEを拝見していますが、dbのライヴはとにかく楽しいですよね。最近のライヴを観ると、バンドが新しいステップを歩き出したっていうのが、こちら側にも伝わってきますよ。
三枝: 1ここ最近ですね。かなり素な感じに近づいてきたのは。正直、メンバー3人はかなり面白いキャラだと思いますよ。そういう部分も小さいハコだと出しやすいですよね。もっと頑張って、大阪以外でもライヴが出来るようにとにかく頑張りたいです。

●2曲目の「CaNDY LiFe」はNew Cinema蜥蜴のカヴァーですね。
車谷:New Cinema蜥蜴も三枝夕夏 IN dbも、乾いたバンドの空気感みたいなものは通ずる所があると思うんですよね。個人的に自分の引き出しとしては好きだし、やりがいがありますね。この曲は当時、キッチュな、気をてらったポップ感みたいな狙いがあった曲なんですけど、三枝さんが歌う事によってもっとその要素が増したかなって感じました。
大薮:メロディ自体はそんなにキャッチーな曲じゃなくて、歌とオケのコード感が混ざり合ってポップ感が出ている曲だと思うんですよね。そういう意味では三枝さんの歌がすごくいい方向に作用していると思います。
三枝:岩井さんの曲はキーが取りずらいんですけど、この曲もハマりました。ハマるとずっとハマっていて、この曲は特にDメロのあたりにハマりましたね。
岩井:この曲は確かにメロディが難しいんですよね。でも、いい仕上がりになったと思います。

●3曲目の「へこんだ気持ち 溶かすキミ」の名古屋弁ヴァージョンは面白い企画ですね。
三枝:私、時々名古屋弁が出ちゃんですよね。ライヴとかでも後で見返すと、ふと名古屋弁になっていたり。それが逆に面白いんじゃないの?って話になって作っちゃいました。だけど、いざ標準語の歌詞を名古屋弁に直そうとすると、これが逆に難しかったりするんですよ。あれ?名古屋弁で何って言うっけ?って分からなくなって、家族に電話して確認しながら作りました。是非、名古屋弁普及の為に、みんな一緒に歌って下さい!
大薮:この曲はライヴでも人気のある曲なんで、是非各地の方言ヴァージョンを作って、いつかはその場所で披露したいですね。

●さて、今年ももう10月ですけど、残りの2005年はどんな予定ですか。
三枝:とりあえず制作活動ですね。もっとたくさん曲を作って……、来年はもっと色々な場所でライヴが出来るように頑張りたいです。


三枝夕夏 IN db

NEW SINGLE
「君の愛に包まれて痛い」

2005.11.16 Release


GIZA studio
GZCA-4052
¥1,260(tax in)