いよいよ2006年スタート!! “今年は今までよりも尚一層ガッツリと、厚みのある1年にしたい”と抱負を語る北原愛子がその言葉通り、年明けから意欲的に2タイトルを立て続けに発表! まずは1月1日、自身初となるDVD作品『AIKO KITAHARA Visual Collection』を。そして1月18日にはニュー・シングル「TANGO」をリリース。そこで、北原自身にこの2作品について話を聞いてみた。
(INTERVIEWED BY YUKARI MATSUBARA)
●まずはDVDについてお伺いしていきたいのですが、ご覧になられた率直な感想は?
北原愛子(以下北原):懐かしいっていうのももちろんありますけど、恥ずかしいっていう気持ちがありますね。でも、いい思い出がいっぱいあって、こうして発表出来たのは良かったなって思います。
●何か撮影時のエピソードはありますか?
北原:自分的にはやっぱり1stシングルの「grand blue」を撮った時がカメラ慣れしていなくてすごく新鮮だったというか、何が何だかわからない、まるで狐につままれたような感じで撮っていたっていう、それが今となってはすごく懐かしいですね。まぁ、今も慣れてないですけどね(笑)。
●特に気に入っているPVは?
北原:そうですね、「Sun rise train」が結構好きですね。あと、「向日葵のように」「虹色にひかる海」「DA DA DA」「冬うらら」あたりは好きかもしれません。
●今後PVで挑戦してみたい事はありますか?
北原:いつも座った感じの静止画的な映像が多いんで、もっと活動的な動きのある映像……。ダンスは出来ないんですけど、そういう雰囲気のPVもやってみたいです。撮影は好きなんですよ。普段お会いしないスタッフの方も色々いらっしゃるし、いい刺激になるんですよね。
●THURSDAY LIVEのコレクションも入っていますね。選曲は?
北原:これはプロデューサーに選んで頂きました。自分とか、マネージャーさんだとどうしても主観的になってしまうんですよね。なので、今回はおまかせしたんです。
●選ばれたものを見てみて、いかがでしたか?
北原:最初の「grand blue」はもう全然覚えていなくて。とにかく一番最初のTHURSDAY LIVEだったので、まるで産まれたての小鹿のような(笑)、緊張しすぎて大変でした。
●3曲目にも「grand blue」が入っていますが、少し年月がたった後のステージって事で、やっぱりちょっと余裕みたいなものが感じられますよね。
北原:やっぱり違うって感じました?(笑)。もちろん、今でも緊張してるんですけど、オーディエンスの皆さんに楽しんで頂かなきゃっていう、歌い手としての自覚が少しずつ出てきたと思うんですよね。最初はもう必死で、そういう自覚すらもなかったんで。でもまぁ恥ずかしいけど、1stステージの映像も自分では好きですよ。
●間々に写真館的なコーナーが入っていますね。
北原:写真は自分で選んだものも入っています。写真って人によって良いと思うものが結構違ったりするし、客観的に選ぶのって難しいですが、自分が理想とするアーティスト・北原愛子の表情をしている1枚を選ぶようにしています。
●ジャケットは?
北原:今回はここまでの集大成的な意味合いも込めて、これまでで一番好評だった写真になっています。
●初DVDって事で、心待ちにしていたファンの皆さんに一言お願いします。
北原:1月1日発売という事で、何か初日の出みたいな気分でとても気持ちいいんですけど……、お正月にゆっくり観て頂けたら嬉しいなと思います。
●では続いてニュー・シングルについて伺っていきたいと思います。今回はタイトル通り、まさにタンゴですね。今回何故タンゴに挑戦しようと?
北原:何曲かシングルの候補曲があって、その中にタンゴのアレンジがされたこの作品があったんです。これまでお祭り騒ぎ的なラテンをやったり、ジャズ要素が入ったサンバをやったり、色々ラテン系なテイストの曲をやってきたんですけど、その流れの中で次はこれをやってみたら面白いかもと思って選びました。実はこの曲はアレンジ前のデモ段階で聴いた時は、もっとサラっとした感じで全然イメージが違ったんですよ。それでアレンジ後初めて聴いた時、すごく強い曲になったなって感じて魅かれましたね。
●タンゴって、北原さんの中では元々どんなイメージでしたか?
