通算100曲目にあたる楽曲「涙のイエスタデー」の発表から約4ヶ月、GARNET CROWのニュー・シングル「世界はまわると言うけれど」が11月14日にリリースされる。この曲はGARNET CROWサウンドの醍醐味とも言える郷愁感、力強さ、切なさをじっくり堪能する事が出来るナンバー。すでにアニメ「名探偵コナン」エンディングテーマとしてオンエア中なので、耳にしている人も多いだろう。この他にも今の季節にぴったりな「彼方まで光を」、スパニッシュ・ラテンのサウンドが全面に出た「Argentina」と、聴き応えのある楽曲が収められている。今作についてヴォ−カルの中村由利に話を聞いてみた。(INTERVIEWED BY EMI MORI)
●まず、今年の夏の活動を少し振り返って伺いたいと思います。前作「涙のイエスタデー」を発表された前後はファンクラブ・イベントを開催する等、ファンの方と一緒に7周年を祝う機会がありましたが、イベントで印象に残っている事、またイベントを通して感じた事等があれば教えて下さい。
中村由利(以下中村):クイズ大会は、皆さんと一緒に私たちも参加出来て、とても楽しかったです。私はほとんどハズレましたが、正解した方、ハズレた方の表情を見ていると本当に楽しそうで、ファンの皆さんと私達との心の距離が少し近くなった様な気がして嬉しかったです。これからもこうした皆さんとの“繋がり”を大切にしていきたいです。
●10月20日には世界遺産の仁和寺にてスペシャル・ライヴが行われましたが、ズバリ感想をお願いします。
中村:最高でした! 特に「Holy ground」でのサイリウムの演出は、ステージの上からゾクゾクしてしまうくらいに素晴らしいものでした。野外独特の突き抜けるサウンドと、澄んだ響きが非常に気持ち良かったです。私たちの楽曲がこの場所で奏でる事により、さらにパワーを増していった、そんなライヴでした。2度とこんなライヴは出来ないだろうな……って思えた位、ものすごく大きなオーラを放ったライヴです。
●前作「涙のイエスタデー」の取材をさせて頂いた時に“最近すごく良い曲があがってきている”とおっしゃっていましたが、今回のシングル「世界はまわると言うけれど」は、その中の1つだったりするのでしょうか? この曲はいつ頃出来た曲なのか教えて下さい。
中村:今回の曲は「涙のイエスタデー」と同時期に作った曲です。
●「世界はまわると言うけれど」はゆったりとしたリズムと郷愁感漂うサウンドが耳に心地良い曲になっていますが、どういう情景をイメージして作られたのでしょうか?
中村:この曲は私が初めて、ドラム・ループを聴きながらコードを乗せていき、そのコードに気持ちの良いメロディを重ねていくという作り方をしました。普段はメロディ先行で作っていますが、この曲はリズム先行で作りました。なので、曲の始めから終わりまで一貫してリズムが心地良く感じられると思います。それがこの曲の浮遊感だったり、あたたかく包み込まれる様な“適温”の心地良さに繋がっているかなと思います。
●こういうタイプの曲を作ろうと思ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
中村:この時期はバラードをたくさん書いていたので、きっとそういうモードだったのでしょう(笑)
●AZUKIさんが書かれた歌詞を最初に読んだ時、どういう感想を持ちましたか? 楽曲のイメージとリンクしていた歌詞などがあれば、それも教えて下さい。
中村:この曲の持っている大きなグルーヴ感と詞の世界観が見事に合わさったって思いました。大きな歯車が噛み合った、そんな感じです。
●中村さんが特に気に入っている歌詞の部分はありますか? そこを選んだ理由も教えて下さい。
中村:“永い夜が朝が昼が すべてのらりくらり流れゆくよ”です。曲の持つリズム感が“のらりくらり流れゆくよ”という部分とぴったり合う気がしました。曲のテンポ・グルーヴ感と歌詞の世界のスピード感が同じだなと思いました。
●歌詞の中に“そっとただ窓の外をながめ 季節が移ろうのをみていましょう”という箇所がありますが、中村さんは外の景色を眺めたりする事は好きですか?
