doa

New Single
「はるかぜ」

2007.3.7 Release


前作「心のリズム飛び散るバタフライ」がリリース以来、有線チャートで常にTOP10内にチャート・インする等、異例のロング・ヒットを続けているdoaが、2007年第1弾シングル「はるかぜ」を3月7日にリリースした。“春”という、出会いと別れ、期待と不安が交差する繊細な季節。その中で織り成す“大切な人への思い”を、シンプルなトラックに乗せ、徳永暁人が優しくも切なく歌い上げたミディアム・バラードに仕上がっている。この、じわりと胸に染み込んでくる新作について、前作に続きメイン・ヴォーカルを担当した徳永暁人に語ってもらった。(INTERVIEWED BY EMI MORI)

●前作「心のリズム飛び散るバタフライ」がロング・ヒットされていますね。
徳永暁人(以下徳永):有線とかラジオでかけて頂いているっていうのは、doaの曲を聴きたいと思ってリクエストして下さる方がいらっしゃるって事なので、ミュージシャン名利に尽きると思うし、本当に嬉しく思っています。

●そんな中リリースとなるニュー・シングル「はるかぜ」は、前作の流れを汲んだものなのかなって、感じましたが……。
徳永:実はこの曲は「心のリズム飛び散るバタフライ」よりも1年半前位からあった曲で、ずっと温めていた作品だったんですよ。それで、色々レコーディングをし直したりしていて、現状の形とはキーも違えば、テンポも違っていました。どうしても歌詞の世界観がメロディの強さまで付いてこなくて、納得いなかなくて、しばらく寝かせておいた曲なんですよ。

●始めは、テンポはもっと速めだったんですか?
徳永:そうですね。キーももっと高くて、色々試行錯誤していたんですね。

●最終的にこういう作品に落ち着いた1番の理由は何ですか?
徳永:歌詞ですね。詩が出来上がって、その世界観に合わせて、例えばテンポを遅めたり、キーも低くして。キーを低くしたら当然メンバーの中で1番キーの低い僕のヴォーカルが1番合うんじゃないかって話になったりして。僕、メロディの上にただ歌詞を乗せましたっていうのは嫌なんですよ。メロディが詩を引っ張っちゃうから。詩が良いから、じゃあメロディを変えちゃおうっていう事はよくやるんですけど。どんどんメロディを変えていける位良い歌詞が出来るまで、世の中に出すのはやめようって思いまして。

●それじゃ、歌詞はここまでいくには悩んで書かれたんですか?
徳永:うん、そうですね〜。実は、去年の秋に10年振り位にうちのじーさんの墓参りに行ったんですよ。なんか行かなきゃいけない様な感じがして(笑)。そこで色々思った事とかを書き留めておいたんですけど、それがこの詩の根幹になっているんですよね。そこがあって広がっていった、そんな曲です。

●根幹が出来てからは早かったんですか?
徳永:はい、早かったですね。

●“別れ”を匂わせる部分もあったんですけど、歌詞のテーマとしてはそういう所を重点的に出したかったのでしょうか?
徳永:ラヴ・ソングって言えばラヴ・ソングなんですけど、実はラヴ・ソングのつもりで作っていた訳ではないんですよ。この曲には春のイメージがあったんですけど、春っていうと別れ、出会い、期待、不安とか、そんなものがグチャグチャになったまま、それを自分で消化しなきゃいけない季節じゃないですか。その中で色々な、恋人とか、友達とか、家族等の大切な人との別れとか、思いとかをテーマに書いていったんですけど……。例えば遠くに離れている、大切な人への思いとかをね。

●別れって一般的には悲しい意味合いが強いと思うんですけど、この曲ではそれだけで終わっていないというか、自分に立ち返った時に大切な想い出も忘れたくないっていう思いも伝わって来たんですけど……。
徳永:そうですね。やっぱり自分にプラスになる別れとかもあるじゃないですか。そういうのっていうのは無理に忘れる事はないと思うし、いい想い出として心に残しておけばいいと思うし。そういうイメージは最初からありましたね。

●先程“春”っていうキーワードがありましたが、曲から季節の温度とかが伝わってくる感じがしました。それはやっぱり言葉の力も含めて、音もそういう感触にしていこうっていうのがあったんですか。
徳永:やはり歌詞に誘発されてアレンジも進んでいくっていうのが多いんですよね。今回のイントロはギターとピアノだけで始まるんですけど、ギターはガット・ギターで弾いています。それを別のギターにしようか、エレキ・ギターにしようか……、そういう色々な部分全てを、春のイメージに絞って作っていきましたね。

