宇浦冴香

New Single
「マイミライ」

2007.6.20 Release


前作「Sha la la -アヤカシNIGHT-」のスマッシュ・ヒットにより、更に多くの人々に名前を知らしめる事になった宇浦冴香。そんな彼女のニュー・シングルが早くも6月20日にリリースされる。タイトルは「マイミライ」。ザクザクした質感が刺激的な生音と、表情豊かな宇浦のハイトーン・ヴォイスが堪能出来る熱い楽曲に仕上がっている。前作同様、作詞・作曲・プロデュースを手掛けたのは稲葉浩志。この曲で、彼女の新たな魅力を知る事になるはずだ。カップリングの「ボーイズ&ガールズ」は、宇浦が作詞を手掛けたロック・ナンバー。男気溢れるサウンドに乗せて、みんなで一緒に頑張って行こうと歌う宇浦の伸び伸びとした歌声が印象的な楽曲に仕上がっている。タイプの違う曲でありながらも、己の在り方について問いかけるキーワードが詰まった楽曲という意味ではリンクしている2曲が収められた今作について、彼女に話を聞いてみた。(INTERVIEWED BY EMI MORI)

●前作「Sha la la -アヤカシNIGHT-」をリリースされた時は、色々なメディアに出演されたりと、多忙な春を過ごされたと思いますが、振り返ってみてどうでしたか?
宇浦冴香(以下宇浦):ちゃんと時間を掛けて辿って行かないと、こんがらがってしまう位、新しい経験が出来たと思います。それぞれが思い返しても楽しかったですし、色々な事をしたという実感はありますね。

●その時期に並行して制作活動も行っていたと思いますが、「マイミライ」はいつ頃から制作に取り掛かっていたのでしょうか?
宇浦:「マイミライ」を楽曲提供して頂けるというお話は「Sha la la -アヤカシNIGHT-」の発売される前で、2月末ぐらいだったと思います。その時は次のシングルとしてリリースするという事は決まっていませんでした。

●「マイミライ」を最初に聴いた時の印象はいかがでしたか?
宇浦:すごく楽しくなれる気がしました。歌詞も自分と同世代の人達も共感出来るというか、自分の記憶の中にあるものだなと思いました。最初は肩ひじ張らずに聴けるなと思っていて、何度も聴き込むうちに大切な事を伝えてくれる曲だなというのは感じました。

●音の質感もゴツゴツしていて、力強さが出ている曲ですよね。
宇浦:「マイミライ」というタイトルが表している通り、自分自身で未来を歩いて行きたいというメッセージが詰まっているので、その事についても自分の思いに通じるものがありましたし、それは音からもすごく伝わってきました。メロディやリズムが自分にとって新鮮だった分、ノリがつかめなくて戸惑った部分もあったんですけど、それをつかんだ時に自らの力で発信して行こうという気持ちが強くなった気がします。

●前作同様、今回も稲葉浩志さんの作詞・作曲、そしてプロデュースの楽曲という事で、稲葉さんから楽曲に対するアドバイスを受けたりはされたのでしょうか?
宇浦:事前にアドバイスを頂いたというよりは、レコーディング中にディスカッションしながら色々教えて頂いたという感じです。

●そこでのやり取りの中で身になった事や、新たな発見等はありましたか?
宇浦:「Sha la la -アヤカシNIGHT-」の時は伝える事の本質の意味を学ばせてもらった楽曲で、「マイミライ」は伝える事から更に1歩進んで、楽曲のノリに自分がどこまで身を任せられるかとか、もっと細部に渡って学ぶ事が出来たなと思います。「マイミライ」が前作と違ってノリも独特で、最初はそこが自分にとって壁でもあったんですけど、それは歌って行く中で徐々に身に付いた気がします。「sha la la -アヤカシNIGHT-」は自己との葛藤が全面に出たものだったのですが、今回は歌詞に日常の中である事が出てくるので、歌い込むうちにいつの間にか自分に何かを与えてくれている事に気付いたという感じです。だから曲のノリをつかむまでに少し時間がかかりましたけど、それをつかんだ時はすごく達成感がありました。

