GARNET CROW

New Single
「籟・来・也」

2006.3.1 Release


GARNET CROW2006年度第1弾シングル「籟・来・也」は、デビュー6年目に向けて彼らが放つ、壮大にして繊細かつ、彼らの新境地開拓!と思わせる作品だ。TVドキュメンタリー番組のイメージソングとしてもコラボレート感を強く意識させるイメージいっぱいの曲だが、そのいきさつには意外な事実が隠されていた。不思議な結びつきともいえるエピソードについてヴォーカル、中村由利に聞いた。(INTERVIEWED BY SAI SAIDA)

●2006年度第1弾シングル「籟・来・也」ですが、これはデビュー6周年を迎えるGARNET CROWに相応しい素晴らしい内容になっていますね。まず、伺いたいのは、この曲はTV番組(TBS系全国ネット キヤノンスペシャル「古代発掘ミステリー秘境アマゾン巨大文明 大発見!紀元前の遺跡…大地を改造した幻の民族」イメージソング)のタイアップという事もあり、やはり番組のコンセプトありきで出来た曲ではないかと思うのですが、その辺のきっかけというのは?
中村由利(以下中村):実は、この曲は去年からあって、それをTBSの方が聴いて、「これは(番組に)ぴったりだ!」という事で、使って頂く事になったんです。なので、その番組の為にこの曲を書き下ろしたのではないんです。もう最初から「籟・来・也」というタイトルで、こういうアレンジでこの曲はあったんですよね。

●それは意外ですね。
中村:そうなんですよ、タイトルもそのままで、去年にはもう出来上がっていた数ある楽曲の中の1つでした。こういう趣向のものがあって、次のアルバムに入れようかなくらいの感覚でストックしてたんですけど(笑)。

●「籟・来・也」というフレーズにしても、この番組にぴったり過ぎますよね。歌い方も、歌詞にしても番組を意識してだとばかり思っていました。
中村:私達の立場から言うと、よくこの曲にぴったりの番組があったなと(笑)。逆の発想で、自分たちの曲にぴったり合うコンセプトの番組があった事自体が驚きでしたね。

●それにしてもこのタイトル、斬新ですね。
中村:籟・来・也」というタイトルは制作していて一番最後に付きました。最初はデモ通りやっていると“アイアイヤ〜”みたいなフェイクの感じで乗せていたんですけど、一番最後のメロディの強い部分なので、何か歌詞を付けた方がいいんじゃない?という事になって、で、この「籟・来・也」をAZUKIさんが付けてきました。

●“アイアイヤ〜”というフェイクから「籟・来・也」が生まれたと。
中村:そうです。そう言っていて、その母音を生かすようにしようというので考えて、最初に“籟”という文字が来て、あと“来る也(なり)”というのを付けたと言ってました。

●この“籟”という文字とか、相当練らないと出てこない言葉だと思いました。歌詞の内容も春夏秋冬が描かれて、ものすごく自然の雄大さが出てくる歌ですね。メロディには和のテイストも備わっている。これは中村さんが曲を作ってきた時にそんなイメージがあったのですか?
中村:和風のテイストというのは、もともとそういうのが好きだったので、それをちょっと今回は強調してみました。でも、最後の世界観が出来てきたのは、アレンジと歌詞が出来てから。この曲のもともと持っていた資質や方向性のようなものを引き出してもらったな、という感じです。デモの段階では、そこまでイメージは具体的ではなかったですけれど、あのアレンジと歌詞が付いて、この曲の方向性がすごく見えました。

●じゃあ、アレンジも全く古井さんの感性で、あんな風に始めから仕上げられていたんですね。
中村:そのままですね。

●という事は、あの民族楽器系の音色なんかも?
中村:あっ、入ってましたね。ケーナとか民族楽器の音色も最初から入っていて、ほぼ完璧に近い状態にあったので、それを聴いて気に入って下さったんです。

●ちょっと、信じられませんね(笑)。アマゾンの秘境番組にして、この曲との相性といったら、絶対タイアップを意識してアレンジはしたものだとばかり思ってました。
中村:私達自身も驚いてます(笑)。

●でも、これはGARNET CROWの代表曲になりそうですよね。
中村:クセがすごいある曲なのでね。1度聴いたらきっと忘れられないような曲になってもらえるんじゃないかなぁと思います。歌詞や世界観も、なかなか今まで歌ってきたものとはちょっと違うというか、大きいスケール感、自然とか人としてどうだ、どう生きようとかを歌っているので、何かそういう人間の根本的なものを感じて頂けたらなぁと思いますね。

