2005年5月に1stミニ・アルバム『CONSTELLATION』、そして9月に2ndミニ・アルバム『ROCK ON』をインディーズ・リリースした上木彩矢が、3月15日にシングル「Communication Break」で早くもメジャー・デビューを果たす。圧倒的な歌唱力で、本格的なロック・シンガーである事を強烈にアピールしてきた彼女。ライヴ・パフォーマンスにおいても、ただならぬ存在感で観客を釘付けにし、上木彩矢にひかれるファンは確実に増えている。その魅力を探るべく、music freak magazineは彼女にインタビューを敢行。メジャー・デビュー・シングル「Communication Break」についての話を聞きながら、シンガー・上木彩矢の姿を届けたいと思う。
(INTERVIEWED BY EMI MORI)
● 1stミニ・アルバム『CONSTELLATION』でインディーズ・デビューされてから1年も経たないうちにメジャー・デビューを迎えましたが、制作作業は大変でしたか?
上木彩矢(以下上木):はい。とっても(笑)。『CONSTELLATION』は去年の始めぐらいから取り掛かってましたからね。
●となると本格的に作品を作るようになって1年が過ぎた事になりますが、この期間はあっという間でしたか?
上木:いつの間にか年を取ってたという感じです(笑)。月日が過ぎるのは早かったですね。待ってくれないし。
●今まで2枚のミニ・アルバムも発表されていますが、制作作業的には慣れてきたりはしてますか?
上木:慣れてる部分もありますけど、慣れきれてない所もありますね。作業に追いつけてない時があったりするので。特に作詞が大変です。締切りが迫ってくると焦るし、でも良いものを書きたいから妥協したくないし……。基本的には集中して書くタイプなんですけど、書けない時は全然書けないんです。そういう時は書かないんです(笑)。
●日頃から思い付いた言葉を書き留めておいたりする方ですか?
上木:全くないですね。歌詞を書く時は一気に書いちゃいます。
●今までは作品を発表しながら、定期的にライヴも行なうという状況だったと思いますが、ライヴで発散していた部分もあるんじゃないですか?
上木:ライヴが私のストレスのはけ口なので(笑)、ライヴがなくなってしまったら、私は“取り扱い注意”になってしまうと思います。あれがないとダメです。
●曲作りも作品を発表するのも“ライヴでやりたいから”という事が前提になっているんですか?
上木:もちろん!
●レコーディングの時もライヴを想定して歌ったりしてます?
上木:そうですね。歌詞を考えて、曲のタイトルとかを決める時も“次の曲は「○○○○」です。聴いて下さい……”そこから始まってますからね! ライヴのMCから入りますよ! それくらい“ライヴ命”ですから。
●作品をリリース前にライヴで歌うのも、理想な形だったりするんでしょうか?
上木:今まではそういう感じだったので、これからは曲をたくさん作って溜めてからライヴで歌いたいですね。
●既に2枚のミニ・アルバムを発表して、自分の曲が増えていっている状態ですが、それはやはり嬉しい事ですか?
上木:そうですね。自分の曲は可愛いですからね。
●今回のメジャー・デビュー・シングル「Communication Break」は、今までの曲と少し違って、アコースティック・ギターから入る曲ですが、上木さんが初めてこの曲を聴いた時、どういう印象を受けましたか?
上木:渋いなって思いました。最初この曲はアップ・テンポな曲だったんですけど、ひと手間加えてこういう形になった事で、良いものになったなと思ってます。
●歌詞を書く時に、曲の渋いイメージを反映させたりはしたんですか?
上木:特にそういう事はしませんでしたね。
●歌詞を読んで思ったんですけど、上木さんの歌詞はストーリー性というより、言葉1つ1つの持つインパクトが強いですよね。書く時は言葉が持ってる力をくみ取って書いたりしてるんですか?
上木:私の場合、最初に歌詞をサーっと書いて、ダメだなと思う所を消していく感じなんです。自分の言葉というのはサラッと書いた時に出てくるじゃないですか。でも実際にそれを歌ってみると歌い回しが上手くいかなかったりして、そこから変えていく感覚なので、1つ1つの言葉を気に止めて書いている訳ではないですね。
●すごく感覚的ですよね。
上木:そうなんです。でもずっと感覚で歌詞を書いてると、それはそれで危険だなとも思ってるんですけど。
●歌うと響きがきれいだとか、歌って気持ちいい感じを大切にしながら歌詞を書いている所もあるんじゃないですか?
