愛内里菜にとって約2年振りとなるニュー・アルバム『TRIP』が、いよいよ5月21日にリリース!! 先日発表された先行シングル「I believe you 〜愛の花〜」で柔らかなラヴ・ソングを披露し、アルバムの片鱗に触れる事が出来たが、その全貌がいよいよ明らかになる。先月号のインタビューでも語ってくれた通り、今回のアルバムは“香り”を詰め込んだ1枚。聴いただけで香りが立ち上り、その香りを通じて様々な思い出が浮かぶ様な、聴き手の想像力をかき立ててくれる今作について、彼女に話を聞いてみた。
●今回のアルバムは香りをキーワードに制作したという事ですが、そう思ったのはどういう経緯からだったのでしょうか?
愛内(以下愛内):今回のアルバムには「薔薇が咲く 薔薇が散る」からのシングルが入るという事もあって、最近のシングルを改めて聴き直した時に、例えば「Mint」とかもそうなんですけど、香りを連想させる曲が結構あるという所から、香りが詰まった曲を集めたアルバムを作ってみようかなという風に思いました。
●愛内さんは日頃の生活の中で、香りを意識して取り入れている方ですか?
愛内:そうですね。自分が癒されたい時に香りに頼る事が多いですね。
●それはどういう種類の香りが多いですか?
愛内:アロマ・キャンドルや入浴剤は、薔薇の香りが多いですね。あと気分がスッキリするものだと、グレープフルーツとかオレンジの柑橘系の爽やかな香りだったり……。でも部屋で焚いているお香は、オリエンタルな感じの香りが多いかな。その時の気分で使い分けるタイプですね。
●ちなみに愛内さんは香り付きの夢を見た事はありますか?
愛内:あります! 結構はっきり覚えていますよ。食べ物の香りが多いですけど……(笑)。綺麗な場所での夢より、怖い夢の時の方が匂いを覚えているかも……。そういう時の匂いは“何これ?”という感じの、嗅いだ事のない様な匂いだったりします。とは言っても、夢の中なのでその香りも自分の空想でしかないのかもしれませんけどね。
●今回のアルバムを作っていく中で、香りについて新たな発見や更に興味が増したという様な事はありましたか?
愛内:今回の曲には、歌詞に“香り”とか“匂い”という言葉を入れて書いていたんですけど、そこで思ったのは、その瞬間瞬間で情景を思い浮かべると、香りも一緒に思い出す事がすごく多いんだなって。情景の中にいつも一緒に香りがある感覚って、意識しなければ気付かなかった事かもしれません。
●目に見えない香りを言葉にしていく作業の中で、大変だった事はありましたか?
愛内:香りから入って歌詞を書くという作業は、そんなに大変ではなかったです。今までは曲を聴いてそのイメージを膨らませて歌詞を書いていく事が多かったんですけど、今回はその間に香りが加わったので、すごく進めやすかったです。
●今回のアルバムの収録曲は、まず歌いたい曲を選んでから歌詞を付けていくという流れだったのですか?
愛内:曲自体がすごく気に入って、そこから香りのイメージを広げていったものと、この香りについて書きたいというテーマがあって、それに合う曲を探したというものが今回のアルバムには混ざっていますね。
●ちなみにアルバム曲の順番を決めるのには、時間が掛かりましたか?
愛内:はい。“次はどの曲が来て欲しい?”という感じで、スタッフみんなで話し合いながら、考えましたね。1度盛り上がって少し落ち着いて、最後の方でまた盛り上がるという様な流れになっています。
●まずアルバム・タイトル曲の「TRIP」ですが、こちらはどの様にして出来上がっていったのですか?
愛内:これは先に歌詞にしたいテーマがあって、それに合う曲を選んで進めていったものです。今回のアルバムを“香り”というテーマで作るという事が決まった時、こういう世界観で書きたいというのが固まってきて、作業的には最後の方に出来上がった曲なんですけど、他の曲を1曲1曲作っていく事で歌詞の世界を作り上げていったという感じでしたね。アルバムのタイトル曲なので、アルバム全体をまとめるという事で、収録曲の歌詞とリンクしている言葉を入れてみたりしてみました。
●この曲が「TRIP」の世界観に合うと思った決め手は何だったのでしょう?
