滴草由実

New Single
「CALLING ME」

2008.6.4 Release


前作「I still believe 〜ため息〜」の発表から約1年振りに、滴草由実のニュー・シングル「CALLING ME」が6月4日にリリースされる。今作は作詞はもちろん、作曲と編曲を彼女が手掛けた、まさに新しい1歩を踏み出した1枚となった。シンプルで柔らかいサウンドと過去に触れながらも前に進もうとする主人公を描いた歌詞を優しく歌いあげた「CALLING ME」、ドラマティックなサウンド展開に自分の存在を主張する力強い歌詞が印象的な「I don't know why」。対称的な2曲が収められた今作について、彼女に話を聞いてみた。

●前作から約1年振りのリリースとなりますが、その期間は制作作業をされていたんですか?
滴草由実(以下滴草):そうですね。土日返上で作業をしている時もありました。今回のシングルは作詞だけではなくて、自分で作曲やアレンジをしたりしていたので、リリースの期間があいてはいますが、ずっと音楽制作はしていたという感じです。

●今まで作曲するという作業はされていたんですか?
滴草:今までにも少し作曲はしていたんですけど、やっていくうちにやりたい事がかなり増えてきましたね。前はギターやピアノをドラムに合わせてシンプルに曲を作るというスタイルだったんですけど、それだけだと自分の出したい雰囲気だとかコード感が出し切れない事が多くて模索中ではあったんです。それからパソコンで打ち込んだり、音の味付けとかが出来る様になって、すごく楽しくなってきて……。それからますます毎日曲の事を考えたり、曲をいじったりする様になりましたね。

●色々と音に凝って曲を作り始めたのはいつ頃ですか?
滴草:去年の年末頃ですね。キャンペーンが終わってから、楽曲を集めだした時に、自分がイメージしている曲がなかなかなくて、だったら自分で作っちゃえって……(笑)。昔の取材でもアナログ人間だと言っていたと思うんですけど、もともと私は機械音痴で、ビデオの予約録画の設定が未だに出来なかったりして驚かれてしまうんですが、音作りに関する事は前から勉強していたんです。去年の始め辺りから本屋さんに行って専門の本を買って勉強していて、難しい所はディレクターさんやエンジニアさんに教えてもらったりして、段々作れる様になりました。それで自分がイメージするものが広がってきて、曲を作っていったという感じです。

●「CALLING ME」はいつ頃に出来た曲なんですか?
滴草:これは今年最初に出来た曲だったんじゃないかと。その時の気持ちがそのまま出ていますね。オケを作り終わった時点で、こういうのが書きたいというシチュエーションがあったので、それを歌詞にしていった感じです。聴いてくれる人にすーっと風みたいに入ってくる優しい感じにしたかったので、今回はそれが自然に出せたと思います。この曲は打ち込みで作ったんですけど、コーラス・ワークの部分はギターで弾いていて歌っている時に良いなと思って、レコーディングで入れたりしました。

●最初と最後に入っている足音がすごく印象的でした。
滴草:イントロとエンディングに入っている足音は、それぞれ意味が違うんです。イントロの足音は過去的な意味で主人公が今まで歩んで来た道を表わしていて、歌詞にある通り、独り暮らしの家に戻る途中の雰囲気を出しています。あと、最後に出てくる足音はイントロのグレイな感じとは違って、未来的な意味で主人公が光の差す方に向かって進んで行くのを表しています。

●他にこだわった部分はありましたか?
滴草:アコースティックさを出して、音も歌詞もシンプルにという事は心掛けました。この曲を作ろうとした時に風を感じる曲にしたいと思ったのと、癒される感じにしたかったので、歌う時はいつもよりも優しく歌ったし、“You're Calling me”の部分は、まさに“あなたが私を呼んでいる”という気持ちを込めて歌いました。

●今までの曲の中でも、特に歌声が柔らかく感じました。
滴草:私はけっこうハキハキと歌うタイプで、今までは言葉を伝えようとして強く歌ったりしていたんですけど、すーっと言葉が耳に入る様にするにはそういう事じゃないのかな、と思ったりもして……。歌い方に関しては悩んだ時期もあったんですけど、この曲に関しては“こういう歌い方で良いんだ”と思ってからは、あまり考え込まずに歌える様になりました。

●今回の曲は“風”がキーワードになっていると思ったのですが、歌詞にも出てきている“風”はどういう風だったりするんでしょうか。
滴草:これは実際に吹いている風の事ではなくて、歌詞の中にあるアルバムを開いた時に思い出がふわーっと広がる雰囲気を風に例えているんです。その風をメロディや音で通して感じてもらえたらなと思っています。

●歌詞でこだわった部分はありますか?
滴草:サビの部分は特に考えましたね。“I'm Calling you”でも良かったんですけど、私的には色々と悩んでいた時でも応援してくれているファンのみんなの存在と、自分の歌に対する想いが強くあったので、(自分の歌を)待ってくれている人達をYouに当てはめて“You're Calling me”という言葉にしました。リリース期間が少しあいた事で、ファンの方に申し訳ないという気持ちもあったんですけど、いつも前を向いて曲は作り続けていたので、そういう思いもこもっています。

●歌詞では昔の思い出に触れた主人公が、過去を振り返りながらも前に進んで行くというストーリーが描かれていますが、そこに込めたメッセージはもっと広い意味だったりするんでしょうか?
滴草:みんなアルバムは家にあると思うんですけど、思い出の詰まったアルバムって心の中にもあると思うんですね。例えばそれが独り暮らしをしていて寂しくなったりした時、思わず開いてしまう事があると思うんです。そのアルバムの中にはもちろん悲しい事や辛い事もあると思うんですけど、それを受け止めていく事によって“次の新しい風が吹くよ”というのを優しく伝えたくて、歌詞を書きました。それは自分にも言い聞かせている部分もあります。

●最後の“前を向いて”という言葉も印象的でした。
滴草:この歌詞のイメージは、主人公が最初に部屋の中でアルバムを開いて、最後はそのアルバムを閉じてそっと置いて歩いて行くというのがあったので、1つ目の“前を向いて”は自分に向けて、2つ目の“前を向いて”はみんなに向けた意味で書きました。

※この続きは本誌にて…。


滴草由実

New Single
「CALLING ME」

2008.6.4 Release


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