B'z

B'z LIVE-GYM Pleasure 2008 -GLORY DAYS- 
2008.9.20@日産スタジアム

LIVE REPORT


B'zデビュー20周年を締め括るアイテム『B'z The Best“ULTRA Treasure”』がリリースされた3日後、日産スタジアムにはAnniversary Yearを体感するに相応しいステージが用意されていた。本誌では9月20日に開催されたB'z LIVE-GYM Pleasure 2008 -GLORY DAYS-セミ・ファイナルの模様をレポートする。

時折吹き付ける涼風に秋の訪れを感じる様になった9月20日、日産スタジアムは夏の暑さを思い起させる程の熱気に満ち溢れていた。それもそのはず、この日はB'z LIVE-GYM Pleasure 2008 -GLORY DAYS-のセミ・ファイナル。約7万人の観客が会場に詰め掛けていたのだ。20年という活動の中で起こったB'zに関する出来事は数知れないが、彼らのライヴについて語る時、“悪天候の野外ライヴ”という言葉を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。もちろんそれらのライヴは、多くの人に感動を与え彼らの圧倒的なパワーを見せつけた伝説のステージとして刻まれているが、今回のライヴも前日まで台風の影響で大雨に見舞われ、天候が心配されていた公演だった。しかしこの日は雨に降られる事なく、綺麗な夕焼けを眺めながら開演を待つ事が出来たのである。開演を待ち切れない様子の観客は、そんなちょっとした事さえも思い出の1つに留められる事を喜んでいる様に見えた。

どこから見ても広大である事が分かるステージ、そして左右に設置された大きなLED。そのLEDには今回のツアー・ロゴである七色にペイントされたハートが映し出されていた。大掛かりなセットは見当たらないものの、大量に設置された照明と左右に伸びるランウェイを見るだけで、これから始まるステージへの期待感が高まってくる。開演時予定時刻を5分程過ぎた頃、会場が暗転。客席から一斉に拍手と歓声が起こる中、いよいよライヴがスタートした。

左右のLEDには赤ん坊の姿とそれを取り巻くボールの様なものが映し出され、その中に今までB'zが発表した曲のライヴ映像やPV映像が次々と登場する。映像で流れる楽曲に併せて手拍子をし一緒に歌う観客。曲が移り変わっていくにつれ、その子供が成長し女性になるという、まさに20年の歳月の流れを象徴した映像だった。スモークが掛かったステージに視線が注がれる中、そこに現れたのは映像に登場していた外国人女性。彼女が“Well……”と呟くと、会場は大歓声に包まれた。そう、それは「BAD COMMUNICATION」のオープニングで流れるセリフ。イントロの心地良いビートに合わせてヴォリューム・アップする観客の手拍子に迎えられ、B'zが登場すると、客席から放たれた悲鳴と歓声が大きな塊となってステージに押し寄せた。ワイン・レッドのパンツにノースリーヴのゴールドのロング・ジャケットに身を包んだ稲葉と、白と黒でクールにキメた松本が、真っ赤なライトに照らされる。1曲目から凄まじい一体感に包まれた会場の勢いは止まる事なく、更にヒート・アップした状態で「ultra soul」に突入。待っていたとばかりにジャンプして拳を突き上げる観客の動きが、大きな波となってうごめく。ステージの左右を動き回る稲葉は、そんなスタジアムの様子を楽しんで見ている様に見えた。もちろんLIVE-GYMでお馴染みのセリフも忘れてはいない。今回はサポート・メンバーが順番に“B'zの……”と言っていく映像が盛り込まれ、ツアー・トラックの運転席から顔を出した松本が“B'zの……”と言った姿がLEDに映し出された後、ステージにいる稲葉が“B'zのLIVE-GYMにようこそ!!”と言い放つという演出。この日を楽しみにしていた観客の気持ちが、大きな歓声となって轟く。その後に披露された「裸足の女神」では、曲が始まると同時に松本が右、稲葉が左のランウェイをダッシュ。曲の中盤ではステージ中央で2人が交差し、観客を煽りながら進んでいく。終盤の“Na na na na……”ではもちろん大合唱。夜空に響く松本のギターが、いつもより力強く感じられた。序盤はステージと客席の熱気が瞬時にシンクロする様子を楽しむ構成。「BLOWIN'」や「ねがい」でのコール&レスポンスは、互いのパワーをぶつけ合うというよりも、同じ空間にいる事を愛おしんでいる印象を受けた。それをひしひしと感じたのが「今夜月の見える丘に」が始まった時。松本がイントロのフレーズをつま弾き、白い光が会場全体に広がっていくと、次々と感嘆の声が上がる。それらの声の方向に目を向けると、そこには涙ぐんでいる観客の姿があった。曲に詰まったそれぞれの想いが、ライヴを通して1つに繋がるという状態を体験する事が出来たのは貴重だ。ミラー・ボールの光が広がったスタジアムは星空のごとく瞬き、真上に見える夜空と繋がっているかのよう。憂いを帯びた稲葉の声はどこまでも広がっていく。その後に続く「もう一度キスしたかった」ではステージから溢れた音が会場を包み込み、その音を1つも逃さない様にじっと聴き入る観客の姿が印象的だった。