北原:だんご三兄弟!(笑)。……っていうか、かわいらしい感じで、あまり遠くもなく、近くにいたような、そんなジャンルではあったと思います。でもアレンジが上がって聴いた時は、「こうきたか!」って感じで、身近でありながらも新鮮でしたね。力強さと哀愁が散りばめられた情熱的な曲だなって思いました。
●かなりアップテンポで同じようなメロディがループしているので、作詞が大変じゃなかったですか?
北原:歌詞の方は1時間位で書き上げました。それだけ曲が強い力を持ってるって事だと思うんですけど、書きやすかったですね。あと、その時点でアニメのタイアップのお話を頂いていたんで、そこからインスパイアされるものも強かったです。今回エンディングとなっているアニメは格闘もののお話なんですけど、主人公の女の子がすごく強いんですよ。だからこの曲が持っている強さとぴったりだなって思いました。何話か観させて頂き、イメージを膨らませて歌詞を書いていきましたね。
●歌詞のテーマはどんな感じですか?
北原:理想と現実が違ってしまうって事、誰にでもあると思うんです。それに、気がついたら理想の形が変わっていたって事も、きっと誰にでもあると思うんです。例え理想の形が変わっても、心の中にある情熱や熱さは決して消してしまわないように……、そんな願いも今回の歌詞には込めてみました。
●理想は違っても、心の中にけしてなくしちゃいけないもの……、ご自身にとってはどんなものですか?
北原:すごく簡単ですけど、日々楽しく。責任感のある楽しさが出来る生き方をしていきたいなと思っています。
●そういう感じはいつも歌詞に表れていますよね。
北原:そうですね。聴いてくれた人にプラスのエネルギーを送りたいっていう気持ちがあるので、最終的に歌詞はポジティヴに締め括る傾向がありますね。今回の曲も、人生は1度きりだから後悔のないように情熱的に、そして魂を振るわせるような生き方を心掛けて頂きたいなっていうメッセージを込めています。あと、「夢」と「愛」と「世界平和」を込めて!! 人って1人1人考え方が違っても、ちょっと視点を変えれば分かり合えたり、気付き合える事ってあると思うんですね。物事を色眼鏡で見ないようにしたり、エゴを捨てて1人1人の心が綺麗になれば、きっと世界全体が幸せに平和になるんじゃないかなって。「世界平和」なんていうとちょっと大袈裟に聞こえますけど、でもそういう小さい所から全ては始まっていると思って、そんな普遍的な愛について描いてみました。
●なるほど。
北原:それに今回、“自然に生かされている、人間”っていうものも、すごく意識して書いていきました。過去、運命、必然、偶然……。MOTHER EARTH, FATHER SKYなんて言いますけど、所詮私達は空と大地の間に生かされているちっぽけな存在なんだっていう。これはけしてネガティヴな思考ではなくて、簡単に言っちゃうと、あまり小さな事を難しく考えずにもっと大きく捕らえようっていうか、楽しく情熱的に生きていこうっていう、そういう考え方なんですけど。
●どうしても物事難しく考え過ぎてしまう傾向がありますよね。まぁそういった北原さんの強い思いを表すのに、今回ギターも一役かっていますね。GS色の強いとても味のあるギターですが。
北原:今回は岡田詩郎さん(60年代後半から70年代にかけて大活躍されていたGSグループのギタリスト)に弾いて頂いているんです。ギター自体も、60年代のヴィンテージ・ギターを持ってきて頂いて、とても雰囲気のある仕上がりにして頂きました。
●ヴォーカルもオケ同様ストレートで力強いですね。
北原:今回歌入れはとてもスムーズでした。レコーディング中も楽しく、とても良い雰囲気の中進められましたね。
●続いて、2曲目「シアワセニ☆」についてお聞きしたいのですが。
北原:この曲は、歌詞を書こうと思っていた時にたまたまついていたテレビで「朝まで討論会」みたいな番組をやっていたんです。それを見ながら感じた事を、そのまま歌詞にしてみました。
●それじゃ、北原さんの素の考えが表れているんですかね?
