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三枝夕夏 IN db
New Album 『U-ka saegusa IN db III』
New Single 「太陽」
2006.9.20 Release
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前フル・アルバムから1年10ケ月の時を経て、メンバーが納得のいくまで作りに作り込んだニュー・アルバム『U-ka saegusa IN db III』。そして、ヴォーカル三枝夕夏が作詞・作曲を手掛けたせつなさが胸を打つ3連のミディアム・バラード「太陽」。9月20日に発表されるこの2作品についてヴォーカル三枝夕夏、ギター岩井勇一郎、ドラム車谷啓介に話を聞いてみた。(INTERVIEWED BY KAREN HAYAMA)
●まずはシングル「太陽」からお伺いします。スバリ! どんな作品に仕上がりましたか?
車谷啓介(以下車谷):シンプルなんですけど、熱いものが込められているバラードです。最近のバラードの傾向として、サビにいくにつれて重厚で豪華で壮大になり過ぎるきらいがあると思うんですね。でももっと内に秘められた強さを出してもいいのでは?と思って、オケをシンプルに、そうする事によって歌詞の深い部分が伝わればいいなと思って制作していきました。
岩井勇一郎(以下岩井):刹那的ではない、不変的なバラードだと思います。三枝さんの持ち味である、明るいんだけど、そこにせつなさが込められている歌声が、いい具合に表れた1曲になったと思います。
●今回の作曲は三枝さんですね。いつ頃、どんな所から生まれた曲ですか?
三枝夕夏(以下三枝):この曲のデモは確かバンドを結成して間もない頃に作ったものなんですけど。バンドでライヴをするようになってからは、だんだんUKロックに興味を持ち出して、今ではプライベートでもロックばかり聴いていますが、この曲を作った頃はビーチボーイズなんかのサーフ・ミュージックや、きれいなメロディの曲が大好きでよく聴いていました。それで、ビーチボーイズの「サーファーガール」みたいな、3連のゆったりとしたバラードを作ってみたいなと思って挑戦した曲です。
●なるほど。何故このタイミングでこの曲を発表する事になったんですか?
三枝:デモの段階から、いい曲だから取っておこうとプロデューサーから言われて、ずっとお取り置きしていた曲だったんです。去年の末あたりから、今年8月に行ったワンマン・ライヴを意識した曲作りをしてきて、パンク・ロック系のノリのいい曲ばかりが続いたんで、この辺で夏も終わりだし、久し振りにバラードを出そうかっていう事になって。
●歌詞の内容は?
三枝:夏から秋へと移り変わる季節にぴったりな、“深い大人の愛”をテーマに挑戦してみました(笑)。
●タイトルはズバリ「太陽」という事ですが……。
三枝:アレンジが上がってきた時に、どこか懐かしい雰囲気のするオケだなと思ったので、まずタイトルは日本語にしたいなと思いました。歌詞の全体のストーリーを始めに決めて、そこから“どんな事があっても、「君」に寄りそっていよう!”という主人公の揺るぎない想いを表すにはどんな言葉がいいかなって考えて。それで最初に頭に浮かんだのが、揺るぎないものの象徴である「太陽」でした。
●“深い大人の愛”をテーマに歌詞を書かれたという事ですが、今回は1つ1つのフレーズがすごく深いというか、大人な世界観を感じました。
三枝:“昨日の涙は 愛する証拠 出逢った日の事を想い出してる”というフレーズとかは、やっぱり十代の頃じゃ自分の中に出て来なかったフレーズだと思いますね。歌詞が重要な役割を果たす曲だと思ったので、いつも以上に慎重に言葉を選んでいきました。曲もそうですが、歌詞も聴けば聴く程に味わいや深みを感じて頂けるものにしたいと思いました。
●忘れられない昔の恋愛を思い出す人もいるでしょうね。
三枝:一見、おだやかな曲なので、淡いオレンジと思い気や、実はすごく芯の部分で強い想いを歌っている曲なので、熟した濃〜いオレンジって感じですかね。
●カップリングの方は「月」という、こちらもどこか懐かしさを漂わせた作品ですが。
岩井:僕はビートルズが好きなんですが、彼らが初期の頃にやっていたスローな曲で、例えば「ANNA」とか「BABY IT'S YOU」みたいな世界観を僕らなりに提示してみたいねって話になって。それでアレンジャーさんにリクエストしました。
三枝:曲調的にも、タイトル的にも「太陽」と対になる作品を作りたいなと思って、それでまず最初に「月」というタイトルの曲を作ろう!って決めました。それで納品のギリギリ前にデモを作りました。「太陽」がバラードだったので、アップ・テンポでもいいのかなって思ってたんですけど、「月」ってワードが自分の中ですごく優しい響きを持っていたので、自然と癒し系のメロディが浮かんできたんだと思います。
●歌詞の方は、夢を追いかけて旅立っていく彼との別れのシーンを描いているのでしょうか?
