“来年1月のツアーをもって活動を終了します!”
電撃の解散宣言をした三枝夕夏 IN db。その彼等が3年振りに4枚目のオリジナル・アルバム『U-ka saegusa IN db IV 〜クリスタルな季節に魅せられて〜』を11月25日にリリースする。
3枚目のオリジナル・アルバム以降にリリースされた6枚のシングルのうち、アニメ[名探偵コナン]のエンディングテーマとしてリリースされた20枚目のシングル「雪どけのあの川の流れのように」等5曲と、今回のアルバム用新曲7曲の合計12曲を聴くと、それまでの活動が脳裏に、体中に走馬灯の様に駆け巡る。この感覚は熱心なファンはもちろん、彼等の作品を少ししか知らない方でも十分に体験出来る様に思う。
2002年に三枝夕夏(Vo.)を中心とした三枝夕夏 IN dbは、シングル「Whenever I think of you」でデビュー。2003年には岩井勇一郎(G.)、車谷啓介(Dr.)、大藪拓(B.)がメンバーとして正式加入。アップ・テンポから、バラードまで、多彩な楽曲をリリース。前述の[名探偵コナン]を始め様々なタイアップ作品に選出され、また音楽番組にも数多く出演した。ライヴではオリジナル楽曲はもちろん、彼等の好きなキンクス等イギリスやヨーロッパの60年代の洋楽のカヴァーも披露して、幅の広さと奥の深さも見せてくれていた。そんな7年半の活動の中で色々培ったものが、今回のアルバムに凝縮していると思う。
しかも彼等は解散宣言と同時に解散ライヴとも言うべき【U-ka saegusa IN db FINAL LIVE TOUR 2010】の開催を告知している。岩井、車谷、大藪は今後もそれぞれの音楽活動を続けていくが、ヴォーカルと作詞担当の三枝夕夏はこのライヴを最後に、音楽活動を離れ別の道を歩んでいく事を宣言している。
●先日オフィシャル・サイトで、今作、そして1月からの東名阪ツアーをもってバンドを解散するというお話が伝えられ、ファンの皆さんも突然の事で驚かれていると思います。それだけに今回の4thアルバムは三枝夕夏 IN dbにとっても色々な思いが詰まった作品になっていると思いますが、今作の制作はいつ頃からされていたのですか?
三枝夕夏(以下三枝):今年はアルバムをリリースしたいという思いがずっと前からあって、今年の初めにはもうそこに向けた制作を始めていましたね。ただ、私達はいつも、“この曲はシングル”とか“アルバムの曲”とか先に決めて作っていくのではなくて、どんどん制作していく中から後でチョイスしていく感じなので、細かく言うともっと前から作り始めていた事になります。
●ではバンド 解散はいつ頃、どの様な経緯で決定したのでしょうか?
三枝:今年に入ってから自分の中の考え方みたいなのが少しずつ変わってきて、音楽に対して“真剣"に取り組みながらも、もっと何ていうか……、“音楽を自分自身も楽しみながらやっていこう!”って思う様になったんです。そしたら、何か肩の力が良い具合に抜けて、より一層充実した音楽活動をする事が出来ました。でもちょうど同じ頃、地元・名古屋を離れて10年を迎えた事にふと気付いたんです。これまで音楽活動中心の生活を送ってきたけれど、色々振り返ってみた時に、もっと人として成長する為にプライベートも大切にしたいなと思う様になりました。そう思う様になって、プライベートと音楽活動を自分なりに両立してやってきたつもりですが、もともと私はとても不器用で2つの事を同時にこなせないタイプなんです。制作や歌詞を書くのが本当に楽しく、音楽活動もこれまで以上に充実していた時だったのでとても悩んだんですけど、でもずっと音楽一筋で来たので、ここで1度、今しか出来ない事に向き合ってみたいと思い、結果、バンドのメンバーに話をしたのが9月頃だったかな……その後改めて解散をみんなで決断しました。
●車谷さんは最初に解散を切り出された時、そしてそれを最終的に受け入れた時、どんなお気持ちでしたか?