●元々シンプルな音でどれだけやっていけるかっていうのがdoaの中にはあるって、以前おっしゃっていたと思うんですけど、そういう所も気にして制作されましたか?
徳永:そうですね。要らないものは、要らないんですよね。何かね、3人でアコギ持って歌っている時が1番楽しかったりするんですよ。そういうのをCDに出来ないのかなって思って。どうしても必要なものがあったら、ちょっと付け足してみようかって、そういう音作りをしていますね。

●最初に聴いた時の吉本さんと大田さんの反応はいかがでしたか?
徳永:さんざんやっている曲なので、何って事はなかったですけど。大事にしていた曲なので、やっと出せるなって感じでしたね。

●「はるかぜ」っていうタイトルの言葉はすぐ決まったんですか?
徳永:最初漢字で“春風”って書いていたんですけど、漢字だとどうしても自然現象のイメージがあったんですよね。もうちょっと拡大解釈出来る表現はないかなって思って、最終的にはひらがなになったんですけど。

●そういう意味では、中の歌詞もひらがなの柔らかい感じの言葉が多いなって思ったんですけど。
徳永:うん、そうですね。

●歌詞の中で特に大切にしている部分はありますか?
徳永:“ずっと忘れない きっと忘れない 静かな春が過ぎてく”っていう、最後の3行ですかね。この部分は、生きているうちはずっとテーマになるんじゃないかなって思っているんですけど。人間ってやっぱり忘れる生き物なんですよね。いい事も悪い事も。忘れて良い時もあるんですけど、忘れない様にしていく努力が、自分自身を成長させる事もあるんじゃないかなって思って。

●この曲はTBS系TV全国ネット キャノンスペシャル「古代発掘ミステリー秘境アマゾン巨大文明歴史が変わる第2弾!!」のイメージソングになっていましたが、実際の所は後からタイアップの話がきたんですか?
徳永:そうですね。曲は全然最初にあったんで。で、番組のプロデューサーから気に入って頂いてっていう流れですね。

●番組自体はスケールが大きい番組じゃないですか。自然の大きさが出てくる番組だと思うんですけど、そこで流れるっていうのはイメージとしていかがでしょうか?
徳永:最終的なアレンジを煮詰めている時に、古代遺跡の資料を頂いたんですよね。すごくスケール感の大きい写真とかもあったんですけど、その中で1番感動したのが2m位あった人骨の写真だったんです。それを見ていて、そこはすごく感動したんですよ。科学的だったりとか、古代史なので歴史的な話の中に、ポーンってすごい人間的な写真が出てきて、俺らと一緒じゃーんって感動して。なんかそこが曲とふとリンクした様な感じがしていいなって思いましたね。

●ところで、春っていうイメージが色々混ざって曲に入ってるとおっしゃっていましたが、徳永さん自身の春の想い出って、良いものと悪いものと、どちらが多いですか?
徳永:1番思い出す春の想い出は、ミュージシャンになろうと思って東京に出て来た春ですね。今までつるんで遊んでいた幼馴染み達や家族と離ればなれになって、1人暮らしするのも初めてだったし、別れの不安と次の出会いの期待とかが一気にきていて。最終的には新しい出会いがあって楽しい事もあったり、辛い事もあったんですけど、自分の中では良いターニング・ポイントとして、春になるといつもその頃の事を思い出しますね。

●それは、人生の中では大きい出来事ですよね。
徳永:そうですね。そういう転機っていうのは、18才で訪れる人もいれば、40才で訪れる人もいると思いますけど……、そういう意味では春って良い季節ですよね。

●では続いて2曲目の「君はきっとひとりじゃない」は、大田さんの歌詞ですが制作されたのはいつ頃ですか?
徳永:これはすごく最近ですね。

●「はるかぜ」のカップリングを想定して作られたんですか?
徳永:そうではなかったですけど、わりと1曲目がメロウな曲なので、次に少しノリのいい曲を入れたいなっていうのはありました。ドゥービーブラザーズみたいな曲をやろうって前から言っていて、その第1弾みたいな感じですかね。レコーディングは結構時間がかかりましたね。

