誰かと話をした後、不思議と清々しい気分になれる事がある。気負い無く話が出来て、自然と心地良い空間を創り出せる人……、北原愛子はまさにそういった魅力を持った人だ。そんな彼女のおよそ1年振りのニュー・シングルが届いた。タイトルは「AMORE〜恋せよ!乙女達よ!!〜」。デビュー以来一貫してこだわり続けているラテン・テイスト溢れる刺激的なこのナンバーは、現在の彼女の音楽活動の充実振りが伺える秀逸な作品だ。
“躊躇して踏み止まっている現状から、一歩を踏み出せる勇気や勢いをつけられる様に……、そんな想いや願いを込めて作詞しました”という今作について、本人に話を聞いてみた。
●1年振り? そんなに時間が経った様に感じないのですが、この期間はどんな風に過ごされていたんですか?
北原愛子(以下北原):去年の9月にアルバムを出した後は、少しの間ゆっくり過ごしていました。次の作品を作る充電期間を持ちたいと思って、制作は少しお休みしつつ自分の中にパワーを充電していました!
●では今年に入ってから作業をスタートさせたのでしょうか?
北原:そうですね。やっぱり夏にリリースしたいなっていうのがあったので、今年の始め頃から制作を始めました。
●表題曲は特に手の込んだと言いますか、とてもクオリティの高い1曲ですね。
北原:制作を進める中で、どんどん肉付けされていった曲です。実際アレンジャーの大賀好修さん(from OOM)にお会いして、“こんな感じにしてみたいのですが?”なんてアイデアを出させてもらいながら、始めのオケにさらにギターが加わったり、コーラスが足されたりして、みんなで楽しみながら作っていった結果、納得のいく良い作品が出来上がったと思います。
●テーマ的には、“夏”といった部分が大きかったのでしょうか?
北原:そうですね。“夏のラテン”っていうのは大前提にありました。それからライヴの時にみんなと掛け合いの出来る曲を作りたいなと思っていたので、サビの掛け合いの部分は重視しましたね。
●まさにライヴで盛り上がれる1曲ですよね。
北原:ライヴをコンスタントにする様になってから、“ライヴでこういう歌を歌いたい”とか“こういう歌で盛り上がりたい”っていう部分は曲を作る軸になっていると思います。
●絶妙な甘さがキュンとくるヴォーカルもいいですね。
北原:最近歌うのが本当に楽しいんですよ。デビューの頃はいっぱいいっぱいでしたけど、今はライヴはもちろんですけど、レコーディングで歌うのも楽しいですし、曲の中に入り込んで歌える様になってきたと思います。
●歌詞はどんな風に綴っていきましたか?
北原:この曲は、例えばストーリーとか、メッセージとかっていう事よりも、まずはそのワードが耳に飛び込んできただけで夏を感じられる様な、響きとかイメージとかを1番大切に書いていきました。そしてそんな中に、恋をする勇気とか、一歩踏み出す勢いみたいなものが聴いた方の中に芽生える様な歌詞にしたいなって思ったんですね。最近友達と話をしている時によく“恋がしたいよね〜”って言葉を耳にするんです。やっぱり大人になればなる程、10代の頃みたいに何も考えず、ただ好き!って無邪気に突っ走れなくなるじゃないですか。色んな事考えて躊躇してしまって。昔はもっと簡単に人を好きになれたのにって思っている人、多いと思うんですよね。そんな人に対する応援歌的な曲にもなっています。
●“最初で最後の夏に一度きりをあげる”っていうフレーズがありますが、なんだか意味深でドキッとしてしまいました!!
北原:(笑)そこのフレーズは自然と出て来たんですよ。まぁ、今年の夏は一度きりしかない!っていう事を言いたかったんですけど……。
●例えばチャンスとか、人生の中で大切なその“一度きりの瞬間(=夏)”を大切に!みたいな意味合いも含まれているんでしょうか。
北原:はい、そうですね! 大人になればなる程不器用で素直になれないけど、あれこれ頭で考えずに心で動こうよ!みたいな、そういうメッセージを込めてみました。とにかく聴いてくれた方が前向きに“恋しよ〜”とか“恋したい!”って気持ちになってくれたら嬉しいです。
●先程もクオリティの高い作品といいましたが、作品を出すごとにデビューから一貫してラテンにこだわり続けている、そのキャリアが着実に積み上がってきているのを感じますね。
北原:自分も含め制作チームがみんな、“ラテン”っていう方向性から少しもブレないんですよね。目指したいゴールというか、作りたいものっていうのが、みんなすごくクリアに見えているっていうか。だからとても制作しやすい環境に居る事が出来ていると思います。
●普通同じ路線でいくと、どこか飽きが来たり、マンネリ化する傾向に陥るじゃないですか。北原さんの作品はそれがないと思いますね。毎回とても新鮮だなって。
北原:ラテンにも色々あるし、それにラテンっていうジャンルの中で、いかに新しい事が出来るか、新しいフレーバーを盛り込めるかって所を制作チームみんなで楽しんで作っていると思うんです。それがすごくいい形で回っていると思いますね。とにかく最近は制作がとても楽しいです。
●2曲目の「恋の引力」は、北原さん独特の歌謡ラテン系ですね。
北原:はい。GARNET CROWの古井弘人さんにアレンジして頂きました。ギターはGARNET CROWの岡本仁志さんが弾いて下さっています。どんどん盛り上がっていくオケは、恋する気持ちとリンクして面白い曲に仕上がったと思いますし、ちょっと大人っぽい雰囲気も持った曲だと思いますね。歌詞は初恋の様な、淡い芽生えたばかりの恋をイメージしてみました。
●恋愛を軸に書かれている歌詞ですが、実はもっと深いテーマも隠されていますよね。北原さんが日常感じている事を綴っているのですか?
北原:そうですね。ちょこちょこ書き留めていたものを1曲にまとめていきました。“失ったものより得たものの方が多くて あなたを失っても思い出は消えない”というフレーズがあるんですが、そのフレーズなんかは、恋愛に限らず日常の中で実際は失っているものより得ているものの方が多いと思うんですよね。気づきにくいだけで。そういう日常の中で感じたり、ふとした時に気づいたりした事を歌詞にしていますね。
●ささいな事であったとしても、大切なものを沢山得て生活しているんですよね、実は。でも、ないものねだりっていうか、なかなかそれには気づきにくいっていうか。
北原:そうですね。みんな同じだと思います。だから曲を聴いてそういう事に気づいて頂けたら嬉しいなって思います。
※この続きは誌面にて!!
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