●今回の歌詞は、宇浦さん自身とリンクする部分はありましたか?
宇浦:最初に歌詞を読んだ時、自分と同じ世代の女の子の目線で描かれているなというのは分かりました。“やたらこまめにメールおくらないで”とかも、今は携帯社会だからいつも連絡が取れて便利ですけど、文面だけのコミュニケーションで悩む人も多いと思うんです。それは現代ならではの事で、自分自身もそういう風に思う事もたくさんあったので、この歌詞は、まさに“そういう事ある、ある”という風に友達とまるで話している様な感じで共感出来ました。自分の未来や将来って、1人で何もかも決める訳じゃなくて、他の人の意見やアドバイスで傷付いたりする事もあるんです。良くも悪くも他人が介入して来る事は避けられないと思うので、それに対してどう向き合えるかとか、そこから何を得るかと言うのを、自分で取捨選択して最終決定を下す事の大切さを、危機迫る感じで教えてくれるんじゃなくて、自然と分からせてくれる楽曲だと思います。歌詞に出てくる情景は、自分と同じ世代の女の子はすごく共感出来ると思うんですけど、そこで伝えている事は世代を問わず通じるものだと思うので、色々な人に肩ひじ張らずに聴いてもらいたいなと思います。

●宇浦さん自身も、以前の取材でも“決めるのは結局自分自身”というような事をおっしゃっていたと思いますが、そういう意味でも今回の歌詞は特に響くものはありましたか?
宇浦:励ましてもらいたい時、自分が望んでいる言葉しか聞きたくなくて、ちゃんと向き合えない事ってあると思うんです。でも、自分が傷付いている時に望んでいない言葉で励まされる事もすごくあると思うんですよ。そこから逃げちゃうと何も生まれないし、きちんと向き合って自分で決める事が大切なんだという事はすごく思いましたね。その気持ちを言葉としてしっかり伝えていきたいです。

●イントロで呟く部分は最初からあったんですか?
宇浦:最初はなかったんですけど、レコーディングをしていく中で稲葉さんから“最初にセリフを入れてみよう”というアイディアを頂いて、入れる事になりました。初めての事で、こういう形で喋る事に関しては慣れていなかったので、最初はすごく恥ずかしかったですね。でも、出来上がったものを聴いてみると、“やらなきゃいけないのは、私なんです”というセリフって、この曲の1番伝えたい事が凝縮されていると感じました。だから、このセリフが入る事によって、この曲の強さが増したと思います。実はセリフだけで聴くと、録った時に緊張していた事もあって鼻息が入ってるんですよ(笑)。良く聴くと分かると思います。

●歌詞の中で宇浦さんが特に気に入っている箇所はありますか?
宇浦:サビの“マイミライをしょうのはアナタじゃなく このアタシ”という部分ですね。家族とかって自分の事を心配してくれていて、それは嬉しい事なんですけど、それが押し付けがましかったりすると、受け取る方が戸惑ってしまう事ってありますよね。色んな意見を取り入れて行くと自分の中で矛盾が生じてしまったり、考え過ぎて何が正しいか分からなくなったりという事は自分でもよくある事なので、そういう意味では“このアタシ”という様に言い切れる強さを自分も持ちたいと思います。あと、言い回しとして好きなのは“アタシを甘やかさないでください”という部分ですね。そこは歌というよりも訴えかける感じで言ってます。最初はメロディをなぞって歌ってたんですけど、何度が歌っていくうちに“叫ぶ感じで”というリクエストを頂いて、やってみたらすごく自分の感情を込めやすかったです。

●歌い回しという意味では、“別にきらいじゃないけれど〜”という部分も独特ですよね。
宇浦:これも今までにない試みだったんですけど、抵抗なく出来ましたね。音が消えて本音が出ちゃったというか……。サビ部分は、音楽に乗せて歌っているからすごく強気でいられるような気がするんですよね。でも“たぶんちょっと疲れるかも”という様な曖昧な言い回しって、自分自身が弱いのは分かってるという感じが出ているので、全体を通して聴くとそういう色々な感情が代わる代わる出ている楽曲だなと思いますね。

●これだけ歌に表情があると、歌うのも楽しかったのでは?
宇浦:今回は新しい試みがたくさんあって最初は戸惑ったんですけど、歌ってみると楽しんで出来たと思うので、それは声にも表れていると思います。そういうものも含めて聴いて下さる方に伝わると良いなと思います。

●「マイミライ」というタイトルもインパクトがあると思うんですけど、宇浦さんは“未来”というものにどの様なイメージを持っていますか?
宇浦:未来って明るいだけじゃないと思うんです。そこには希望もあるけど、きっと絶望もあるんだろうなって……。もちろん明るい未来が待っている方が良いですけど、自分自身の今までの体験を思い返してみると、苦しい中で何かを学ぶ事って多いと思うんですよね。楽しかった事って、意外に記憶の中で薄れてしまったり、現実より美化してしまったりすると思うんです。絶望や悩んだ時って、それを良い方向に捉えられるかどうかだし、そこは大切にしていきたいです。未来は未知で分からないものだけど、こうありたいというより、歌詞の中にもありますけど“美味しかろが不味かろが”と言う様に、希望でも絶望でも自分自身で受け止めたいというのはありますね。