●歌詞は大田さんらしさが出ていますね。
徳永:“ロック的な自問自答”みたいな、それがdoaの世界観やテーマになっている所があるので、この曲の歌詞にはそれが出ていて良いと思いますね。そういうのがちゃんとしていると、またサウンドに幅が出て来ますし。

●この曲も歌詞が出来てから、また音を変えたりっていう事をされたんですか?
徳永:そうですね。音を減らしたり、色々やりましたね。

●ハープはどなたが吹かれているんですか?
徳永:僕ですね。これは結構大変でしたね。ハープを入れるだけで乾いた雰囲気になるんで、最近好きで結構やっています。

●そして3曲目の「GRADUATION」ですが、こちらは吉本さんの歌詞ですね。これはかなりブルージーな曲ですね。
徳永:そうですね。まさにアコギのブルーズな曲ですね。「GRADUATION」って卒業ですよね。いつもやっている吉本君の英語の歌詞の曲なんですけど、彼はオーストラリアで育っているじゃないですか。学生の時の話を聞いているとおかしくて仕方ないんですよね。まぁ日本に居る時から既におかしかったらしいんですけど。例えば、テストを配られて答案用紙に書き込んだ事がないっていうんですよ! 名前書いて、後は裏返してボーッとしてるって。で、“書かないからって、何かまずい事はありますか?”って言うんですよね。それを言われた時に、僕なんかベタに日本で育ってるじゃないですか、受験戦争の中でね。何かそういう面白い考え方もあるんだなぁ〜って思ったりして。今回の歌詞の中にも、“開けてもない綺麗にパックされたままの教科書の中に想い出が一杯だ”っていうフレーズがあるんですけど、本当にその通りだったらしいんですよね。こんな風に力が抜けていて、でもやりたい事はハッキリしている、そんな生き方も良いなって思ったりするんですよね。僕的にはバンドの中でこんな感じで良い刺激を受ける事が多いんですけど……、この曲は吉本君なりの卒業ソングですね。

●なんか途中で変わった音が入っていませんか?
徳永:(笑)。あれはそこの歌詞が結構きわどい事を言ってるんですよね。そのまま真顔で流していいのかなって話になって、それでブーイングの音を入れています。

●でも歌詞は変えずに?
徳永:そこは敢えて変えずに、そのままいっていますね。

●ブルージーな乾いたサウンドと、あっけらかんとした歌詞の世界観のマッチングも面白いですよね。
徳永:この曲のあっけらかんとした感じっていうのは、僕がウエスト・コーストロックが好きで、doaを始めた原点に近い感じなんで、個人的にもすごくいい仕上がりになったと思っています。

●さて、今回の「はるかぜ」には“かぜ”という言葉が入っていますけど、doaの音楽と“かぜ”って言葉が通ずるものがあるんじゃないかなって感じたんですよね。先程も乾いた感じとか、あったかい感じなんてワードが出て来ましたけど、実は“かぜ”と“doa”って、何かつながりがあるんじゃないかな、何て感じたんですけど。
徳永:なるほど。僕は、外でイメージを湧かす事が多いからかもしれないですね。家の中だとなかなか浮かんでこないんで。曲にしても歌詞にしても。

●外に居て見つける事が多いんですか?
徳永:そうですね。放浪癖があるんで(笑)。家の中が本当に嫌いなんですよ。僕今だにトランプとかって出来ないですよ。子供の頃、家の中で遊んだ事がないから。雨でもどこか屋根見つけて面子やったり、そういうガキだったんで。だからトランプやろうって言われると、ちょっと引くんですよね。大貧民とか分からないし、ババ抜き位なら〜って感じで(笑)。

●じゃあ、中に居るっていうのはスタジオにいる時位なんですかね。
徳永:うん、そうですね。スタジオに居なきゃいけない時間もありますから、その反動で外に出たがるのかもしれないですね。

●では最後に、今回はカップリングも含め色々な春が詰まっている作品になりましたが、今後も季節にリンクしたものはやっていきたいですか?
徳永:季節っていうか、温度感を感じる音ってあると思うんですよ。カリフォルニアだったらカリフォルニアの温度を感じる音ってあると思うし。そういう部分は常に大事にしていきたいなとは思いますね。


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「はるかぜ」

2007.3.7 Release


GIZA studio
GZCA-4091 ¥1,260(tax in)