前作から約2ヶ月という早さで、岸本早未の1st ミニ・アルバム『LOVE DROPS』がリリースされる。タイトル通り色々な味が詰まった今作には、身近な友達への感謝の気持ちや成長していく自分へのメッセージなど、10代最後となる現在の彼女の心境が切々と綴られており、加えて大人の魅力も感じさせる楽曲で構成されている。そんな今作について、彼女に話を聞いてみた。(INTERVIEWED BY EMI MORI)
●前作「PEACH:LIME//SHAKE」の取材の時に、次の作品を制作しているという話を伺っていましたが、その時にミニ・アルバムをリリースする事は決まっていたんですか?
岸本早未(以下岸本):本当は「PEACH:LIME//SHAKE」を皆さんに届けたすぐ後に、ニュー・シングルをリリースしようという話になっていたんです。でも1年間ずっと待っていてくれた皆さんに聴いて欲しい曲が沢山あり過ぎて、シングルとしてリリースするには曲数が多くなってしまったので、ミニ・アルバムという形式をとりました。「PEACH:LIME//SHAKE」をリリースする時には、ミニ・アルバムの方向で話が進んでいましたね。
●今作に入っているシングル以外の曲は、以前から作っていたものもあるのですか?
岸本:学生時代に歌詞を書いた曲も結構あります。1年間ずっと温めてきて、どの曲もシングルにしてもいいような曲ばかりなので、早く皆さんに聴いてもらいたいです。
●タイトルはどうやって決まったのですか?
岸本:“LOVE DROPS”の“DROP”という言葉には、色々な意味があるんです。まず1つ目は飴。私が飴好きというのもあるんですけど(笑)、このアルバムの中にはすごく楽しい曲とか、切ない曲、ノリノリの曲などがあって、各々私が歌詞を書いた時の気持ちや歌っている時の感情等も全然違うので、その8個の色々な味を届けたいという意味で『LOVE DROPS』というタイトルにしました。“DROP”のもう1つには、滴という涙の意味が込められています。私は涙というのは感情が溢れて心に留められなくなったものが身体の外に出ていくものだと思っているので、悲しい時に流す涙も、嬉しい時に流す涙も愛がこもっていると思うんです。だからそういう意味で、今回の楽しい曲、切ない曲にも愛のこもった涙という共通するものがあるかなと思ってこのタイトルにしました。
●聴いて欲しい曲が沢山あったとおっしゃっていましたが、実際には今回収録されている以外の曲もあって、その中から選曲されたんですか?
岸本:作りためていた曲があったので、今回のアルバムに入れる曲は考えましたね。シングルとしてリリースする予定だった時に、どの曲をタイトル曲にするかとても悩んでいて選び切れなかった所もあるので、1枚のCDにまとめる時は今聴いてもらいたい曲を選んでいきました。
●前回のアルバム『JUICY』の時もフレッシュで新鮮なものを採りたてでという話をしていましたが、今回はその時よりも1粒1粒の味が濃い作品になりましたね。
岸本:そうですね。温めてきた期間が長いという事もあるし、ライヴとかでちょっと聴いてもらう感じとCDとして聴いてもらう時とでは、皆さんにとっても全然違うと思うので、また違う自分が表現出来たと思います。『JUICY』の時は高校生活の中で感じ取ったものが多かったのですが、今回の作品では高校生活の間で感じ取ったものを、高校を卒業してから歌ってみたり、作り直したりしているので、通過してきたという部分で何か違うものが作品1つ1つに出せたのではないかと思っています。
●本当に色々な曲が入っていますけど、こういったミニ・アルバムという8曲入の作品として出す事になって改めて思う事というのはありますか?
岸本:どの曲もリリースした時期や込めた感情が全然違うものだったりするんですけど、どれも同じ位の愛情が詰まっているので、そういう意味では統一されていると思います。切なくて大人っぽい部分もあるけれど、最後には元気な私を見て欲しいという気持ちを込めて、1年間心待ちにしてくれていた方達の為に歌った8曲なので大切にしてもらいたいなと思います。
●今回の作品の中には、ファルセットや高いキーを使った曲が多い気がしますが。
岸本:そうですね、今回は結構ファルセットを使っていますね。ファルセットで表現する事によって、ただ歌っているだけではなく本当にメロディを奏でているという感じになりましたし、より歌詞が生かされたりした部分があるので、そこは今回のアルバムの聴き所の1つです。
●前作「PEACH:LIME//SHAKE」を発表した時に、“夏はこの曲に捧げます”とおっしゃっていましたが、イベントでファンの方々と久し振りに触れ合ってみてどうでしたか?
岸本:今回イベントが出来た事はすごく良かったです。やっぱりお客さんに喜んで頂けると私も嬉しいし、集まってくれた人にもっと早く色々な曲を聴いてもらいたいなと思いましたね。
●この『LOVE DROPS』にはファッション・ブックが付いているそうですが、この中の衣装は全部、岸本さんのものなんですか?
岸本:そうですね、私服です。私は普段から私服を衣装に使ったり、衣装として買ったものを普段に着たりしていて、気分によって色々な服を着るので、それを生かして今回ファッション・ブックを作ってみました。テーマが元気系の服だったり、ちょっと夏っぽい感じがあったりだとか、クールめのものを着てみたりしています。中には着たい服からテーマを持ってきたりしているものもあります。
●こういった形で、洋服を紹介してみてどうでしたか?
岸本:撮影もとても楽しかったですし、普段から洋服が好きで心掛けている部分とかを1つのファッション・ブックにまとめられた事は、すごく嬉しいです。皆さんにも喜んで頂けるのではないかと思います。歌ったり踊ったりするので、パンツのイメージがあると思いますが、普段はスカートを履いたりするので、この機会にと思って披露してみました。
●今作のジャケットは少し大人な感じですけど、これはイメージとしてあったものなのでしょうか?
岸本:このジャケット写真は、私の希望でハートを象ったものにしているんですけど、可愛い感じのハートではなく格好いい感じにしてもらいたかったので、バックを暖かみのある赤にして“愛がこもっています”という様な感じに仕上げてもらいました。
●徐々に大人へ近付いている時期だと思いますが、岸本さん自身は生活していく中で“大人になっていっているなぁ”と感じたりする事はあるんでしょうか?
岸本:“本当に大人になっていっているのかなぁ”と疑問に思う時はあるんですけどね(笑) でも例えば去年の「JUNPINGマGO☆LET'S GOマ」のPVを見たりしていると“あー何か若かったな”とか“まだここが全然足りてなかったな”と感じる事はあるので、そこは自分が成長してきた証かなと思っています。でも大きく成長したという所は自分ではあまり感じられないので、作品などを後で見る事で気付いたりしています。
●誕生日を迎えて10代最後の1年を今過ごしていると思いますが、淋しい気持ちがあったりしますか?
岸本:すごく淋しいって思う時もありますが、でも20歳になってもあまり大きくは変わらないんだろうなって思ったりしますね。「Venus18」とかを書いてた時代は20歳になったら成人だからとか色々と考えていたんですけど、18歳の時から19歳になる時に感じた様にやっぱり急には大きく変われないし、変わらないと思います。20歳になってもこの歌を書いた時の様に自由に生きてるんじゃないかなと思いますね。
●来月にはシングルのリリースも決定しているという事ですが、もう制作はされているんですか?
岸本:もう制作が始まっています。今とても充実しているので、どんどん曲を作っていい曲を皆さんに届ける事をテーマに頑張りたいです。
※SELF LINER NOTESは誌面をご覧下さい。
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