2010年3月にデビュー10周年を迎える愛内里菜。今年は記念すべき年を迎えるにあたり“THANX 10th ANNIVERSARY”と銘打った形で精力的な音楽活動を展開してきた彼女が、ベスト・アルバム『ALL SINGLES BEST 〜THANX 10th ANNIVERSARY〜』を12月16日にリリースする。デビュー曲から全シングル36曲(両A面シングル5曲含む)が完全収録された今作は、まさに彼女の音楽活動10年間の軌跡を辿るに相応しいアイテムだ。“ありがとうの気持ちをしっかり伝えたい”という思いのもと、突き進んで来た2009年を締めくくる今回のベスト・アルバムについて彼女に話を聞きつつ、これまでの音楽活動の原動力に迫ってみた。
●音楽活動10年間を辿るアイテムの1つとして、今回『ALL SINGLES BEST 〜THANX 10th ANNIVERSARY〜』がリリースされますが、こうして全シングルが収められるとすごいボリュームですよね。
愛内里菜(以下愛内):3枚組になると聞いて、10年の重みを感じました。デビュー曲から順番に収録されているので、それぞれの曲を発表した当時の時代性を含めた10年間の流れも分かるし、改めて色々な音楽をやってきたと思いますね。
●様々なタイプの音楽を形にしていく中で、手応えも大きかったと思うのですが。
愛内:それぞれの作品で得た手応えは、どれも大きかったです。新しい事に挑戦して、それを作品で発表しライヴで表現する事で、次にやりたい事が見えてくるという繰り返しで今まで進んできたし、それがあったからこそ続けてこられたと思います。
●これまでに発表してきた楽曲は、デビュー時と比べてどういう風に変わってきたと思いますか?
愛内:まずサウンド面での変化があると思います。デビューした頃から誰かの支えになれる様な、誰かの背中を押してあげられる様な曲を歌えるアーティストになりたいと思っていて、それは今も変わりません。それらを表現する音は無限にあるので、良い意味で枠にとらわれずに、色々なサウンドを取り入れて作品を作ってきたつもりです。それをライヴで表現して、色々な自分を見せていきたいという思いが強かったので、どんどん変化していく事を楽しみながらやってこられました。
●色々なサウンドに触れながら作品を発表していく中で、自分と相性が良い音楽スタイルとの出会いはありましたか?
愛内:はい。その出会いを求めて今までやってきているので、どんなサウンドに対してもまず“やってみたい”“挑戦したい”“自分のものにしたい”という思いが強いです。私の場合、作品毎にテーマを決めて作っていくのですが、最初は自分と合うかなという、ちょっとした壁みたいなものはあるんですね。それを自分の作りたい世界観に近付ける為に、“この曲はイメージに合うけど、これは違うよね”とか“この曲は意外と合うね”という風にスタッフとやり取りしながら作業していくのがすごく楽しかったりするんですよね。そこにあるドキドキや挑戦が、“この作品を完成させてみせる!”というエネルギーに繋がっているのだと思います。自分に課題を与えて乗り越える度に“次はこんなものを作りたい!”と思うので、その繰り返しで今に至っていますね。
●今回は3枚組のベスト・アルバムという事で、10年の音楽活動を大きく分けた形でお話を伺えたらと思います。DISC 1はデビューした2000年から2002年に発表されたシングルが収録されていますが、この時期に愛内さんが挑んだ大きな壁はありましたか?
愛内:やっぱりデビュー曲の「Close To Your Heart」ですね。随分前から“デビュー・シングルはこの曲が良い!!”と思って選んでいました。その頃から基本的な制作スタイルは変わっていなくて、曲選びもCDジャケットの案も自分で考えさせてもらっていて、スタッフと一緒にデビューを夢見ながら作っていた曲だったので、思い入れも強いし、大変だった曲でもあります。この曲自体はデビューする1年前からこれで進めると決めていて、その後に私の希望でメロディを変えてもらったり、イントロのコーラスの部分を付け足してもらったりして作っていったものなんです。歌詞も何度も書き直して、その度に歌い直していたので、この曲とはすごく長い間、向き合っていましたね。“この曲が自分のものに出来れば、自分の夢が動き出すんだ”という思いで作っていました。
●DISC 1には特にインパクトのある曲が収められている気もしました。
愛内:確かに濃い曲が多いかもしれませんね。「It's crazy for you」もオケが面白かったりしますし。
●2002年辺りになると、音楽活動が更に活発になってきましたよね。
愛内:そうですね。初めてのライヴ・ツアーをやり終えた後という事もあって、更にやりたい音楽が広がった時期でもあります。それまでサウンドに関しては漠然と“こういうテイストのものが良い”という風に思っていたのですが、この辺りからライヴを意識して、自分がステージに立って生音が鳴るという状況を想像した上で音を作っていくようになりました。ロック・ナンバーが歌いたいと思うようになったので、この頃から曲の雰囲気も変わり始めましたね。
●DISC 2には遊び心が詰まった曲から言葉がしっかり伝わるバラードまで、こちらも振り幅の広い楽曲が収められていますね。
愛内:ライヴをする様になってサウンドも広がったし、歌詞の内容も変わってきました。「FULL JUMP」や「Over Shine」みたいな曲は、みんなで一緒に盛り上がれる様に呼び掛ける歌詞を書きたいと思って作ったものですし、曲のタイプもどんどん変わっていっています。
●DISC 2の中で、特に思い出深い曲は?
愛内:紅白歌合戦に出演した時に歌ったという思い出も含めて「FULL JUMP」ですね。ライヴでお客さんと一緒に歌って盛り上がれる曲が出来た、という実感が大きかったので。
●そしてDISC 3は現在に至るまでの近年のシングルが収められていますが、ここでは特に音の感触を大切にした曲が揃っている印象を受けました。
愛内:「薔薇が咲く 薔薇が散る」を出す前に初めてミュージカルに出演した事が大きく影響していると思います。もちろんそれまでの経験も勉強になったし、自分の歌に影響を与えたのは事実なんですけど、ミュージカルをやっていた時期は今までやっていた音楽活動とは別のお仕事をしていたという意味で、自分自身の中でもリセット出来た期間でもあったんです。2006年の夏から稽古に入って公演が終ったのが12月で、半年位はいつもと違う生活を送っていた事もあって、そこから楽曲制作を始めた時はすごく新鮮な気持ちで向かう事が出来ました。今思えば、自分の音楽に対するスタンスを切り替えるにはすごく良いタイミングだった様な気がします。ミュージカルを経験した事で、今まで以上にバラードを歌う気持ち良さを感じたり、バラードが持つパワーを実感出来たので、自分が歌いたいものも変わったし、書きたい歌詞も少しずつ変わっていったし、色々な要素が加わって愛内里菜として表現出来る世界が広がった時期だったと思います。
※この続きは誌面にて!!
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■愛内里菜 OFFICIAL WEBSITE http://www.rina-aiuchi.com/
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