3ヶ月連続シングル・リリース、第3弾「もう君だけを離したりはしない」を5月31日に発表する上木彩矢。メジャー・デビュー後、めまぐるしい日々を送る彼女から届けられた今作は、前作の2枚のシングルとは少し異なり、しなやかさの中に秘められた芯の強さを感じさせるナンバーだ。楽曲を通して色々な表情を見せる彼女。今作でも“これは上木彩矢の姿のほんの一部”と言っているように思える。その真相を探るべく、彼女に話を聞いてみた。(INTERVIEWED BY EMI MORI)
●3ヶ月連続シングル・リリースの第3弾ですね。メジャー・デビューからここまではあっという間でしたか?
上木彩矢(以下上木):実は、時間が過ぎるのが早過ぎてバテちゃうんじゃないかと心配してたんですけど、やってみたら意外にも元気で……(笑)。3ヶ月連続リリースという事は、なかなか経験出来ない事なので、すごく勉強になりましたね。短期間の間で曲を作り上げていくからこそ、物事をシビアに見る事も出来ましたし……。
●現場の雰囲気は独特なものがありますか?
上木:そうですね。やっぱりピリピリした感じはありますね。自分も曲を作っていくうちに色んな所が気になってきて、“これでいいのかな”とか思ったり。
●今回の「もう君だけを離したりはしない」も、そういった厳しい目で見ていく中で作られた曲なのでしょうか?
上木:この曲は急いで作った曲ではあるんですけど、すごく気に入っていてお風呂上がりとかにも聴いてますね。「Communication Break」はインディーズっぽさを残しながらもメジャー感のあるサウンド作りをした曲、「ピエロ」はカヴァーさせて頂いた曲で今までとは違う感じの曲という事もあって、次はどんな曲がいいかなと思ってすごく悩んだんです。「ピエロ」で私の事を知ったという人もたくさんいらっしゃると思うのですが、その印象が強い人にとっては、今回の曲はある意味裏切られる形になるかもしれないですね。私の中ではちょっとした不意打ちな感じです(笑)。
●この曲はハードな部分と柔らかい部分があって、今までとはタイプが違いますよね?
上木:これは私の勝手な考えなんですけど、アップ・テンポでゴリゴリな曲を歌うという事は、優しい歌も歌えないとダメだと思ってるんですね。ただ力任せに歌うのは魅力的じゃなくて、角が取れた感じの曲も歌えるのが前提というか……。「ピエロ」の後で、力強いタイプの曲を期待している方を裏切る形にはなるかもしれませんが、そうは言ってもロックなので(笑)、少し違う上木彩矢を見てもらえたらなと思います。
●こういうタイプの曲は上木さんの中では、自分が歌う曲の中の1つという感じだったんですね。
上木:そうですね。「ピエロ」の色が黒とするなら、「もう君だけを離したくはない」は白だと思うんです。この曲にはメロディアスな部分もあるので、「ピエロ」で私の事を知ってもらった人以外の人にも広く聴いてもらいたいというのはあります。これから先も色々な曲を作って、アルバムも発表したいと思っているので、アルバムに繋がる入り口の曲として聴いてもらえると嬉しいです。
●最初にこの曲を聴いた時はどういう印象を持ちましたか?
上木:デモ・テープではアコースティック・ギターでしっとりしてる感じの曲だったので、今とは全然違ってました。それがアレンジしていく中で、形がどんどん変わっていったので、それはすごく楽しかったですね。そういう事もあって、この曲はとても好きな曲なので、今は毎日聴いてます。上木の中でテンションが上がる曲の3本の指に入りますね。メロディアスな部分とギターで聴かせる所もあるので、3rdシングルでこういう曲を歌えた事は、すごく良い機会だったと思ってます。
●曲作りの上でも、色々考える事が多かった曲だったんですね。
上木:そうですね。こうしたい、ああしたいというのはありました。手探りながらも形が見えてきて出来上がっていく過程を見ていた曲だったので、すごくやりがいはあったと思います。
●歌詞には情景を切り取った言葉がよく出てきていますね。
上木:歌詞を見ると恋愛の話のように思われがちなんですが、私はそう思って書いた訳ではないんですよ。ある意味、応援ソングというか……。悩んでる人や落ち込んでいる人に向けて“泣いていても仕方ないよ”と歌ってる曲なんです。今日が終わればそれは過去になっていく訳で、今話した言葉も口から出た瞬間から過去になっているので、そんな事でいちいち凹んでいてもしょうがないじゃないかと。そういう涙は昨日まで、明日は笑顔でいたいよねという気持ちを込めて“笑顔で眠りにつくまで”という歌詞になってます。それを恋愛に置き換えてもらっても構わないですし、聴く人が色々な意味に受け取ってもらえたらなと思います。例えば“もう君だけを離したりはしない”の君の事を、この歌詞の主人公はすごく好きなんだなとか……。恋愛じゃない話としても受け取ってもらいたいという思いがあったので、風景が思い浮かぶような歌詞にしたという部分があります。君の部分は、好きな人でもいいし、友達や親や動物だっていいと思うんです。だから聴く人に最後の色付けをしてもらえたらいいですね。
●歌う時に気を付けた所はありますか?
上木:曲調もあると思うんですが、力を入れずに歌えたと思います。
●ライヴで聴くと、また違った雰囲気の曲になりそうですね。
上木:絶対に違う感じになると思いますよ!(笑) 今回のシングルは、上木のこういう曲が出来ましたという紹介で、この曲はライヴで実際に聴いて判断してもらいたいですね。
●ライヴと言えば先日、HMV 渋谷でライヴ・イベントに出演されたり、握手会を行ったりしましたが、どうでしたか?
上木:ライヴ・イベントはもちろん楽しかったんですけど、握手会で東京のファンの方に間近で会えた事も嬉しかったです。
●作品を発表するごとに、色々な場に出る機会が増えていると思います。前回の取材ではメジャー・デビューした実感がないとおっしゃっていましたが、今はどうですか?
上木:相変わらずそういった実感はないですね(笑)。やっぱりすごく客観的に自分を見てる部分があるんだと思います。テレビで歌ったりする事も、その場で全てを出し切らないと意味がないと思うので、緊張やプレッシャーはそこには必要ないものになりますよね。自覚と言っても、自分が何をしてるのかが分かっていればいいと思うので。自分が出演したテレビ番組とかは、確認してみたいですけど。
●これからは、アルバム制作に向けて準備をしていく感じになるんでしょうか?
上木:そうですね。完成度の高いものを作りたいです。
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