三枝:そうですね。歌詞の世界観的には、自分達の作品の中では「Graduation」とか「青春の空」に似ていると思います。青春な、甘酸っぱい感じかな(笑)。
車谷:三枝さんの歌詞って、頭の中に映像が浮かんでくる事が多いんですけど、この曲なんかはまさにドラマを観ているように頭の中に映像が流れていく曲だと思います。男の僕なんかでも、ちょっと胸がよじれるっていうか、せつない気分になれる曲だと思いますね。
●続いてアルバムについて伺って行きます。いよいよ!アルバムが発表されますね。
三枝:はい。お待たせしました! 約1年10ケ月振りですからね、かなりお待たせしてしまいました。何度かこのタイミングで次はアルバム出そうかっていう時もあったんですけど、シングルが貯まったからアルバムを出そうっていうんじゃなくて、ちゃんと1枚のアルバムとしていい物が出来上がった時に出したいと思っていました。
●具体的にこんなアルバムにしたいという全体像はあったんですか?
三枝:“これまでの三枝夕夏 IN db”と、“これからの三枝夕夏 IN db”を感じられる作品にしたいと思いました。結果、とてもバラエティに富んだ1枚に仕上がったと思います。最近はライヴを意識してパンク・ロック調の曲をシングルとしてリリースしてきましたが、それより以前の作品を感じさせるメロディアスな曲も入っていたり、また、ライヴを重ねる中で自分達の色として確立しつつある、60年代や70年代を感じさせるロックを入れたり、かなりバラエティ豊かですね。
●最近打ち出してきたパンク・ロック路線で攻めてくるのかと思いきや、確かにバラエティ豊かですね。中でも60年代、70年代の洋楽ロックを彷佛する曲が新鮮でした。
車谷:大阪のhillsパン工場cafeというライヴ・ハウスで定期的にライヴをやらさせて頂いてるんですが、そのライヴはオリジナルだけじゃなく、カヴァーもよくやるんですね。それで、僕らは最近の曲よりむしろかなり古めの曲を選曲していて。当時の曲って、コード進行はシンプルに見えるんだけど、実は奥が深かったり、結局現代音楽のルーツは全てその頃の音楽だったりするわけですから、最初は勉強のつもりでやっていたんです。でも回を重ねるごとに、そういう曲が自分達にあっているという事もわかってきて。それで、自分達のオリジナル曲でも、そういう60年代、70年代の音楽アプローチを取り入れたいなって話をしていたら、三枝さんが色々研究してデモを作ってきてくれたんです。
●全体的な割合としては、アップ・テンポな曲が多いですね。
岩井:ライヴをやるごとに、色々やりたい事やアイデアが浮かんできて、だから必然的にそうなったんだと思います。今回三枝さんがアルバム用に作った新曲は、僕ら4人がライヴでやって1番楽しめる、そしてオーディエンスの皆さんにもノッって頂ける曲だと思います。バンドを結成して、ライヴや制作を一緒に進めてきた今だからこそ生み出せた作品なんじゃないかと思います。
●では、詳しくはセルフ・ライナーでお伺いするとして、アルバムを総称してズバリ聴き所は?
三枝:当初は13曲入りの予定でしたが、最終的にどうしてももう1曲増やしたくて14曲を収録しました。シングル・カットした曲が7曲入っていますし、初めて私達を聴いて下さる方にも楽しめる1枚になっていると思います。また今回はバンド感、ライヴ感を重視して仕上げていきました。そういう勢いみたいなものが聴いて下さる方々に伝わるよう、手を抜かず作っていったので是非聴いて頂きたいです。
※三枝夕夏によるセルフ・ライナーノーツは本誌をご覧下さい。
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