2006年、早くも動き出したB'zのニュー・シングル「衝動」は、3分間で一気に駆け抜ける、PUNK/HARD ROCK/GUITAR POP……全てのロックファンに贈る、血湧き肉踊り、疾走感溢れるエモ(感情)ROCKだ!
携帯、メール、インターネット……目で見る事なく、手に触れる事なく、いつから僕たちは相手の顔を見ないでコミニュケーション(会話)をする様になっていたんだろう? いつからそんな平面的な人間関係に慣れてしまっていたんだろう?
そんな価値観を打ち砕くかの様に、今回のB'zの新曲を聴き、イントロのギターが鳴った瞬間、“なんて血がかよった、立体的/肉体的な曲なんだろう!”と思った。
次から次へと襲いかかるキビキビとした松本のギター。その音の洪水の隙間を縫って、稲葉の歌は一筋の光へ向かって高速で突き進んで行く……聴いた瞬間、嬉しくて思わずギターのリズムに合わせて頭の上で両手を叩いていました。
今回の曲はいつにも増して、デビューしたばかりの新人バンドのような初々しさ、スピード感、勢いに満ちている。そして何と言っても曲が短い!(3分弱)。CDプレイヤーのスイッチを入れた瞬間から最後まであっという間にエンディングまで駆け抜ける。目の前でライヴをしているかの様なリアルなサウンド。一気に気持ちが高ぶる。(当たり前の事かもしれないけれど、これを出来るバンドはなかなかいない筈)ああ、これがやっぱりB'zの良い所なんだ。こんなB'zの曲がずっと聴きたかったんだ。何度も何度も中毒の様に、CDのスイッチを押させる。
こう書くとなんだか勢いだけの曲に思われるかもしれないけど、この曲を聴き終えて全体に残る“せつなさ”みたいなものは一体何なんだろう? 「juice」の時もそうだった。胸をかきむしられる様な疾走感、まだ誰も見ぬ世界へと連れていってくれそうな、期待感に満ちたこの世界観は?
そして今回の歌詞。僕は心で泣きました。歌詞中に出てくる“僕にも何かを変えられる…あなたの声が明日への衝動”を、僕は勝手に“俺たちにも何かを変えられる! 俺たちの声(行動)が明日への衝動なんだよ!”と解釈しております。
この言葉は僕(私)たちに向けられている! 考えただけで武者震いしてこないか!?!?
サウンドの方もいつにも増して、明るくて引き締まっていて、きらきらとしている。それもそのはず、注目すべき今回のミックスエンジニアは、まさに近未来的なROCKの最新系サウンドを手掛けるジェイ・バウムガードナー。(今をときめくLINKIN PARK/HOOBASTANK/EVANESCENCE等を手掛ける)。そしてマスタリングエンジニアは巨匠テッド・ジャンセン。(ノラ・ジョーンズのアルバムで2002年にマスタリングエンジニア部門のグラミー賞を受賞。MADONNA/GREEN DAY/MARILYN MANSON等を手掛ける)。GREEN DAY、ATARIS、JIMMY EAT WORLDあたりのGUITAR ROCKが好きな人にはたまらない筈だ。凄まじい音圧の松本のギター音、いつにも増して鬼気迫るものがある稲葉の歌声を、損う事なくそのままギュッとパッケージして、しなやかで本当に生々しいスリリングな音に仕上がっている。
2nd beatの「結晶」も、「衝動」と表裏一体と言うか、“せつなさ”という意味では「衝動」以上の名曲だ。ミニ・アルバム『FRIENDS II』を彷彿とさせる、息を吐けば白くなるけどなぜだか優しく穏やかな気持ちになるあの寒い冬の世界観。深みのある稲葉の歌声と、松本のこぼれ落ちる雪の様なギターの音色。いつまでも飽きのこない、これからも長く聴き継がれるであろう味のある楽曲だ。
キャリア15年以上経つのに、こんなにも勢いがあり、純粋に心がわくわくするロックの初期衝動を教えてくれるB'zの今回の新曲。かつてビートルズやKISS、THE ROLLING STONES等のロックの先人たちが実現した、“名曲は3分にあり”と言われる様に、今回のB'zの「衝動」はサウンド&歌詞&曲構成、どれをとっても本当に無駄のない見事な楽曲だと思う。
“go for it 愛情こそが衝動”
恋人のいる人もいない人も、友達のいる人もいない人も、青春まっただ中の人もそうでない人も、この冬はこの新曲を聴いて、みんなで熱くなろう! (TEXT BY ペリー今村)
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