愛内里菜の2009年第1弾シングル「アイノコトバ」は、昨年10月発売の「君との出逢い〜good bye my days〜」、そして12月に発表された「Friend」と、タイプの異なる感謝を綴った“ありがとう3部作”を締め括るナンバー。2002年2月にリリースされた「Forever You 〜永遠に君と〜」に対するアンサー・ソングでもあるこの曲は、これまでの音楽活動で培ってきた歌に対する彼女の思いと、それを支えてくれた人々への感謝の気持ちが描かれており、メロディアスで凛々しいサウンドに乗せて歌う愛内の艶やかなヴォ−カルが聴き所になっている。深みのあるメッセージ・ソングとなった今作について、彼女に話を聞いてみた。
●今回のシングル「アイノコトバ」は、前作「Friend」とは違う意味での感謝の気持ちが詰まった作品になっていますが、この時期に発表しようと思ったのは何かあったのでしょうか?
愛内里菜(以下愛内):この曲はリリースの時期を意識して歌詞を書きました。2009年は私がデビューして9周年の年でもあるんですけど、そこから10周年を迎えるにあたって、この時間をすごく大切にしたいと思ったんです。そこで、今までの感謝の言葉をより一層しっかりみんなに送り届けられる1年にしたいという気持ちを込めつつ、1人に限らず、今まで自分の事を支えてきてくれた人々に向けた大きい愛を書いて、バレンタインという愛が溢れる時期にリリースする事にしました。
●今まで暖めていた気持ちを、この曲にしたためたという感じですか?
愛内:この曲の歌詞を書く時は、デビューから今までの事を振り返ったりしたので、今まで持ち続けてきた感情がこの歌詞に詰まっているというのはありますね。
●今回の「アイノコトバ」が「Forever You 〜永遠に君と〜」のアンサー・ソング的な存在になったというエピソードを伺ったのですが……。
愛内:思い出を辿った時に、バレンタインの時期にリリースした「Forever You 〜永遠に君と〜」が思い浮かんだんです。その曲も自分を支えてくれているみんなに対して自分の想いを乗せられたらなと思って書いたものだったので、今回の曲の歌詞を書く時にリリースする時期も伝えたいメッセージも重なる部分が多かったんですね。それで当時「Forever You 〜永遠に君と〜」の歌詞をもう1度噛みしめながら、成長してきた自分の姿を盛り込んだ歌詞が書けたらと思って意識はしました。
●成長した部分というのは、具体的にどういう所だと思いますか?
愛内:「Forever You 〜永遠に君と〜」を作った時はデビューして年数も浅かったし、“どういう形で自分の歌を届け続けていくのだろう”とか不安な事の方が多かったんです。「Forever You 〜永遠に君と〜」の歌詞に“この歌声を君のそばで捧げたい それが私のすべてだろうから”という部分があるんですけど、それはいつか“それが私のすべてです”と言える自分になりたいという気持ちを込めて書いたもので、それが1つの目標というか、これから自分が頑張っていくという決意だったりしたんです。そんな気持ちだった頃から考えると、今まで作品を出してライヴが出来たりする事が、今自分が生きている中で1番大切だと言える様になったのは、成長出来た部分だと思います。ライヴでみんなに会える事がすごく嬉しくて、ライヴをしている時の自分がすごく素直でありのままになれているので、それが自分にとって最高の場所だと思える事に気付いて、「アイノコトバ」では“それが私のすべてだから”と最後に締めくくっています。もちろん歌詞を読んだ方にとっては恋人や家族等、感謝の気持ちを向ける対象は様々だと思うので、聴く方それぞれで思い浮かべて頂いて構いません。なので、私の中では歌詞で“それが私のすべてだから”と言い切れる様になった事が成長ですね。
●その言葉を実際に歌詞にしたためた事で、改めて重みを感じたりしましたか?
愛内:歌詞に書いた時点でひしひしと感じました。この言葉を書くのと書かないのとでは、自分の中ですごく大きな違いがあったので、歌詞にした事でより一層身が引き締まりましたね。成長した自分が初心に戻って、自分が表現していく歌と言葉というものに対する思いが再確認出来た気がします。
●新たな事に挑戦し始めた頃から、愛内さんは今までの活動に立ち返りながら楽曲を作っていくという作業をされている様に感じたのですが……。
愛内:そうかもしれないですね。良い意味で余裕が出てきたから、そういう確認作業が出来る様になったのかなと思います。それまでは自分の事しか見えていなくて、いつも自分の内面を掘り出して、そこに答えを求めるという歌詞の書き方をしていたので、自分の事を探す事で精一杯だったというか……。そこから色々な情景を歌詞にしていく事が出来る様になったのは、周りを見て別のものを取り入れる余裕が自分の中で出てきたのかなって。だから今は自分が置かれている環境を大切に出来たり、与えられているものをきちんとキャッチ出来たりしている様な気がします。それを大事にしながら、今の自分が持っていないものをどんどん取り入れていきたいなと思います。それが今のスタイルですね。
●そういったものをキャッチするセンサーは、研ぎすまされていると感じたりしますか?
愛内:そこはあまり意識していないので、めちゃくちゃ研ぎすまされていると思った事はないんですけど、インタビュー等で“最近、歌詞の感じが変わってきましたね”と言われたりすると、少し変わってきたのかなとは思います。
●今回の「アイノコトバ」の歌詞を通して、言葉にする事の大切さみたいなものも感じたのですが、愛内さんはそういった事を意識されたりしますか?
愛内:歌詞を書く度に、自分の中で歌と言葉がすごく重要なものになっていると感じるんです。もちろん、言葉だけじゃ伝わらない事もありますけど、だからこそ言葉で伝えられるものは1つでも多くしっかり届けたいという気持ちが強くなりました。
●聴いている人達に向けて、1歩踏み込んだ形で歌詞を書かれていますね。
愛内:“届いていますか?”という感じになっていると思います。今まで積み重ねてきたライヴや作品で、自分の心境の変化を綴ってきましたけど、それが9周年を迎えるにあたり、どれだけ伝わってきたのかなって……。今回の歌詞にはそういう気持ちがすごく出ていると思います。
●聴いてくれる人との信頼関係が築かれた上で、成立している歌詞にも思えました。
愛内:“確かな存在に対する感謝”という意味が大きいです。最後に出てくる“大切なあなたがいる”という言葉にもありますけど、自分の中に大切な存在としてあなたが居てくれているという事にも感謝だし、そういった言葉を届けたいと思わせてくれる存在に対しても感謝という感じですね。だから、この曲をライヴで披露する時は、より一層深い気持ちで色々な事を再確認しながら歌う事になると思います。
●「君との出逢い〜good bye my days〜」「Friend」「アイノコトバ」と、“感謝”を綴った3部作が揃いましたね。
愛内:実は前回のアルバム『TRIP』を作り終えた後、次のアルバムをどんなテーマで作ろうかと考えていく中で、サウンド・コンセプトも早い段階から決まっていて、歌詞も“感謝”をテーマに書こうと決めていたんです。次のアルバムを出すにあたって、デビュー9周年から10周年に向かって行くという事が自分の中で大きな位置付けだったので、今までの感謝の気持ちを伝えるという意味で“ありがとう”という言葉がキーワードになっていました。家族や友達、恋人……人だけじゃなく景色や音楽といった色々なものに向けた“ありがとう”があると思うので、それを1つ1つ歌詞で書いていけたらなと思ったのがきっかけになっています。そこで書いた色々な“ありがとう”をそれぞれの時期に合わせて発表しようという事で、この3部作がリリースされる事になったという感じです。
※この続きは誌面にて!!
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