デビュー5周年を迎えたdoaが放つ、待望のニュー・アルバムには、
世の中を作っていく最前線に居る大人達に向けた応援歌がいっぱい。
●アルバム・タイトル『FRONTIER』に込めた思いは?
大田紳一郎(以下大田):今回のタイトルは、僕が歌詞を書いた5曲目の曲名がそのままアルバム・タイトルになっているんですけど、たまたま趣味の釣り専門チャンネルを見ていたんです。フライフィッシングでやる渓流釣りの番組だったんですけど、フライフィッシングって魚を求めて上流へ上流へと遡っていくんです。で、そこに出演していた方がすごく印象的な事を言っていたんです。それは、“上へ行っても何もいい事はないかもしれない、それは分かっているんだけど行っちゃうんだよな釣り人は”という言葉でした。知っていても行きたくなったり、分かっていても行くしかないと思ったり、そういう気持ちが今の自分とリンクするなと感じたんです。音楽活動の中でも、例えば今からビートルズを聴き直してとか、そういう事で何かを得ようとしても無理な部分があったりして、でもただ誰かの真似をするなんて事も嫌だし。じゃあ何をするかっていうと、自分の経験した事、自分自身を掘り下げていく事しかないなって思ったんですね。そういう意味で自分の国境(FRONTIER)を越えるっていうか、今の自分を越えて行かなければっていう、そういう思いを込めてこのタイトルを付けました。
●ではこの曲がきっかけとなって、今回のアルバムは制作されていったという事でしょうか?
徳永暁人(以下徳永):そうですね。「FRONTIER」という曲が出来た時に、“このタイトルでアルバム作らない?”って盛り上がったんですよね。
●徳永さんの中で、今回のアルバムを作る上でのテーマは何かありましたか?
徳永:ツアーが終わってからすぐ曲を作り始めたんですけど、当初はシングルを作ろうと思って作品をずっと作っていたんですね。で、その頃ちょうど正月でテレビでお笑い番組を沢山やっていたんですけど、お笑い番組以外の番組が自分の人生の中で1番重苦しいんじゃないかって思う位、“どうなるニッポン! 100年に1度の不景気!”みたいなヘヴィ−な内容のものばかりで、出演者の人達もみんな険しい顔していて……。それが“なんだかな〜”とか思っちゃって!、“このやろ〜”とか思っちゃって!! “このやろ〜”っていうのはテレビに対してじゃなくて、自分に対してなんですけど。俺もテレビ見て一緒にふさぎ込んでいていいのかなって。僕ら団塊ジュニアの世代って、社会を実際作っていっている最前線の年代だと思うんですよね、同世代の人達は社会の中でみんなそういう所に居ると思うんです。そういう人達が一緒になってテレビを見て元気なくなっちゃってるのって嫌だな〜って思ってしまったんです。そしたらなんかクリエイター魂に火がついて、曲が一杯出来たんですよね。だからシングル作ろうなんて最初は考えていたんですけど、だんだんそういう事を考えなくなってきて。そんな中で曲が一杯出来てきて、冗談で言っていた『FRONTIER』ってアルバムが出せたら良いね〜って話が本当になってきたという。そんな感じでした。
●実は今回のアルバムには、シングルは1枚しか入っていないんですよね。
大田:そうなんですよ、珍しいですよね。まぁ、その辺も僕たちにとっては『FRONTIER』かなと。
●先程、大田さんのコメントの中に、“自分の経験したものを掘り下げていって作品を作っていく”っておっしゃっていましたが、そういう意味で今回はすごく歌詞がリアルなものになっていますよね。
吉本大樹(以下吉本):前作の時も方向性的には一緒だったと思うんですよ。ただ今回はさらに真実味を帯びたというか、3人が実際そういう立場に居るので、もっと自然と今まで以上にそういう言葉が固まってきたんじゃないですかね。
●敢えて3人の中で歌詞のディテールを統一しようという話し合いがあったわけではないという事ですね。
吉本:そうですね。前回は方向がズレないようにっていう話をしていましたけど、今回に関しては全くそういう事はしなかったですね。書き寄ったものが自然と同じ方向を向いていました。
●アーティストって得てしてキャリアを積まれていくと、どうしても音的にも歌詞的にも難しい方向に行きがちだと思うのですが、今回のアルバムはより分かりやすい方向に向いていますよね。そういう意味では男女年齢問わず共感出来る作品になっているなと思いました。
大田:みんなが生きている中で感じる事を書こうっていうのはずっとdoaがやっている事なんですけど、今回はよりそれに近いものにみんなの意識が集まったと思うんですね。僕はdoaの歌詞を書こうと思って書いているので、自分の歌詞ではなく、doaとして伝えたい事を書こうと思っている部分はあります。
●自分の思いを吐き出したいという独白型の方もいらっしゃいますが、大田さんの場合は違うと。
大田:そうですね。doaの作品では、やっぱり聴いている方がより共感出来る事を書きたいと思っています。
●「何故」は今作の中でも切ないメロディが印象的ですが、この歌詞はどういう時に生まれたんですか?
さぁさ:ポジティヴで明るい曲って自分らしいと思うんですけど、悩む事は勿論あるし、落ち込む事もあるし、そういう事って聴く人皆にもあると思うんです。だから敢えてそこをむき出しに見せてしまおうと思って書きました。どうしようもなくて、私ってなんでこんなんやろってたぶん1回でも皆が思った事あると思うんですけど、でもそれはその人だけが思っている事じゃないし、独りじゃないし、皆思うし、なんなら私が変わりに書きましょうかみたいな感じで(笑)。そういう皆の思いを代弁出来ていたら良いなと思います。
※この続きは誌面にて!!
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