上木:それはありますね。あとは聴いていて耳に残るような発音とか響きがカッコいいなと思うし、素敵だなと思いますね。言葉の意味合いも大事だと思うんですけど、ずっと考えているとネタ切れしちゃうというか……。だったら響きを大切にして、聴いている人の耳に何となく入ってくるような感じを研究し続けたいとは思います。
●英語の歌詞も響き重視だったりするんでしょうか?
上木:そうですね。
●「Communication Break」という言葉もすっと出てきたと。
上木:ポンと出て来ました。
●Communication”という言葉が持つ意味も深かったりしますよね。それがポンと出て来た言葉だったとしても、それは何かの縁なのかなと。
上木:きっとそうだと思います。このタイトルがなければ、この曲はなかったとも思いますし。この楽曲はデモの段階からすごく完成度が高くて、すごくいいメロディだったので、単純にこの曲が好きだから歌いたいという理由で選びました。
●そこまで気に入った曲がメジャー・デビュー・シングルになるというのは、上木さんにとっても特別なんじゃないですか?
上木:この曲はずっと良いと推薦し続けてきた曲なので、この曲でメジャー・デビュー出来るのは嬉しいですね。
●「HAPPY GO LUCKY」も最初に聴いた時からピンとくるものがあったんでしょうか?
上木:この曲は「Communication Break」より少し前からあったもので、自分らしい曲だなと思ったので、すごく前向きな歌詞を付けてみました。
●歌い方も「Communication Break」とは違いますよね。
上木:歌詞が可愛い女の子を歌った内容なので、弾けた感じで歌ってみました。
●「HAPPY GO LUCKY」の歌詞の世界は、上木さん自身の中にもあったりするんでしょうか?
上木:あると思いますよ。
●ちなみに上木さんは“カッコいい”と言われるのと“可愛い”と言われるのと、どっちがいいですか?
上木:もちろん“カッコいい”です!“可愛い”というのは、ちょっと気持ち悪いというか……。
●上木さんが思う“カッコいい人”というのはどんな人なんですか?
上木:礼儀正しくて、自由気ままな人。常識は分かってるけど、我が強くて、自分をしっかり持ってる人ですね。好き放題やってもいいけど、ここぞという時は頭を下げる事も出来る人はカッコいいと思います。
●それじゃ“可愛い”というイメージは?
上木:それを私に言わせるんですか(笑)? 可愛いというのは媚びてるとしか思えないんです。もちろん、可愛いものに目は行きますよ。でも人としての可愛さは内側から出てくるものであって、作り物の可愛さは偽物にしか思えないんですよね。そういうのが一番嫌いかもしれないです。その人の内側から見えた人間らしさが可愛いものだと思います。だから人間らしくない人は嫌いです。
●上木さんは自分の事を話すのは好きですか?
上木:好きですね。
●人によっては、ある程度打ち解けないと話さないタイプの方もいますよね。
上木:上木:私は人の目を見て判断するんです。その時に嫌いなタイプの人だと察知すると喋らないですね。“この人はきっと良い人だ”と思った人には“キャンキャン”っていう感じで近付きます(笑)。完全に信頼してるという人は限られるかもしれないですけどね。
●人に会うのは嫌いではないと。人が多い所に出掛けるのも大丈夫ですか?
上木:ワイワイするのは大好きです! 私の人生“祭”ですから(笑)。
●去年の野外ステージで大勢の人の前で歌われましたけど、それもかなり気持ち良かったんじゃないですか?
上木:それは楽しかったですけど、あれよりもっと大勢の前で歌いたいなと思ってます。お客さんの顔が米粒ぐらいにしか見えないくらい沢山いる所で歌ってみたいですね。何千、何万という人の視線が自分という1ケ所に集中するような感じを味わってみたいです。
●そういう広い会場のステージに立つのも緊張しないと。
上木:緊張しないです。ドンと来いですよ(笑)。私はどういう所だったら緊張するか試してみたいですね。
●今までに緊張した経験はありますか?
上木:もちろんありますよ。小さい頃にピアノ・コンクールに出た時とか……。そういうものを乗り越えて来たから、人よりかはそういう根性があるのかもしれないし。
●人前で歌ったりするのが好きという事を自覚したのはいつ頃ですか?