車谷啓介(以下車谷):メンバー3人共解散を切り出された時は、一瞬止まった様になって言葉が出ませんでした。アルバム過程も大詰めになっていましたし、その間そんな素振りも全く見せなかったので、どうしてなんだという感じでした。結局その日は、解散についてすぐに飲み込めなかったので、返事をするまで何日か時間をもらいました。彼女は曖昧な事が嫌いなのは分かっていましたから、この答えを出すのに、どれだけ悩み、どれだけの覚悟で決断したか。毎日考えていくうちに、メンバーだからこそ彼女の次のステップも応援しなくてどうするんだと思いました。バンドになり一緒にやってきた6年半というのは、誰にも変える事のない大切な時間であり、そこから生まれたメンバー間の絆の様なものは揺らぐ事ない事実であって、楽しかった事や辛かった事を乗り越えた仲間だからこそ、三枝夕夏 IN dbのメンバーとして、三枝夕夏を今後も応援しようと、心の底から思う様になりました。今は、お互い精一杯頑張っていこうという思いです。
●アルバム制作中に解散が決定したという事ですが、収録曲を変えたり、歌詞を書き換える等、アルバムの内容にその事が影響した部分はありますか?
三枝:アルバムはもともと制作を進めていたものだったので、解散を決めたからと言って、内容を変えたという事はありません。でも変な言い方になってしまうけれど、今までを一生懸命にやっていなかったとかいう事ではなくて、解散が決まってからはより力が入ったというか……、全身全霊でやってきた様に思います。
●本誌は三枝夕夏 IN dbとは、ファンミーティングを開催したり、その他色々コラボレートさせて頂いたので、もっと色々解散についてもお聞きしたいのですが、今回はニュー・アルバムのお話をメインにお聞きしたいので、解散や今後についてはまた次回お話を聞かせて頂きたいと思います。という事で、アルバムの収録曲について1曲ずつお聞きしていきたいと思います。今作のタイトル曲にもなっている「クリスタルな季節に魅せられて」は、アップ・テンポで疾走感のあるハードなナンバーですね。
三枝:小澤さんのデモを聴いた時に、マイナーのアップ・テンポのロックで三枝夕夏 IN dbらしい曲だなと思いました。なので、この曲をアルバムのタイトル曲にしました。歌詞は切ない恋愛をテーマに書いているんですが、“すべては誰のせいでもない、クリスタルな季節のせいよ”といった重くなりすぎない恋愛を書いています。こういう“季節のせいにする”恋愛って実は書いた事がなかったんですね。だから、サウンドやメロディは私達らしいですけど、一方歌詞の事を考えると、ちょっと新しい試み(冒険)も入っています。
車谷:例えば出だしの“cry、cry・・・”という所とか、メロディとか、あとサビでギターやドラムが一斉に入って勢いよくなる所とか……すごくデモを気に入っていたので、小澤さんにはアレンジでもその方向を生かしてもらいました。
●2曲目の「もう君をひとりにさせない」は22枚目のシングル・ナンバーですね。
三枝:全体的には恋愛の歌詞でまとめているんですけど、“つらいのは自分だけじゃないよ”って、弱い自分の背中を押す様な、辛い時期を冬に例えて、季節が巡る様に今が辛くても寂しくても、きっとまた明るく楽しい時期もくるだろうという願い、そして辛い時期を乗り越えた時に、自分やそれを感じてる人達も、きっと今よりも成長してるだろう……という願いを込めて書いています。イントロのピアノも、暗い中に明るい兆しを感じてすごく好きなんです。この歌詞の世界に合っています。
●そして続く3曲目もシングル曲。20thシングル「雪どけのあの川の流れのように」ですね。
三枝:人を好きになった時のハニカミ、ハカナサ、セツナサや、ちょっとした事で落ち込むガラスの様なキラキラ感。そして何も信じきれるものがなく、不確かなものや不安ばかりの中で君というゆるぎないものを見つけた感じを歌詞にしました。
車谷:サウンドは、人間味溢れているというか、ハーモニカ、アコギ、グロッケン、ピアノ等が入っています。間奏は三枝さんの詩の朗読です。ポエトリー・リーディングです!
※この続きは誌面にて!!
■三枝夕夏 IN db OFFICIAL WEBSITE http://www.uka-saegusa.com/
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