●中には辛い事は避けたいという人もいると思うんですけど、宇浦さんはそうではないと。
宇浦:絶望すると楽な方に逃げたくなるというのは、もちろん自分の中にもあります。でも、理想としてはそういう自分も含めて受け入れたいという感じです。

●カップリングの「ボーイズ&ガールズ」には、どういう思いを込めたのでしょうか?
宇浦:この曲の歌詞を書こうと思ったのは、周りの友達の話を聞いていて、やりたい事がはっきりと見つかっていない人が多いんだと感じた事がきっかけでした。自分は音楽をやりたくて、実際にそれをやる事が出来ているのはすごく幸せだなと思っているんですけど、一歩違えばもしかしたら自分もまだ夢を実現出来ずにいたかもしれない訳で……。そう考えた時に、物事の答えや意味を求めたくなってあがいたりするかもしれないけど、それを含めて今のままの自分でも良いんじゃないかなと思ったんです。だからこの曲は応援ソングというよりも、自分も“ボーイズ&ガールズ”の中にいてみんなと一緒という思いを込めて歌詞を書きました。

●こちらから一方的に頑張ろうというのではなく、みんなと同じ立場に立って一緒に進んで行こうという事ですね。
宇浦:はい。自分の頭の中に浮かんだのは、学校の体育祭で応援している多数の中の1人として自分がいる感じというか……。多数の中であがいている自分を表しています。だから自分だけ光り輝きたいとか、夢があるから偉いとかではなくて、みんな同じなんだという事を伝えたくて。

●サウンドも力強いですね。
宇浦:アレンジされる前のデモの段階では、もっと男くさい感じでした。それでだんだん聴いているうちに、何を伝えたいかが具体的になってきて、自分の思いに対して力を与えてくれた曲だと思います。

●歌詞はすぐ書けましたか?
宇浦:形にするのはすごく早かったですね。30分もかかっていないと思います。言葉を選ぶというよりは、自分の心の内から出たものを書き出した感じです。そういう意味では昔自分が書き留めていた詩に近いかもしれませんね。

●“夢追い人”という言葉がすごく印象的だったのですが、この言葉も自然と出て来たものだったんでしょうか。
宇浦:この言葉の中の“夢”は、みんなが普通に思う夢とは限定してないんです。生きる事って常に何かを追いかけているんじゃないかって思うんです。それは極端に言ってしまうと、人間はいずれ死ぬもので、その死を追い掛けて生きているというか……。自分が求める夢に向かって進んでいる人もいれば、夢を背負わされている人もいたりすると思うので、そういった全ての人を対象にして“夢追い人”という言葉を使っています。だからも“夢追い人”と “ボーイズ&ガールズ”も自分の中ではイコールで繋がっているんですよ。

●歌詞の中に“一人じゃない”という言葉が出て来ますが、宇浦さん自身がそう思う事はありますか?
宇浦:“一人じゃない”という言葉ってすごく重いと思うんです。大多数の中にいると色々な意見が飛び交って、それが良いと思える時とそれに惑わされてしまう悪い時の両面があるというか……。そういう思いを込めてこの言葉を歌詞にしました。

●「マイミライ」には周りの声に耳を傾けながらも、自分で決めさせて欲しいという気持ちが表れていて、「ボーイズ&ガールズ」はそういった色々な声の中で生活する事を望む主人公の姿が描かれていますが、捉え方は違っていてもそれぞれが繋がっているという実感は、歌っていてありましたか?
宇浦:「マイミライ」は他人の介入の中で自分がどうあるべきかという強さを歌っていて、「ボーイズ&ガールズ」は色々な人達の中で生きて行く中で生まれる葛藤の強さを歌っているので、両方とも“強さ”と言うカテゴリーで繋がっていると思います。だから、この2曲が1枚のCDに収められているのは嬉しいです。

●現在は次の作品に向けて、制作作業を行っている状態ですか?
宇浦:はい。色々な楽曲のデモを聴いたり、歌入れをしたりしていてすごく充実しています。毎回違う楽曲に出会えるのはすごく楽しいですし、幸せだなと実感しています。


宇浦冴香

New Single
「マイミライ」

2007.6.20 Release


GIZA studio
GZCA-7092 ¥1,050(tax in)