上木:小学校ぐらいだったと思います。目立ちたがりでした(笑)。
●それは今も変わらず……!?
上木:変わってないですね。目立ってなんぼ、みたいな(笑)。
●このシングルが出たら、今まで以上に色んな人が聴く事にもなると思います。リリースされたら、お店に見に行ったりしますか?
上木:もちろん見に行きます!
●もう次のシングルのリリースも決まってるんですよね。作業的にも大変なんじゃないですか?
上木:大変ですね。でもこのままビック・ウェーヴに乗る為には、頑張らないと……。今年も一気に過ぎてしまうと思います(笑)。海外にも行きたかったんですけどね。このままだと1度も海外に行かないで、パスポートの期限が切れちゃうんです。今までに何度か海外に行く計画を立てようとしてたんですけど、その度に仕事で行けなくなって……。仕事で海外に行けるようになりたいです! 海外レコーディングもしてみたいなぁ……。夢の話ばかりになってますね(笑)。
●現時点で上木さんがやりたい事は何ですか?
上木:ライヴがしたいです。みんなで同じ空間に集まって騒ぎたい! そこで新曲を聴かせたいですね。どれも思い入れがある曲ばかりなので。“こんなに良い曲出来たんやでー”って、みんなに知らしめたい! 今自分がやりたい事はそれですね。自分がやりたい事を飾らずにやる。叫びたい時に叫ぶ! そういう事はやりたいです。もちろん、海外旅行も……(笑)。
●ライヴでは“私の曲を聴いて!”という気持ちが大きいんですか?
上木:私の自己満足なんです。それを聴いて“良い!”と思った人について来てもらえればそれでいいんです。“この曲はこんな感じで……”みたいに無理矢理セールスする必要はないというか……。そんな事をしなくても、自分が好きで歌ってて、それが良いものだったら、人も自然とついて来てくれると思うんです。
●4月に出る次のシングル「ピエロ」は、B'zのカヴァー曲ですよね。実際に歌ってみてどうでしたか?
上木:すごく新鮮でした。かなり勉強になった所もありました。稲葉さんのヴォ−カルに追い付きたいという気持ちがあったので、どうしたら上木の良さが出るのかを考えたりしました。すごく大きな例えですけど、B'zの「ピエロ」と上木の「ピエロ」を同時にかけた時に、自分の曲が負けないようにサウンドや歌い方を考えましたね。そういう意味では、すごく良い機会を頂けたと思っています。
●上木さんはファッション誌などにも登場していて、年下の人達から“カッコいい”と慕われる存在にもなっているんじゃないかと思いますが、その事についてはどう思いますか?
上木:そういうのは信じられないんですよね。めちゃおっさんだし……(笑)。それがカッコいいんですかね?
●自分でおっさんと言い切ってるのがいいですね。どういう所がおっさんだと思いますか?
上木:仕草とか、格好とか。家ではパジャマでいるし……(笑)。
●でも着飾るのも好きなんですよね? 買い物に出掛けて色んなものを買うとか?
上木:それは好きですね。自分でやらないと気が済まないというか……。でも時々、いつもの自分と着飾ってる自分とのギャップに驚く時もあります。
●上木さんは客観視出来るタイプですか?
上木:客観視しかしてないですね。
●冷静な部分と熱い部分を持ってるんですね。
上木:熱くなり過ぎると火傷して、後でやり過ぎたなと反省する事もあります。楽しい時は冷静な判断が出来なくて、後で自分がしんどくなったりとか……。そういう事があると“もっと勉強しなきゃダメだな”と思うので、冷静でいたいんですけど、そんなに上手くはいかないんですよね。
●最後にmusic freak magazineの読者の方に、今回のシングルについて一言お願いします。
上木:「Communication Break」はかなりストリートっぽい感じで音を作っているので、飾らない雰囲気が出ていると思います。この曲はメジャー・デビューシングルなので、「Communication Break」を聴いて上木彩矢がどういう人間なのかを知って欲しいです。もちろん、これだけじゃないですけどね(笑)。私は小出しにしかしていかないので、これだけで上木彩を全部知ったつもりにならないで欲しいですね。これは私の中のほんの一握りでしかないので、この曲を聴いて、上木彩矢がどんな人間なのかもっと想像していって欲しいです。それでライヴに来て、確かめてみて下さい。損はさせません!
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