ライヴの中盤に差し掛かる前のMCで“5年振りのPleasureですよ!! 台風もどこかに行っちゃいました!!”と嬉しそうに言った稲葉のコメントに、大きく頷いた人も大勢いたはずだ。“1番てっぺんまで届く様にやるので、悔いのない様、思い切り楽しんでいって下さい!!”という言葉を受けて、歓声は更に大きくなった。今回のセット・リストは、彼らの20年の活動を振り返るに相応しい構成。ファンには馴染み深い「恋心(KOI-GOKORO)」では一糸乱れぬ観客の振りを目の当たりにし、B'zの音楽が世代を越えて支持されている事を実感した。荒々しいメンバーのプレイにひき付けられた「孤独のRunaway」を経て、「Don't Leave Me」は稲葉のハープと松本のギターのセッションからスタート。ステージ中央にはPV映像が映し出され、当時の彼らと重ねて見る形になった。どんどんステージに引き込まれていく観客に向けて披露された「OCEAN」は、ブルーのライトで海の水面の様に見えるステージから、ストリングスとバンド・サウンドが大きな音の波となって押し寄せ、会場は穏やかな空間に……。そのまましっとりモードに突入かと思いきや、「NATIVE DANCE」でハッとさせてくれたりと、気付けばライヴも折り返しを迎えていた。

今回のライヴでは様々な映像が見られるのも特筆すべき点。デビュー当時のテレビ出演映像が次々にLEDに映し出されると、会場がどよめきに包まれる。これも彼らの粋なサービスの1つかと思っていたら、それにはちゃんと理由があった。LEDの文字が1990年から1989年と遡り1988年になった時、ステージにセットが登場。“SOUND JOKER”という看板が掲げられた白い部屋に、2人が入って来た。ステージには白シャツに黒タイ姿の松本と、白のジャケットをラフに羽織った稲葉だけ。“久し振りの2人きりだね”という松本の言葉もありつつ、トーク・タイムが始まった。“SOUND JOKER”とは、B'z結成前に2人が初めて会ったスタジオの名前。そこでセッションしたビートルズの「Oh! Darling」を披露してくれた。深みのあるギターとヴォ−カルのハーモニーは絶妙で、シンプルなのに充分過ぎる程グッとくる。20年前にタイム・トリップした感覚の会場に向かって、彼らはデビュー当時の話を続けた。デビュー時はアルバム制作中心で、本格的なステージでライヴをするまでは、全国各地の楽器店で行なっていた松本のギター・セミナーの中で自分達の楽曲を披露していた事。当時はカラオケ音源を使ってのライヴで、かなり身軽だったと笑みを浮かべながら話すと、その頃を思い出してという事で、デビュー曲「だからその手を離して」をカラオケで再現してくれた。LEDには当時の映像が映し出され、観客はデビュー時のB'zと20年後のB'zの共演を堪能。嬉しい演出は更に続き、ここで新曲「いつかまたここで」が披露された。“B'zと実際に関わった人、B'zの音楽を聴いてくれた人、ライヴに来てくれた人に向けて作った曲です”という稲葉の言葉を受け、水を打った様な静けさに包まれた会場の隅々に、2人の音楽が響く。終盤の“ラララ……”の部分は全員で大合唱。この曲で更に深まった彼らと観客の絆を噛み締めながら聴いた「ONE」は、今まで以上に感慨深いものとして心に強く刻まれただろう。

※この続きは誌面にて!!


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