●AZUKIさんからこの歌詞を渡された時、中村さんはどんな印象を持たれました?
中村:珍しいなぁ、と思いましたけど、でもメロディとすごく合っていたのですぐに気に入りました。すごく独特なメロディの曲なので、よくハマッたなと。どういう歌詞でハマるのかと思っていたんですけど“あ、こういう感じ出来たか”っていう……。今までよりもさらに深い精神性を持った歌詞になっているかもしれません。

●ヴォーカルにも、そういった深さを感じます。今回、ヴォーカル録りも、1回録音したのをまるまるやり直しもした、と伺ったのですが。
中村:歌い直しはけっこうやりました。テンポ感とかを色々変えて、微妙なテンポで、いくつ下げてやってみようとか。それで、しっくりはまるテンポ感を探すのにその都度歌ってみて、とかやっていたので、けっこういつもより歌っている感じは多かったかな。歌い込んで歌い込んだ感じ? 一番いいテンポ感を探すのにちょっと苦労した所はありますね。でも、歌っていて気持ち良かったですよ。大地とか大空とかを相手に歌っている気分で、非常に解放感ある気持ちの中で歌っていたので。

●今回、コンセプトとして"風”がシングル全編にあるそうですが、そのイメージは、いつからあったのですか。
中村:これはまぁ、出来上がりでそういうのを感じられたので、後付けに近いです。

●3曲とも、“風”がテーマになっていますが、これは結果としてそうなった?
中村:そうですね。残りの2曲も去年にはあった曲ですし、この「籟・来・也」をシングルで出すという事になって、じゃああと何を入れようという風に選んで、たまたまその選んだ2曲が、後から考えるとテーマは“風”だなぁと。

●AZUKIさんにはそういうコンセプトがあったとか?
中村:いやぁ、どうでしょう。全然バラバラに出来てた曲ですからね。別にこのシングル用に先に録音したものではないし、もともと「over blow」とかも全部あって、「籟・来・也」との相性を考えて選んだだけなので。出来て並べてみて「あ〜、よく見ると“風”つながりでいけるなぁ」と(笑)。

●統一テーマまで後付けって、まるで偶然が必然になってしまうみたいですね。
中村:逆にこういうのって、やろうと思ってもなかなか出来ないでしょう。仮に「“風”がテーマだ」と思ったとしても、いろんな“風”がテーマに挙がるだろうし、それを1曲シングル用に作ろうと思っても、多分煮詰まって出来ないような気がしますね、私は。

●この3曲の“風”は、中村さん的にはそれぞれどんな風をイメージしていますか。
中村:並べてみてのイメージですが、「籟・来・也」はすごい大地のイメージ、力強い風を感じるなぁと思って。「over blow」はすごく心地良い風、耳元をさぁーっとそよいで流れていく軽い風みたいなのを感じていたし、「風の音だけをきいて」は心の中に吹くすきま風、虚構や虚無を感じました。でも、これはまた聴いて下さる皆さんがそれぞれに感じて下さればそれでいいなぁ、とは思います。

●それにしても、不思議な巡り合わせの中からカタチになっていったシングルですね。GARNET CROWってそういう事が多いですよね(笑)。いつもと変わらぬ自分たちのペースで作り続けた中から、デビュー6年目だからという気負いもなく、この作品が完成したんだ。
中村:そうですね(笑)。気負いというのはまったくなく(きっぱり!)

●本当に自然体でやってるんですね。
中村:マイ・ペースはマイ・ペースでやっぱり崩したくないので。5年間という月日の中で自分達が培った土台が徐々に育っていくというのはあると思いますけど。今年からは、種をまいたので、今度はどっしりと根を張って広げる作業の年かなぁ、とは思ったりもしているんですけれどね。でも、まだまだです(笑)。

●では、昨年の5周年記念のプレミアム・ライヴの感想を一言。あれは衣装も艶やかでした。
中村:(笑顔で)楽しかった。いい思い出になりました。あんなに豪華絢爛な場所なので、みんなちょっとキメてみました(笑)。プレミアムと言うからには特別感を出したかったので、普段なかなか出来ないような世界観を表現してみようとトライしてみて、皆さん楽しんで帰って頂けたようだし、評判も良かったので、やった甲斐はあったなと。

●最後に、今年2006年のGARNET CROWはどうなっていきそうですか?
中村:去年オリジナル・アルバムを出せていないので、今年はオリジナル・アルバムが出せればいいなぁ、と思っております。今年の目標は、まずそれでしょうね。

●ファンとしてはやっぱりもっとライヴも期待したいですね
中村:まぁ、ライヴはライヴで楽しいし、やっぱりオリジナル・アルバムとライヴは、自分たちの中での2本柱になりつつあるので、ライヴも大切にしていきたいと思っております。気長に待っていて下さい(笑)。


GARNET CROW

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「籟・来・也」

2006.3.1 Release


GIZA studio
GZCA-4066 ¥1,260(tax in)