北原:そうですね。それを面白おかしくして書いてみました。これまでこういったシニカルな作風のものってなかったので、一度挑戦してみたかったんです。
●とくに歌詞の中でサビ終わりの“どうせ、訂正、せっかく 生きるならシアワセニ☆”っていう部分がひっかかったんですが、人生は訂正がきくんだから、せっかくならシアワセに生きよう!みたいなメッセージなのでしょうか?
北原:少し違いますね。あそこは、よくみんな“どうせ私なんて”とか“どうせ無理なんだし”とか使うじゃないですか。そういうのが私は好きじゃなくて、みんなにもあまり使って欲しくないなって思ってるんですね。だから気持ちの中で、“どうせ”って思うんじゃなくて、“どうせ”を“せっかく”に訂正してシアワセに生きよう!っていう、そんな意味を込めています。
●なるほど。そういう意味なんですね。
北原:“せっかく生まれたんだから”っていうのと、“どうせ生まれたんだから”っていうのとでは、たった1語なのに全然違いますよね。
●タイトルが「シアワセニ☆」ですけど、北原さんにとってシアワセって何ですか?
北原:真面目に語り出すとミュージックフリークマガジン全ページを使ってしまいそうですが(笑)。まずは生まれてきた事に、シアワセです! そして毎日が当たり前にある事がシアワセだなって思いますね。まぁ、アーティスト北原愛子としては、みんなに自分の作品を聴いてもらえて、同じ気持ちになってもらえるのがシアワセだなって感じています。シアワセって、本当はそこら中にあるんですよね。
●最近世間的には悲しい、やり切れないニュースばかりですけどね。
北原:そうですね。でも、例えばこの「シアワセニ☆」って曲は、♪幸せなら手を叩こう!って曲をイメージしているんですけど……。今幸せであっても、幸せじゃなくても、あの曲を聴くと思わず手をパンパンって叩いちゃいません? 私、幸せの始まりってそんな感じで良いんじゃないかなって思うんですよ。思わずつられてやってしまうみたいな。だから、この「シアワセニ☆」を聴いて、1人でも多くの人が手をパンパンってやってくれるといいかなって思います。その瞬間、幸せが1つ、また1つって増えているとイメージして欲しいんです。きっと本当に幸せが増えていると思うから。
●3曲目の「永遠へとかかる虹の橋」についてですが、こちらは肩の力の抜けたとてもハートウォーミングなナンバーですね。
北原:この曲は友達の結婚プレゼント曲なんです。ちょうど友達から報告を受けた時に、上がってきた何曲かのデモの中から、この曲が一番結婚をお祝する曲にピッタリかなと思って選びました。歌詞の方は結婚式当日に、こんな気持ちなのかな〜って想像しながら優しい言葉を選びながら書きました。
●これはそのお友達そのものをイメージされた曲ですか? それとも北原さんの理想の結婚像という感じでしょうか?
北原:理想ですね。色々なカップルの人達がこの曲を聴いた時に、出会った頃の気持ちを思い出して欲しいというか、こんな感じでずっと居てねっていう、そんな願いを込めて書きました。
●コーラスもとてもいい感じですね。
北原:そうですね。この曲を聴いて温かい気持ちになってくれると嬉しいですね。
●では最後に。いよいよ新しい年がスタートしましたが、2006年の抱負をお願いします。
北原:厚みのある1年にしたいですね。年明けに初DVDを出して、今回のシングルはタンゴに初挑戦という感じで、この後も色々、今年は新しい事をやっていこうと思っています。
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