作品を発表する度に違う表情を見せてくれる上木彩矢が、3月5日にニュー・シングル「SUNDAY MORNING」をリリースした。彼女にとって2008年第1弾シングルとなる今作は、“春”が感じられるナンバーに仕上がっている。今までに発表した作品では、どちらかと言えば夏や冬等の季節がフィーチャーされてきていたので、そういう意味でも新鮮な楽曲とも言えるのではないだろうか。
「SUNDAY MORNING」は春の陽射しを彷佛させるギター・サウンドで構成された、穏やかなナンバー。“ある日曜の朝”の出来事を思い返して1人でいる事の寂しさを実感しながらも、前に進んで新しい1歩を踏み出し、明るく笑って過ごそうとしている主人公の姿がシンプルな言葉で綴られた歌詞を、上木が柔らかい声で伸び伸びと歌い上げている。アコースティックな雰囲気も持ち合わせている楽曲なだけに、アットホームな空気感も楽しめる1曲だ。
2曲目の「Just take my heart」は、上木の艶やかで力強いヴォ−カルと厚みのあるロック・サウンドが楽しめるナンバー。長い間ずっと想い続けてきた相手への気持ちが切々と綴られた歌詞が印象的で、季節の流れを通して“春”に触れた内容になっている。
タイプの異なる2曲が収められた今作は、まさに上木流のスプリング・ナンバーが詰まった1枚。今回のシングルがどのようにして出来上がったのか、彼女に話を聞いてみた。 (INTERVIEWED BY EMI MORI)
●昨年はワンマン・ライヴが終わってからは引き続き制作活動をなさっていたんですか?
上木彩矢(以下上木):ライヴ後はすぐに制作に取り掛かっていましたね。リリースの期間があかない様にしようと思っていたんですけど、結局は今年3月のリリースという事になりました。
●「SUNDAY MORNING」も早い段階から作られていたと……。
上木:去年の年末位から準備はしていました。この時期に作るものは大体春をイメージしたものになってくるので、今回の曲に関しても春っぽい感じのする楽曲を選んで、作っていった感じです。
●「SUNDAY MORNING」はどういう部分にひかれて、この曲が良いと思ったのでしょうか?
上木:すごくキャッチ−だけど、洋楽っぽく聴こえるのが面白いなと思いましたね。気に入るというのも感覚的なものなので、この曲も聴いて“いいな”と思ったからシングルにしようという事になった感じですね。
●この曲を聴いた時、音が柔らかくて上木さんがフランクな感じで歌っている所が、去年のワンマン・ライヴの中であったアコースティック・コーナーの時の空気感とリンクしている様に感じました。
上木:前作の2ndアルバムでは、色々なタイプの曲を通して沢山の事を勉強出来たと思っています。自分の本質的にはガツガツいくタイプの曲が好きなんですけど、そうじゃないタイプの曲に挑戦する事で見えてきたものも多かったし。それを踏まえての今回のシングルというのはありますね。
●2ndアルバムを通して得たものというのは?
上木:曲のタイプの幅が広がった事ですね。だからと言って、新しい曲のタイプにだけ進んでいくという訳ではなく、こういうのもあるからこういうものもあるという感じで自分の中の音楽のカテゴリーが1つ増えたという……。
●この曲はデモの段階から、アコースティック調のものだったんですか?
上木:そうですね。最初からこういう感じで、それを岡本仁志さんにアレンジして頂きました。
●アレンジされたものを聴いた時、どうでしたか?
上木:この曲には日本語詞よりも英語詞の方が合うんじゃないかと、最初の方は思いましたね。それでタイトルも英語で「SUNDAY MORNING」という言葉が浮かんだのかもしれません。
●すごくはっきりしている言葉ですよね。この言葉をタイトルにしたのは?
上木:歌詞の中にある“つまらない日曜日”というのが、元々自分が思った事でキーワードだったので、最初は“MY BORING SUNDAY”をタイトルにしようかと思っていたんです。でも、タイトル的には“SUNDAY MORNING”の方がはっきりしていて良いだろうという事になって、この言葉になりました。
●上木さんが抱く“日曜日”のイメージは?
上木:私の場合、休日はあってもそれが日曜日じゃない事もあるので、実際はどうなのかは分からないですけど、一般的には平日とは違う、ゆっくりとした時間が流れているイメージがありますね。日曜日に仕事で会社に行く時も、街が賑やかで家族連れが多かったりするのを見ますし、それが天気の良い日だったりすると、すごく暖かい雰囲気があるなと思うんです。平日とは違う、ピリピリ・モードではない世界が広がっていると思いますね。
●そうすると、今回の歌詞は“日曜日”と言いつつも、上木さんにとっては“休日”というくくりで描かれていたりするのでしょうか?
上木:実は以前、日曜日が休みだった時に仕事が入って休みじゃなくなった事があったんです。その時にすごくガッカリした事を題材に、少し話を広げて恋愛に繋げたストーリーになっています。
●以前取材させて頂いた時、上木さんは前日から次の日に何をするかをしっかり考えるとおっしゃっていましたが、休日の前の日も色々考えますか?
上木:前の日は色々考えますね。だからそれが急にダメになると、すごくガッカリしますね。
●この歌詞に出てくる主人公は、リセットして前に進みたいという気持ちを持っている人ですが、この人物像はどういう風にイメージを膨らませて書かれたのでしょうか?
上木:“日曜日”というテーマが最初からあったので、かなりスムーズに言葉が出てきたと思います。“前に進みたい”という気持ちは、誰しも抱く感情というか……。春を意識して書いた、私なりの“春ソング”ですね。
●上木さんにとっての休日は、どういうものだったりしますか?
上木:休日は気付くと終わっちゃっている事の方が多いですね。仕事をしている日は長く感じますけど、休日ってサラッと通り過ぎて行くので、私にとってはリセットと言うよりは休憩という感じです。
●歌声がすごく柔らかく感じたのですが、レコーディングの時に気を付けた事はありますか?
上木:自分の歌い方にはクセがあると思っているので、今回ビブラートを少し減らす様にはしました。私の場合、今までは感覚を優先して歌いたいままに歌ってきている作品が多かったので、今回は歌詞をしっかり伝えるという意味で、余計なクセは省いています。でも、それも別に大変という訳じゃなくて、頭で意識すれば自然と出来た事だったので、そんなに深く考えずにレコーディング出来ましたね。
●歌詞の中で上木さんが特に気に入っている箇所はありますか?
上木:私が個人的に言いたかったのは、実は、Bメロ最初の“たった1日の休日さえも あいつのせいで台無しね”だったりするんですけど……(笑)。あとは恋愛の話をメインに書いているので、その1行を発端に思いを託しているという感じです。
●曲の後半の間奏部分は、朝の雰囲気がすごく伝わってくるアレンジになっていますね。
上木:この曲は岡本仁志さんがアレンジして下さっているのですが、初めて聴いた時に“本当にセンスが良い方だなー”と聴き入ってしまいました。
●今までの上木さんの曲には、昼間に活動的に動いている人や、夜に1人で色々と考える人を主人公に描いていたものが多かったと思うのですが、“朝”をベースに綴った曲というのは今までなかったのでは?
上木:ないですね。だからかなり新鮮だと思います。春と言えば午前中というイメージがあったので、そこともリンクさせています。とは言っても、自分は相変わらず朝は苦手なんですけど……(笑)
●「SUNDAY MORNING」のPVは、今までのPVとは違った雰囲気になっていますね。
上木:これはハウス・スタジオにバンドと一緒に入って、演奏をバックに歌うというシンプルなPVなので、すごく分かりやすいものになっていると思います。
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