中村:気分転換したい時や、星が綺麗に見える時とか月が見える日とか、夜が多いかもしれませんが、外の景色を見るのは好きです。
●古井さんは“初期の作品のような、ナチュラルなアレンジを意識した”との事でしたが、中村さんが気に入っているアレンジ部分がありましたら、選んだ理由と併せて教えて下さい。
中村:イントロです。ぬくもり、ナチュラルさ、心地良さを同時に感じられるイントロで好きです。ゆりかごに揺られている様な、そんな気分になるイントロですね。
●「彼方まで光を」はリズムがしっかりた明るいナンバーになっていますが、これはどういうイメージで作られたのでしょうか?
中村:「夏の幻」の様な、アコギのザクザク感が気持ちの良い、秋の空にぴったりな爽やか&切ない楽曲を目指しました。
●制作していく上でこだわった所、歌う時に気を付けた所などがあれば教えて下さい。
中村:秋空の様にカラッとした空に合う様に、歌も空へ突き抜ける様な、そんな歌を心掛けました。サビではファルセットも使っていますが、爽やかさだけではない、切なさをこのファルセットで感じてもらえればと思います。
●この曲を収録しようと思ったのは?
中村:リリースの季節的にぴったりかなと思って選びました。
●この曲の歌詞には「世界はまわると言うけれど」の中にある“時間の経過”にリンクしている部分があると思うのですが、中村さんは日常生活を送る中でどんな時に“時の流れ”を強く感じますか?
中村:今の季節ですと、ついこの間まで街路樹が元気いっぱいに生い茂っていたのに、紅葉し、落葉となって道端に落ちているのを見ると、時の流れを感じます。
●「Argentina」はドラマティックで疾走感溢れるナンバーになっていますが、この曲はどういったイメージで作られたのでしょうか?
中村:以前も、「夢・花火」や「かくれんぼ」などラテン・テイストのある曲を作ったのですが、今回もスパニッシュ・ラテンな楽曲を作りたくて制作しました。ヨーロッパのシャンソンやカンツォーネなど、民族音楽の影響を受けています。“アルヘンティーナ”という踊り子を歌った歌です。
●言葉遊びが感じられるAZUKIさんの歌詞が印象的ですが、最初に読んだ時はどんな感想を持ちましたか?
中村:とても面白いと思いました。韻を踏んでいたりして、音だけを聴いていても楽しくて、レコーディングもスムーズに出来ました。
●この曲は音と言葉のハマり具合が楽しめる曲でもあるのではないかと感じたのですが、実際に歌ってみていかがでしたか? 気に入っている箇所などがあれば、それも教えて下さい。
中村:サウンドもとても疾走感があり、リズムがしっかりしていたので歌いやすかったです。歌詞も情熱、パッション、ソウルを強く感じられる言葉がたくさん詰まっていて、気分を高めて歌う事が出来ました。
●GARNET CROWの楽曲には制作していく中で大きく変わっていくものもあったと思いますが、今作に収められた3曲にはそういったエピソードがありましたか?
中村:3曲目の「Argentina」はギリギリまで収録しようかどうか迷ったのですが、遊び心ある変化球的な楽曲を、自分達も最近は楽しめる様になってきて、収録する事にしました。
●今回のシングルが出来上がって改めて思う事はありますか?
中村:上出来! 1つの作品集として上手くまとまったと思います。得意とする曲、初期を匂わせる切ない曲、遊び心あるアップ・テンポの曲と、3曲それぞれ違った私達の世界を見ていただけると思います。うすしお味、コンソメ味、カレー味みたいな……(笑)
●少し早いかもしれませんが、今年を振り返ってみての感想、特に印象に残っている事などがあれば教えて下さい。
中村:通算100曲目を迎えたり、ファン・イベントを開催したり、仁和寺でのライヴを行えたりと、とても充実した内容の濃い1年でした。100曲目の「涙のイエスタデー」ではビートルズ風ジャケットやエドサリバンショー風PVにトライしてみたり、ファン・イベントではメンバー全員揃ってのトーク・ショーやクイズ大会を企画したり、世界遺産での野外ライヴなど、初めてづくしの1年でもありました。
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