愛内:ただ明るくてきらびやかな感じではなくて、自分の歌声が熱く伝わるという部分も含めて、クラブ・サウンドの中でも少しディスコ寄りのもので歌いたいというのがあったので、そこから曲を選びました。
●曲の中にブラスが入っていたり、サウンドもラテンぽいテイストが盛り込まれていたりと、色々な要素が詰まっていますね。
愛内:この曲で香りを注入していくというか、聴いてくれるみんなに、これから出てくる曲で色々な香りにトリップしてもらいたいという気持ちも込めて、楽しい曲に仕上げました。
●次の「Harmonny」はテクノ・ポップな感じで可愛らしい1曲になっていますが、これは曲から香りを連想して作っていかれたのでしょうか?
愛内:はい。これは曲から香りを連想していった曲です。これはデモ・テープの時からあまり変わっていなくて、ハウスの可愛いサウンドが気に入ったのと、メロディの感じがすごく好きで“歌いたい!”と思っていたものですね。そこに香りの要素を加えて歌詞を書きました。
●ここに出てくる“香り”は、どういうものになるのでしょうか?
愛内:最初の方の歌詞にあるように “いつまでも香る愛や夢はどこにあるの?”という事で、自分が心の中で持ち続けている“希望の香り”を表現出来たらなと思って書きました。
●キュートな曲調にメッセージ性のある歌詞という組み合わせが良いですね。
愛内:この曲は、自分の中でもラヴ・ソングにすると可愛くなり過ぎるかなと思ったんです。重みのある言葉をしっとりと歌うのも良いけど、こういう楽しい曲でしっかりしたメッセージが伝えられるのも良いなと思って、敢えてここはラヴ・ソングというよりは、もう少し大きな愛を歌いました。
●歌詞の中で特に気に入っている部分はありますか?
愛内:サビの部分ですね。“寄り添い奏で合って生きてく”のがHarmonnyだと歌っているんですけど、そこが1番伝えたい所ですね。
●“Harmonny”という言葉はすぐに浮かんだんですか?
愛内:すぐに浮かびました! デモ・テープでイントロの部分を聴いた瞬間に、頭の中を“Harmonny”っていう言葉が流れたんです。でもそこから歌詞を広げていく時に色々悩んだりしたんですけど(笑)。世界観はイメージ出来ていたんですけど、それを形にしていくのが難しくて。だから歌詞は何度か書き直しましたね。
●そこまでこだわって作ったとなると、思い入れも強い曲になりますよね。
愛内:そうですね。この曲はミックスとかにもこだわったんですよ。今までとは少し違うサウンドという事もあって、色々挑戦した曲でもあるので、時間を掛けて作りました。
●声の聴こえ方を変えていますよね。今までの曲は愛内さんの歌声をはっきり聴かせるタイプのもので、そこに遊び心が加わったとしてもそれはイントロ部分だけだったりしたのが、今回は声そのものを少し加工したデジタルな感じになっているので、それがまた新鮮ですよね。
愛内:そうなんですよ。実は自分の声の聴こえ方を変えるのも、すごく悩んだんです(笑)。今までは曲の中で自分の声を変えるというのは本当にした事がなかったので、変えるか変えないかという段階でもすごく悩んだし、変えるとしてもどこまで変えて聴かせるのかとか、細かい部分まで考えましたね。Bメロの部分も最後まで素の声でいくのかいかないのかというのですごく悩んで、何回も色々なパターンを作った曲ですね。最後にみんなが納得して“これでいこう!”となったのがこの形です。
●「Creamy day」はどの様にして生まれた曲だったのでしょうか?
愛内:これは曲から香りを連想して歌詞を書いた曲ですね。実はもともとこの曲はギターの音が効いた渋い感じの曲で、大人っぽい曲だなと思っていたんです。それが自分流にサウンドをアレンジしてもらっていくうちに曲の可愛さがすごく出て来て、“実はこんなに可愛い曲だったんだ”という驚きから、ミルキーな甘い香りが浮かんできて、思い切り可愛い女の子の事を書いて歌ったら、凄く雰囲気のある曲になるかなと思って、タイトルも「Creamy day」にしました。ここに出てくる主人公は、落ち込んだ彼氏を応援している彼女という感じなんですけど、そういう彼女の柔らかさとか優しさから出てくる可愛さが上手く書けたんじゃないかと思います。
●サウンド的にもリズムやビートがしっかり伝わってくる曲ですよね。
愛内:リズムに関しては、歌詞の世界から広げた部分もありました。彼の事を応援している彼女の強さみたいなものをしっかりリズムで強調して欲しかったというか……。この曲は柔らかい歌ではありますけど、落ち込んだ彼氏に対する応援歌という気持ちで作ったので、言葉とか歌い方が可愛い分、逆にそこはしっかり出して欲しいとリクエストして、リズムを刻んだ形にしてもらいました。“頑張って!”と肩を叩く様な感じですね。
※この続きは誌面にて!!
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