先月「Communication Break」でメジャー・デビューを果たした上木彩矢の2ndシングル「ピエロ」は、全国東宝洋画系で公開中の映画「真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章」の主題歌。この曲はB'zのニュー・シングル「ゆるぎないものひとつ」の2nd beat 「ピエロ」のカヴァー・ソングであり、カヴァーをするにあたり、作詞者である稲葉浩志が改めて歌詞の一部を書き直したという注目作でもある。今まで以上にシンガーとしての力量が問われる1曲となった今作は、彼女の力強く攻撃的なヴォ−カルが全面に出たロック・ナンバーに仕上がった。カップリングの柔らかく切ない「桜絵」と共に、まさに“挑戦”という言葉がぴったりな内容となった今回のシングルについて、上木彩矢に話を聞いてみた。(INTERVIEWED BY EMI MORI)
●「Communication Break」で遂にメジャー・デビューされましたが、実感はありますか?
上木彩矢(以下上木):実感はないですね(笑)。
●前回のインタビューで、シングルが発売されたら、お店に見に行くとおっしゃっていましたが、見に行かれましたか?
上木:発売日に行きました! CDが並んでるのを見て“おおー”と思ったんですけど、それでも実感が湧かないんですよね。客観的に見てる所があって……。
●友達や周りの人からの声とかは?
上木:昔からの友達とかが実家に電話を掛けてきたりとか……。
●今回のシングル「ピエロ」が、映画「真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章」の主題歌という事で、先日行なわれた試写会イベントなどにもゲスト出演されていましたが、歌う事以外でああいったステージに立つというのは、緊張しましたか?
上木:人前で話すとかそういう緊張ではなくて、特別な緊張がありましたね。私は「北斗の拳」ファンなので、武論尊さんや原哲夫さんなどの方々と一緒の場所にいたという事で緊張したというか。あと、私の事を知らない人の前に立つという事で、お客さんのパワーに負けないように、私もパワーを発信しなきゃという気持ちになりました。
●映画のエンディングで、自分の曲が流れるという感覚はどんな感じですか?
上木:実は公開初日に、自分で映画館に見に行ったんですよ。私の曲はエンド・ロールで流れるので、席を立つ人もちらほらいたんですけど、それでもそのまま残っている人がほとんどでしたね。それを見ている時は、映画のスクリーンで私の曲が流れてるから嬉しいというのとは違って、そこにいるお客さんの反応を見て冷静に“曲を聴いてくれているのかな?”と思ってる感じでした。
●この曲は映画にマッチしてると思いましたか?
上木:マッチしているというか、自分の曲が映画を少しでも支えられていたらいいなとは思います。映画は面白いですよ!
●「ピエロ」はB'zの曲のカヴァーとなりますが、楽曲を聴いた時、どういう印象を持ちましたか?
上木:最初にB'zの「ピエロ」を聴いた時は、いちリスナーとして“カッコいい!”と思いました。その時は、この曲を自分がカヴァーするとどうなるか想像出来なかったですね。
●男性ヴォ−カルと女性ヴォーカルという意味でも違いますもんね。
上木:女性だからこそ、女性の良さを出して歌えるというのがあると思ったので、上木の女としての部分が伝わればいいなと思って歌いました。
●歌詞を読んだ時、どういうイメージを持ちましたか?
上木:歌詞に出てくる言葉の中に、自分が普段使わないものもあったりしたので、サラッと読んだだけでは歌詞の世界が分からなかったんですけど、レコーディングをして何度も歌っていくにつれて、段々つかめてきた気がします。力強い所もあれば、切ない感じがする所もあったり……。
●上木さんが書く歌詞の世界とは違いますしね。
上木:そうですね。歌詞の書き方に関しては、今回はすごく勉強になりました。色々な表現の仕方が出来るんだなって。自分の中では歌詞の書き方が課題なので、もっともっと向上していきたいと思ってます。色々な言葉を使って伝えていけるようになりたいですね。
●歌う時に気を付けた事、苦労した事などはありましたか?
上木:上木の良さを出すというか、上木の「ピエロ」にならないといけないと思ったので、そこは難しかったですね。だから何度も歌い直しました。私の男らしい部分と女らしい部分の両方を見せていけたらなと。女らしい部分とは言っても、私の場合はまだまだなんですけどね(笑)。
●上木さんが思う、女らしさというのはどういうものなんでしょうか?
上木:それがまだはっきり分からないんですよね。まさに模索中という感じです。そういう意味では「ピエロ」も、もしかしたら完全な女らしさを出せてないかもしれません。だから、今は“女らしさってどういうものかな?”と思いながらの状態ですね。それがもっと分かった時に出す曲は、その時の女らしさが出た感じになると思います。
●これから曲を発表していく度に、その女らしさが変わっていくという事ですね。
上木:そうですね。変わっていくと思います。
●そういう意味では、カップリングの「桜絵」の歌詞では、女らしい部分が出ているような気がするんですが。この歌詞はどういうイメージで書かれたんですか?
上木:この歌詞を書く時、なかなか歌詞が思い浮かばない状態が続いてたんですけど、ある日朝起きて曲を聴いたら“桜絵”という言葉がポッと出てきて、その後は2日ぐらいで出来上がりました。でも私、実は桜って嫌いなんですよ(笑)。春=桜みたいなのもNGだったし、自分が曲を発表していく事になっても、桜の曲は出さないと思ってた位なんで……。それがサラッと書いてしまったんですよね……(笑)。私は春はすごく寂しい季節だなと思っているので、桜とその寂しい部分が伝わればなと思って書きました。
●春が好きじゃないというのは、やっぱり寂しいイメージがあるからですか?
上木:夏でもないし冬でもないし、自分としては心がポカ〜ンとなる季節だなと思って……。
●そうすると、秋もちょっと苦手とか?
上木:やっぱり何となく寂しい感じがしますよね。夏が終わった後というのもありますし。私は夏とか冬とかはっきりした季節が好きなんでしょうね(笑)。
●“桜絵”という言葉は初めて聞きました。
上木:たぶん普通は使わない言葉だと思います。他の人からも言われました。意識せずにパッと浮かんできたんですよ。ひょっとしたら“桜”という単語だけを使いたくなかったから、自然とこういう言葉が浮かんだのかもしれませんけど(笑)。
●そこに上木さんのオリジナリティがある訳ですね。“桜絵”という言葉だと、色んな情景が浮かびますよね。
上木:桜が舞ってるとか、そういう情景が浮かびやすいかもしれませんね。
●「桜絵」もライヴで披露されるんですか?
上木:4月6日の「KAMIKI NIGHT」でやりますよ(取材時は3月下旬)。そこでお披露目です。歌う頃は、ちょうど桜が満開かもしれませんね。ライヴでは色々歌うので、盛り沢山な感じになると思います。
●このシングルが発売される時期には、色んなメディアで上木さんの姿を見る機会が増えると思いますが、そうなってくると今までよりメジャー・デビューした実感が持てたりするでしょうか?
上木:色々な仕事をしていく中で、徐々に持てるかもしれませんけど、私の場合、大きなライヴ会場でライヴをしたりする事で実感するタイプかもしれません。少しずつお客さんが増えていって、段々大きな会場でライヴが出来るようになっていきたいです。
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